Inachan's Corner

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連載コラム8 『柏レイソルJ1復帰の原動力(1) ~最悪の状況で、経営者は何から手をつけるべきか』

2007-09-21 | 4-3:書き物
連載コラム8本め。8回目にして、初のマーケティングものです(これまでは人材開発もの)。掲載雑誌はこちら
写真は、柏レイソルのサポーター応援旗、-No Reysol,No Life!-


連載コラム
人の振りみて、我が振り直せ
~あの人・あの場面に学ぶ人材育成とマーケティング~

第8回
柏レイソルJ1復帰の原動力(1)
最悪の状況で、経営者は何から手をつけるべきか



 一年ぶりにJ1に戻ってきた柏レイソルが、現在、18チーム中5位と大健闘している(9月17日現在)。現在の柏レイソルはU-22代表の李忠成ら若手中心のチームである。一方、J1降格が決まった2005年当時、レイソルには玉田(現名古屋)、明神(現ガンバ大阪)、波戸(現大宮)、矢野(現新潟)などフル代表クラスが多数在籍しているにもかかわらず、常に最下位争いをしているようなチームだった。
 当時、レイソルのフロント(経営)、選手(現場)、サポーター(顧客)の関係は、険悪だったという。たとえば、フロント幹部と選手は顔を合わせても話すらしない。選手は試合後、サポーターに挨拶もしない。サポーターはスタジアムで選手批判、フロント批判を繰り返す…といった状況だった。そして、ついに、2005年4月23日の対名古屋グランパスエイトとの試合後、低迷するチームの現状に業を煮やした一部のサポーターが暴徒化し、10人以上の負傷者を出す乱闘騒ぎが起こってしまう。続く5月28日にはジェフとの千葉ダービーで1対5と惨敗し、サポーターの座り込み事件が起こる。自体は最悪である。あなたなら、この状況で、いったい何から手をつけるだろうか。

 もちろん、レイソル復活の直接の要因は、石崎監督や選手が結果を出したことである。しかし、低迷するチームで監督を交代して何も変わらなかったという例は枚挙に暇がない。監督を代えたことだけではなく、ポイントは監督や選手が結果を出せる環境を、フロントが整えたことにある。

 サポーター座り込み事件の際、騒動を収めるために、寺坂利之常務が拡声器一つをもって、居座るサポーターの前に立った。その場で球団とサポーターとの意見交換会を行うことを約束することになる。実はこの瞬間が、レイソルにとって、一つの転換点となった。それまでこの球団は、サポーターを敬して遠ざけるようなところがあり、間違っても経営者がサポーターの前に顔をさらすようなことはなかったという。そのことをフロントのスタッフも当然視する風土があった。ところが、この日、寺坂常務は周囲の反対を押しきって、サポーターの前に立ち、話を聞いた。今、振り返ってみると、この瞬間が1つのターニングポイントとなったといっていいだろう。この瞬間から、徐々にレイソルはサポーターの声に耳を傾ける組織に変わっていく。

 どこから手をつけてよいか、わからないぐらいにいろんなことがうまくいっていない組織があったとしたら、まず何から手をつけるべきか。答えは一つ。まずは

「顧客の声に耳を傾けること」

である。
 2006年以降、柏レイソルではさまざまな取組みを行っていく。顧客の声を聞くことからスタートして、単にJ1に昇格するだけでなく、J1にあがっても、結果を出し続けられる組織作りに成功した。次号では、その具体的な取組みを紹介したい。
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