旧い友人や先輩方々の情報が入ってくる。
ふわぁと思う。
うれしくなる。
そして思い出す。
昔のことを。
初舞台は1994年「ディオニュソス」であった。
初の海外公演は1995年 ギリシア。
やはり「ディオニュソス」。
懐かしい。
青い空。乾いた風。
真っすぐな太陽。雄大な海。
友人のように舟に寄り添い来るイルカ。
全ての建物の壁が淡いベージュで統一され
屋根は薄茶色で統一されていた。
山のように積まれた食材。
市場では老若男女の元気な声があちらこちらから響いていた。
どの車も古びていて愛嬌があった。
僕らが利用したバスは猛烈な騒音をまき散らし、とにかく揺れた。
何時間も乗り続けるバスの中で僕は桑田佳祐とビートルズを何度も何度も聞き続けていた。
どの料理も味付けはオリーブオイルが使用され、どんな料理を注文しても同じ味がした。
先輩が、持参した醤油をすべての料理にかけていて、それはそれですべての料理が醤油味となっていた。
多くの人が時間にルーズで、僕が観劇した演劇は開演時間が二時間押した。二時間!
パルテノン神殿がそびえる丘の下にヘロディオン劇場がある。
典型的なギリシアの劇場だ。収容人数7,000人(だったと思う…)。
紀元前の遺跡でありながら今尚公共の劇場として機能している。すごい。
二千年以上も前に建てられ、当時のギリシア人達が、それこそソポクレスだのアイスキュロスだの多くの演劇人たちが喧々諤々議論をかわし、あの壮大なギリシア悲劇の群を上演していた、そのヘロディオン劇場。
あの時、僕は23才。
あの遺跡の裏で出番を待つあの身震い。
今でも本番前、時折思い出す。
ギリシアから、イタリア→カナダ→アメリカ
そんなツアーだった。
利賀フェスティバルを入れると約二ヶ月、東京を離れていたことになる。
若い僕は大いに叩かれ、肉体的にも精神的にも絞られ続けた。
それもまた懐かしい。
あの日々があり、今がある。
こうして思い出すと
まるでそれらは昨日のことのようだ。
寺山修司さんの詩か、清水邦夫さんの戯曲だったかな…記憶が曖昧…。
こんな言葉がある。
「ねぇ、時が流れるなんて、まるで嘘みたいだと思わないか」
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