池田信人blog

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雇用問題について弱者まとめ序説

2009年02月03日 07時32分11秒 | Weblog
正社員も派遣社員も自動車や電機の工場のラインでは、ほとんど同じ仕事をしている。雇用形態が違うだけだ。だから、企業の本音は、工場のラインなら「すべて派遣社員でもいい」のだ。先日の日本テレビ「派遣切り ニッポン失業危機を救え」という討論番組の中で、企業側代表の出井伸之(元ソニー会長兼CEO、元経団連副会長)がそう本音を口走っていた。

不況で、ラインをストップするなら、正社員も派遣社員も、企業にとっては無駄なコストだ。ラインを動かすときに、トヨタのカンバン方式のジャストインタイムで部品と同じように再び労働力を調達すればよいのである。

ラインがストップするときには、設備も労働力もすべてが無駄なコストになる。派遣労働の規制強化をするなら、日本企業は海外に工場移転するなどという話はありえない。ラインがストップしている工場を海外に移転させて一体何の得があるというのか?

企業、経団連の狙いは、海外移転をするぞと脅して、派遣労働の規制強化を頓挫させることだ。そして、「正社員vsハケン」と労働者の間に「分断」「対立」を持ち込んで、「正社員の既得権」=「正社員の解雇規制」がさも諸悪の根源であるかのように描き出し、正社員の解雇も容易にして、ほんの一握りのエリート層を除く、大多数の労働者の「非正社員化」(容易に解雇できる正社員はもはや非正社員化している)をはかり、工場のラインの部品の一つとして自由自在に調達できるようにしたいのである。

「正社員が既得権にあぐらをかくことは許さない。ゼロから再出発して公平な競争の出発点にすべてのレース参加者を並ばせる必要がある」

この企業の競争至上主義が、生身の人間に貫徹すると何をもたらすか?

資本と工場のラインを持つ企業は、ゼロから再出発した裸の全労働者に競争を強いて、結果、繰り広げられるのは「労働力の買い叩き」「レース・トゥ・ザ・ボトム」(どん底に向けての競争)であり、「低位平準化」(人間生存最低ラインへのサヤ寄せ)に向かわざるをえない。

そして、「ご破算で願いましては」に続き、工場のラインの上に立つ最後の勝者が、新しいルールを作ることになる。こうして、競争至上主義の行き着くところ、待っているのは「ウイナー・テイクス・オール」(一人の勝者がすべてを奪う。一人の最後の勝者が新しいルールを決める)という弱肉強食社会が到来する。勝者にとってはすばらしいことこのうえない世界の到来である。

強者が弱肉強食社会の到来を羨望するのは当然だ。ネットの世界の言説は、強者の論理が多いように私には思える。私は弱者なので、弱者の立場から発信したい。弱者からすれば、雇用問題含め、北欧の福祉国家に向かうのがベストではないかと考えるが、まだまだ勉強不足なので、今回の最初のエントリーを序説として、今後いろいろ勉強して深めていきたいと考えている次第だ。


▼参考ブログ

★過ぎ去ろうとしない過去
雇用の流動性をはかれという議論に欠けているもの


★日本経済の処方箋 - 北欧型ワークフェア国家(新しい福祉国家)へ、同一労働同一賃金・内需拡大を