飛空庭で移動しようとした朝でした。
何かが引っかかって動けなくなり、
様子を見に行ったところ、
進路上に大きな魚の形をした。
風の精霊シルフィーがいました。
「あ~ も~ どこにいるのよ!」
『あの? ちょっと?』
「あ~疲れた~ もう動けない」
『もしも~し』
「なに?」
『ちょっとどいてもらえませんか?
そこに居られたら航行できないんです。』
「そんな事いったって、
もう動けないのよ!
もういい、寝るわ! おやすみ~」
『あ! ちょっと! 待って!』
「グガー グオー」
『寝付くの早!』
精霊シルフィが進路を妨害している上に、
熟睡してしまいました。
さて、どうしたものでしょう?
しょうがないので、タイニーアイランドに移動しました。
『あ、ビート版が売ってる。』
ちょうど海開きのイベントの真っ最中でした。
海に出る事ができないはずなのに、
なぜかビート版が売られていて、
イセリアはなぜかそれに興味がわいて、
ついつい買ってしまいました。
「まいど~ やっと一枚売れたよ。」
『泳ぐ事できないからね~』
ふと、周囲に違和感感じたイセリアは、
辺りを見回してみました。
「どうしたんだい?」
『私が居る……』
「ああ、私はモノマネ名人クローンだ。
これは君のモノマネだよ。」
(まぁ、他の人をやってもよかったんだけど、
何かされそうで怖いからな)
『まぁ、その格好で悪い事しなければ、
別に文句はないですけど。』
「ただいるだけさ。気にしない。」
(悪い事って〇〇〇や●●●か?
興味はなくもないが、やった瞬間人生終わりそうだな。)
『ちょ、変な事考えてないでしょうね?』
「そりゃ、考えるさ。
今はこんななりしてるが、元は男だからね。
安心してくれ、何もしないから。」
(女の直感ってやつか? 鋭いな。
まぁ、やましい事はするつもりもないし、
モノマネ師として、そんな事はプライドが許さないな。)
『う~ん、いちおう、信用します。』
「ははは、手厳しいなぁ。」
クローンはなれた感じで笑っていました。
きっといろいろとあったのでしょう。
せっかくタイニーアイランドに来たので、
以前親しかったティタの元をたずねました。
彼女は今この島から出る事ができません。
「あ! イセリア、お久しぶりです。」
『おひさし~』
「あ、ビート版ですね。懐かしいなぁ~」
『懐かしい?』
「あ、そっか、
イセリアって練習してないんだっけ?」
『練習? あ~ そういえば飛ぶ練習か~』
「よく三人で公園にいきましたよね。」
『うんうん、私はなぜか練習なしで飛べてたから、
マリアが悔しがってたな~』
「私は飛ぶのが遅くて、
よく兄に手伝ってもらってました。」
『うんうん、風のシルフィを呼んで、
手伝ってもらってたね。
あのころは、妹思いのいいおにいちゃんだったけど、
今はただのロリコンだよね。』
「あはは……」
『あ、そうだ! 思い出した。』
「何かあったの?」
『そのシルフィが庭の進路上で、
寝入っちゃって動けないのよ。』
「まぁ、そんな事が……」
『ティタに会いに来たんだけど、
見つからなくてイライラしてた。』
「でも、私はここから出る事ができないの。
何とかならないかな~ 変装とか?」
『変装? 変装…… 変装!』
「ど、どうしたの!」
『あ、うん、ちょっと心当たりがあるんだ。
まってて!』
先ほど会った本人と見分けがつかないほどの、
変装とモノマネの名人のクローンのところに、
イセリアはたずねました。
「ふむふむなるほど、
それで、君はその子になりたいと?」
『うん、無理かな?』
「無理って事はないさ。
僕のモノマネは自分が真似るだけじゃないからね。」
『頼めますか?』
「う~ん、一つ条件がある。」
『なんですか?』
「こんな格好してるけど、
僕の事を信用してほしい。
信用してくれない相手にはね。」
『それはもう大丈夫ですよ。
あなたの心はわかってますから。』
「ふむ、なら大丈夫だ。
ちょっと待っててくれ。」
クローンは何かを混ぜていました。
その混ぜたものが少し顔にかかったのか、
クローンは思いっきりくしゃみをしました。
その弾みで、粉っぽい何かがイセリアに、
降りかかりました。
『ちょ! 何するんですか!』
「落ち着いて、自分の姿を確認してごらん?」
『へ? え? えぇぇぇぇぇ!』
「これで、仕草とか真似れば、
君も完璧に成りすます事ができるよ。」
『すご~い ありがとう~』
「これだけ喜んでもらえて光栄だな。」
さっそく、変装した自分を見せに、
ティタのところに戻ったイセリア、
それを見たティタが驚きました。
「私が居る……」
『私だよティタ。』
「え? イセリア?」
『うん、他人の力を借りたんだけどね。』
「うわ~ まるで鏡を見てるみたい。」
『ちょっと、シルフィのところ行ってくるね。』
「うん、行ってらっしゃ~い」
『え~と、ティタの仕草か~
見破られたら元も子もないしな~
え~い! だめでもともと!』
「ふがー ふごー」
『こんにちわ、シルフィ』
「ん…… あ……」
『お久しぶりですね。』
「ティタちゃん、お久しぶりね。
やっと会えたわ。」
『シルフィが尋ねて来ていると伺ったので。』
「私心配してたのよ。
エミル世界に来て大変な事に巻き込まれてないかとか。」
『私の事なら大丈夫ですよ。』
「そうね、元気そうな姿見たらほっとしたわ。」
『わざわざこんなところまで、
ご足労ありがとうございます。』
「ううん、気にしてないわ。
渡しもう帰るね。」
『はい、お疲れ様です。』
安心したシルフィは自分の場所へと帰っていきました。
イセリアは演技を通せた事に安堵感でいっぱいでした。
『ただいま~』
「おかえり~ あら? 元の姿に戻ったのね。」
『あ、うん。』
「ざんねん、とってもお似合いだったのに。」
『まぁ、そうは言わないの。』
「シルフィの様子はどうだった?」
『うん、元気な姿をみてホッとしたって。』
「本当なら直接会いたかったんだけど、
この島から出られないから。」
『しょうがないよ。
事情が事情だし。』
「とにかくありがとう。」
『いえいえ、こっちも庭が動かせないんじゃ、
どうしようもないしね。』
そのご、イセリアとティタは、
日が暮れるまで話をしていました。
久しぶりに会う友達は、かけがえのないものでした。
何とか、皆と再会させてあげたいと思う、
イセリアなのでした。
***--- あとがき ---***
今回は季節イベントの魔法のビート版をベースにしています。
本当に飛空庭が動かなくなるので、
きっちりと終わらせましょう!
ちなみに、攻撃モーションもありますが、
攻撃する最、武器の表示がないので、
見てみる価値はあるかもしれません。