9月17日の日本の昔話
三年寝太郎
むかしむかし、なまけ者の息子がいました。
毎日ご飯を食べて、あとはグウグウ寝てばかり。
「寝てばかりいないで、少しは働いておくれよ」
お母さんが頼んでも、知らんぷりです。
息子が少しも働かないので、この家はとても貧乏でした。
寝てばかりいるこの息子を、みんなは「寝太郎」と、よびました。
ところがある日、寝太郎はガバッと起きあがると、お母さんにいいました。
「白い着物と、えぼし(→むかしのボウシ)を買っておくれ」
寝てばかりの寝太郎が突然しゃべり出したので、ビックリしたお母さんはあわてて町へ行き、白い着物とえぼしを買ってきました。
寝太郎は白い着物を着て、えぼしをかぶると、となりの長者(ちょうじゃ)のところへ出かけていきました。
そして長者の家の広い庭に生えている、高いスギの木にスルスルと登ると、長者に低い声で言いました。
「これこれ、長者どん」
木の上の白い着物の寝太郎を見て、長者はてっきり神さまだと思いました。
「へへっー。これは神さま」
ペコペコと頭を下げる長者に、寝太郎は言いました。
「そうじゃ、わしは神さまじゃ、これから言うことを良く聞きなさい。この家の娘をとなりの寝太郎の嫁にするのじゃ、言うとおりにしないと、天バツが下るぞ!」
長者は頭を地面にこすりつけて、あわてて返事をしました。
「ははーっ。神さまの言うとおりにいたします」
やがて長者の娘はお金をどっさり持って、寝太郎の家へ嫁に来ました。
それから、寝太郎と嫁さんとお母さんの三人は、長者の持ってきたお金で、幸せにくらしました。
おしまい
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