株式会社 ごらく

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3月11日 あの缶詰

2022-03-11 09:40:01 | 株式会社 ごらく
東日本大震災から、今年で11年が経ちます。

震災といえば、忘れられない思い出があります。

6年前、熊本地震発生後すぐサービス付き高齢者向け住宅おいけは、自然の流れで避難所のようになっていました。

避難所開設からしばらくすると、食材が底をつき始めました。

 当初、避難所として指定されておらず、物資を配っている場所にもらいに行っても、「避難所と認められてないから」と物資を分けてもらえませんでした。

店も開いておらず、食材の配送業者は来ず。

 ありがたいことに、各支援団体や避難されてきた方々や近隣の方々から、水やお米、野菜など色々なものを頂きましたが・・・・・

ないんです。  あれが足りないんです。

“タンパク質”

毎日、生活に必要な水を近くの川に汲みに往復。
自宅が倒壊した職員は施設に寝泊まりし、がけ崩れなどで道路が封鎖され出勤してこれない職員の代わりにフォロー。挙げるときりがありません。
一日中、動きっぱなし。職員は心も体もヘロヘロです。

入居者様も、食事の内容が日に日に粗末になっていくのに、何一つ愚痴をこぼされることなく黙々と食されてましたが、ストレスと慣れない環境でクタクタだったと思います。

そんな時、駐車場に県外ナンバーの車が。

「わ」鹿児島○○○○ 

??レンタカー?

若い男性が段ボール3箱を抱えて降りてこられ、「どうぞ!

職員「???」

若い男性「ここは、自主避難所をされていると聞きましたので、どうぞ!

職員「えっ?どちらから来られたんですか?」

若い男性「宮城県です」

職員「どうやって?」

若い男性「鹿児島空港で降りて、レンタカーで来ました!」

職員「高速道路使えました?」

若い男性「いえ、途中から国道を来ました。」

職員「これは何ですか?」

若い男性「缶詰です。食べてください!

そう言って、段ボール3箱を職員に押し付けると、
「他にも行かなければならないから」と車で走り去ってしまいました。

段ボールを開けると、缶詰とともに1枚の紙が入っていました。

※文省略
 東日本大震災が発生し、暗闇の中に立たされていた私たちを、真っ先に助けに来てくれて、ありがとうございました。

「熊本県」と書かれたヘリコプターを見たときは、本当にうれしかった。

おかげで今は前を向いて進むことができています。

熊本県の皆様が助けてくれたあの日ことは、忘れません。
 
今度は私たちの番です。

少しばかりですが、缶詰を送らせていただきます。

熊本県の皆様が、前を向いて進むことができるようにお祈り申し上げます。」

夕食のとき、この手紙を読み上げ、入居者様・職員・避難されている方全員で食べました。

泣きながら食べている人もいました。

クジラや牛肉の大和煮の缶詰でした。

タ タ タ タンパク質!
                

うまかった~‼  

でも、

( 熊本県の皆様って・・・私たちだけではないのに・・・

私たちが、復興支援に行ったわけじゃないのに・・・

宮城県もその他の県も、まだ復興してないのに・・・)

そう思いました。


あの時の若い男性は、名乗らずに行ってしまいました。

突然の出来事で、お礼が言えませんでした。

『 ありがとうございました。 

 あの缶詰のおかげで今があります。

ちゃんと言葉で伝えたいので、
あの時の若い男性の情報をご存じの方がおられましたら、ご一報ください。