安倍内閣は7月1日にも、集団的自衛権を使えるように憲法解釈を変える閣議決定に踏み切る。内閣だけの判断で戦後日本が積み上げてきた専守防衛の原則を転換し、海外で武力を使うことを禁じた憲法を、事実上変えるようなことが許されるのか。閣議決定による解釈変更の是非を改めて考える。
「憲法解釈の変更が必要と判断されれば、閣議決定をしていく考えだ」
安倍晋三首相は24日の記者会見で、集団的自衛権の行使容認に踏み切る方針を改めて強調した。その際、戦争放棄を定めた憲法の根幹に関わる変更を内閣の判断でできる根拠としたのが憲ナイキ フリー ナイキ レブロン65条の「行政権は、内閣に属する」という規定だ。
「行政府が憲法65条のもと、行政権を執行するために憲法を適正に解釈していくことは当然必要なことだ」。三権のうち行政権は内閣にあるとする条文で、なぜ解釈変更を正当化できるのか。2月12日の国会では、首相は閣議決定による変更の是非について問われ、こう答えている。
「最高の責任者は私だ。私たちは選挙で国民の審判を受ける」。つまり、選挙で選ばれた与党の内閣が憲法解釈を行うのは当然で、その責任者は私だ――という論法だ。だが内閣による憲法解釈については、橋本内閣の村岡兼造官房長官(当時)が1998年、安倍首相とは異なる政府の見解を国会で示している。
村岡氏は「行政府も権限の行使にあたって、憲法を適正に解釈していくことは当然必要」としつつ、憲法99条の「大臣や議員、公務員の憲法尊重擁護義務」が前提になると述べた。
安倍首相の答弁に似ているが、異なるのは、内閣の権限を示す65条ではなく、憲法で権力を縛る立憲主義の考え方を反映した99条に言及した点だ。村岡氏の答弁は、内閣の解釈は憲法を守る立場から「適正」とされる範囲にとどまり、恣意(しい)的な解釈は許されないとの見解を示している。