龍福寺 明日香村稲渕1084-1
竜福寺は浄土宗鎮西派の末寺で境内には、もとは五重層塔とみられる石塔があり、現在は下から三重目と四重目の軸部のみが残る。屋根には下り棟の形の浅い造り出しがあり、屋根裏に傾斜をつけ、上の軸部に対し下の屋根の軸部受けの造り出しもあるなど手の込んだ作品である。
初層軸部四面に「天平勝宝三年(751)歳次辛卯四月二十四日丙子、従二位竹野王」と判読される文字が刻まれている。もしそれに誤りがないとすれば、わが国に現存する在銘の層塔として最も古いものといえる。
竹野王について、「公卿補任」に天平16年(744)従三位となり、天平宝字2年(758)に正三位となった竹野王がみえるが、当地の刻銘には符合しないとされている。
字号標
山門
本堂
本堂
竹野王子
層塔 奈良後期
元は五重石塔