Inachan's Corner

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スーパーシート VS Jクラス

2007-02-02 | 3-2:顧客満足・従業員満足

何かと注目の航空業界。先日の出張で、A社のスーパーシートJ社のクラスJを乗り比べてみた。今回は、その報告。

●スーパーシート
まずは、羽田-福岡のA社。19時45分発。機体はB767-300で座席数279のうち、スーパーシートはわずか12席(4%)。この少なさが乗客的にはちょっとくすぐられる。料金は普通料金+5000円。

ロビーで、優先搭乗がアナウンスされる(後から知ったけど、保安検査も優先されるらしい)。無視して、後のほうに乗り込む。自分の席、たしか2Fの前までいって荷物をとりあえず座席のうえにおくと、すぐCA(キャビンアテンダント)さんがとんできた。

CA「コートをお預かりいたします!」

そういって、コートをもって、入り口のほうへいった。席につくと、またCAさんがきて、

CA「新聞をお持ちしますが、ご希望はございますか?」

フライトしてしばらくたつと、スーパーシートと一般席の間のカーテンがしまる。そして、ドリンクのサーブが始まる。自分はビールを頼む。隣の人もビール。通路をはさんで隣の人は、いきなり日本酒を飲んでいた。右隣の人は、2本目のビールをすぐ頼み、しばらくしてから、日本酒も頼んでいた。機内誌に、期間限定で日本酒をサーブしていることが紹介されていた。自分も2本目のビールを頼む。普通席なら500円×2=1000円。スーパーシートでは無料。

そして、空弁。小ぶりだが、金沢の老舗の料亭「つば甚」の弁当。とても上品な味。相当うまい!と思った。5年前だったら、量的に物足りない・・と思っただろう。味のよさもわからなかったような気がする。しかし、最近、オヤジ化してきて、この種の弁当を好む傾向が強い。今、このシチュエーションだと、ベストに近いチョイスだと思う。おそらくお店で買えば1000円から1200円ぐらい。

座席の前のポケットをみていると、スリッパが入っていて、「ご自由にお持ち帰りください」とある。わりとしっかりしている。日常的に使うにはちょっとつらいかもしれない。が、下手なホテルの室内履きよりはしっかりしている。もし、買ったら500円ぐらいか。

しめてお得感は2500円ぐらい(スリッパは別にすると2000円)ぐらい。あとは、広い座席シート。

●クラスJ
帰りの広島-羽田のJ社。19時30分発。機体はB777-200で座席数380のうち、クラスJは50席(13%)。料金は普通料金+1000円。

こちらのサービスは、基本的に、普通席と全く同じ。「コートをどうする」とは聞かれないし、新聞も一般席同様に、CAが何部かまとめてもってまわる。それから、ビールを頼んだけど、一般席同様、500円かかった。違いは純粋にシートの広さだけといっていい。

●後日談
実は、行きの便で、忘れ物をした。手帳というか、日記のようなもの。4日間気がつかずに、4日たって、福岡のA社忘れ物サービスというTEL番号に電話したら、そこにあった。着払いで送ってもらう。その費用1160円。ただのノート1冊送るのに・・・。郵便切手でおくれば、たぶん200円ぐらいか?
そもそも、スーパーシートのお客さんで、明らかにだれのものかわかる大切そうな忘れ物を、連絡があるまでほってあったのも気に入らないといえば気に入らない。一泊1万円のビジネスホテルはともかく、2万円のシティホテルなら、連絡をしてくると思う。スーパーシートのコンセプトなら、その程度のプレミアムはあるだろうに・・。


●まとめ
クラスJとスーパーシート、個人として、どちらがいいかというと、一概に結論をだすのは難しい。自分は、身体がでかい。クラスJは頻繁に使う。あの広さの違いで1000円は価値があると思う。でも、スーパーシートのプラス5000円は、金額的にちとつらい。ただ、小柄な友人にいわせると、クラスJは全く魅力がない、という。
一方で、マーケティングに携わるものとして評価するならば、結論ははっきりしている。スーパーシートに軍配をあげざるをえない。

それはなぜか?

サービス1つひとつの違いの問題ではない。よく、機内サービスについて、「最近のJ社はA社に比べて・・・」という話を聞くことがある。でも、今回よくわかったのは、おそらく、最近のA社とJ社の提供サービスの質の違いは、現場のCAなどのスタッフの問題ではない。一番のポイントは、「サービスのコンセプトの一貫性と明確さ」だと思う。

スーパーシートのほうは、「国内線のビジネスクラス」というコンセプトが明確で、サービス提供者がそのコンセプトを共有している。顧客も、そのことを明確に期待している。一方で、クラスJは、基本的には「席が広いエコノミークラス」なんだけど、顧客にも、サービス提供側にも「安いビジネスクラス」という誤解があるように思う。クラスJが始まった当初、ビールを無料でサーブしていた。私の聞き間違えでなければ、搭乗者の一人ひとりを、CAが名前で呼ぼうとしていたときもある。

要するに、Jはサービスのコンセプトがぶれているのである。だから、現場のサービスがぶれる。

実はこの問題、全社的にいえることではないか? なんて気もしている。ただ、考えてみれば、A社とJ社の違いが、現場のスタッフの能力やスキルの違いではないというのはJ社にとっては幸いである。
A社の忘れ物セクションは、全くいけてない対応だった。それは、「スーパーシートの顧客だよ」ということが、そのセクションまでは共有されていないからではないか?と思う。戦略さえ明確で、現場にバッと伝われば、実現されるサービスのレベルに違いはないのではないか? その意味で、J社には、いつでも劇的によくなる伸びしろがある、と思うのだが、どうだろうか。
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