「女子アナ」になってみました。 Ichiko Fukada official blog

だから女に嫌われる!?
素晴らしき女子アナワールド♪連載エッセイ。
深田いちこ連載小説、同時更新中。

意外な人との意外な相性

2012-04-06 14:18:08 | エッセイ
わたしがアナウンサー受験に望んでいたころ、

ちょっと苦手だった受験仲間がいました。









歌うような喋り方、

頭のてっぺんの、さらに上から出しているような高い声。

気にしたくない!

でも、どうしても気になってしまう、

彼女はそんな存在だったのです。









でも、そういう相手に限って、

なぜか試験会場で会ってしまうんですよね









例えばパーテーションで区切られたような面接会場でも、

あの独特の声がその奥から聞こえてきただけで、

「うわ!またいる!!」

と、分かってしまうのです。




姿が見えなくても存在が分かる。

ある意味、すごい存在感の持ち主です。









彼女のさらにすごいところは、

その「ちゃっかり」ぶり。









面接までの時間を埋める担当者の世間話を

さも興味深そうに聴き、

手渡された、オジサンの趣味の会報誌を帰宅後に熟読(?)。

次回の試験の際に、




「前回頂いた会報誌に、家族もすっかり感銘を受けてしまいましたので

もう一冊頂けないでしょうか?」




と申し出る前向きさ(?)なのです。









二人きりになった時に




「あの会報誌、そんなに面白かったの?」




ときいてみると、









「え?そんなわけないじゃん。

あの場合、ああ言っておいたほうがトクでしょ?」










と、きっぱり。









(むむむ・・・なかなかやりよる。









まぁ、趣味の会報誌を「もう一冊もらう」ことがトクかどうかはともかくとしても、

趣味に興味を持ってもらって、担当者はまんざらでもなさそうでしたからね。




作戦はおおむね成功といったところでしょうか。









そんなこんなで、彼女とはなんとなく相容れないものを感じていたのですが

縁は異なもので、その後もことごとく試験会場で顔を合わせ、

気づいたら、一番よく話す受験仲間になってしまっていました









そして、だいたい時期を同じくして、

それぞれアナウンサー試験に合格。









テレビ局の系列が同じだったので

それぞれの入社後も縁が続き、

いまでは親友とも呼べるほどの仲に発展してしまいました。









彼女のちゃっかりキャラは今でも変わりませんが、

思っていることを裏では(わたしの前では)口に出してしまう正直さも

慣れてくると意外と憎めず、

面白い友人の一人です。









まぁ、彼女に限らず、

今になって見回してみると、アナウンサー受験仲間って、

ちゃっかりした子が多かったなぁと、妙に実感する今日この頃。




それくらいでないと、この業界、うまく渡っていけないのかもしれませんよね。

そのネコ、剥がれない?

2012-03-23 11:07:26 | エッセイ
誰もが、大なり小なり




ネコをかぶって




アナウンサー受験に望んでいます。









過去にも書きましたが、あんまり私生活をぶっちゃけ過ぎると、

試験では損してしまいますからね









でも、ネコをかぶったまま首尾よく合格してしまう子もいれば、

いいところまで行って、

化けの皮が剥がれてしまう子もいるのです。









あるテレビ局の最終試験で

Sちゃんという女の子と一緒になりました。




Sちゃんは、他の子よりもひと際化粧が濃くて、

ちょっと裏がありそうなタイプ




でも、お上品キャラのネコをかぶっている感じに見えました。









実際、Sちゃんとプライベートで交流があった子の中では、

「かなりぶっちゃけるキャラ」

と認識されているとこのとでした。









それでも、しっかり被ったお上品ネコが功を奏して、

トントン拍子に最終試験まで勝ち残ってきたわけです。









ところが。









最終面接のあと、みんなで駅に向かう道で、

Sちゃんが言ったのです。









「わたし、面接で、

キミって良い子ちゃんかと思ってたけど、

違うんだねって言われちゃった。」









えええ~???









一体面接で、何を言っちゃったの??









ここまでは、うまくネコを被れていたはず。


それなのに、最終面接で化けの皮が剥がれるとは・・・。









うまく被ってきたはずのネコ。

でも、人生経験豊富な

重役のオジサマ達の目は、フシ穴ではなかったようです。









結局、Sちゃんはその局には不合格。









アナウンサー受験は、局ごとに

短い期間で集中して試験を行うので、

ネコを被ったまま合格する子もいれば、

うっかり失敗してしまう子もいます。









これは、その局の好みや

本人の運と、

どのくらい、その化けの皮が

カラダにフィットしているかによると思います。









でも、ネコを被り続けるのって、疲れますからね。

運よくそれで合格しても、

入社後に延々と続いていく毎日のことを考えると、

あまり無理してネコを被るのもどうかな、と思いますけどね

人気者の資質

2012-03-16 11:58:37 | エッセイ
逆に、学生時代から、

その後人気者になる片鱗を見せていたのが、

Nちゃんでした。




彼女の第一印象は、




「ギャル」




見かけも喋り方もギャルっぽくて、

他の子からは少し浮いた存在でした。









無断でセミナーに大遅刻して

テレビ局の担当者から

探されていたことも・・・。










でも、セミナー最終日。

最後にみんなで記念撮影をしようということになったとき、

われ先にと、すし詰め状態で

カメラの前に並ぶ面々をよそに、

シャッターを押す係をさりげなく引き受けてくれたのが、

Nちゃんだったのです。









撮る側に回ってしまうと、自分の記念写真は残らないのに・・・。









しかも、その場には局の人がいませんでしたから、

全く点数稼ぎという訳ではないのです。









Nちゃんは、某有名テレビ局に入社した後も、

ギャルっぽさが抜けませんでした。




最初は、そのキャラクターを売りにしたような

深夜系の仕事も多かったと記憶しています。









そのテレビ局の採用試験で落ちてしまい、

悔しがっている受験仲間の中には、

「なんであんなギャルに自分が負けたのか」と

恨み節を言う子さえいました。









でも、Nちゃんのその後の活躍には

目を見張るものがありました。

あっという間にスターダムに駆け上がり、

いまや日本を代表するアナウンサーの一人と言っても

過言ではありません。




そんな彼女を評する言葉として

よくテレビでタレントさんや他のアナウンサーさんが

口にするキーワードが

「気遣い」。









心を込めて人に接する姿勢が、

身近な人たちの心をつかんで放さないようです。









アナウンサーとして成功するには

才能や、時には運も必要かもしれませんが、

彼女の成功の陰には、

それ以上に、

彼女の人柄があったように思います。









せっかくセミナーで毎週顔を合わせても、

仲良くなるきっかけがなかったので

私生活での交流は過去に一度もありませんが、

一人のテレビ視聴者として、

同業者のはしくれとして、

Nちゃんはわたしが尊敬する人の一人です。

品が良いって本当ですか?

2012-03-08 14:43:28 | エッセイ
わたしが女子アナ受験した年の受験者には、
錚々たる顔ぶれが揃っていました。




各キー局の局アナになった子も、地方アナを経由してフリーアナになった子も、
いまやテレビでエース級の活躍をしている人ばかり。




実際、うなってしまうような実力の持ち主もいましたし、
逆に、「??」なキャラクターだけど、勝ち進んで行ったタイプの人もいました。




女子アナ志望の大学生、という段階で
ひと際目立っていたのが、その後、某キー局の局アナとして大活躍することになる、
Rちゃん。




彼女はとにかく美人!




でも、びっくりする位、態度が悪かったんです・・・。




気まぐれで、
自己紹介するときにさえ、その立ち方からして不遜。
ぐにゃぐにゃと方を揺すって、あごを上げながら名前を言うような感じなのです




あまりの態度の悪さに、同じ女子アナ受験者たちの中に、
彼女のモノマネを得意とする人まで現れる始末でした。
(↑それもまた、どうなの?って感じですけどね




でも、例えばテレビ局のセミナーで、
指導役としてやって来る男性アナのおじさまたちは、
彼女の美しさに、鼻の下を伸ばしまくりでしたね




天然ボケというわけでもなく、特に笑いにも繋がらないような凡ミスを
彼女がどんなに繰り返しても、
男性アナたちは、そこには一切触れず。




「いやぁ、Rさんは、そこに居るだけで、
パッと明るい感じがして良いですよね!!
みんな、Rさんに拍手!!」




くらいの評価の高さなんです





男性アナたちのデレデレの態度が分かりやすすぎるので、
わたしは、




「ああ、やっぱり世の中、人って見かけなんだね」




と、世の中の不条理や矛盾を改めて実感したりしたものです。









でも、どんな理由でも、
合格してしまえば彼女の勝ちなのは、明らかな事実。




実際の入社後は、放送上は、Rちゃんは一切の態度の悪さを封印しています。




それが功を奏してか、
超人気番組のキャスターになり、局を代表する存在に。
少し前には、




「上品な女子アナランキング」みたいなもので
上位にランクインしていました




ほんまかいな




まぁ、放送を見ても、キリッとした美人という感じの見え方で、
学生時代に、みんなにモノマネのネタを提供していたような
独特キャラには見えませんからね。









女子アナになってしまえば、日々、週刊誌のネタにされ、
普通の女子なら確実に傷つくような過酷な環境に置かれることは事実です。




それを思えば、Rちゃんくらいの図太さというか、
したたかさみたいなものは、持ち合わせている方が強いのかも。









でも、わたしは、裏側を見すぎましたからね。









それからというもの、「テレビで良い人そうな人」というのを、
わたしは一切信頼していません。

発信元はどこ?みんなを惑わすデマ情報!

2012-03-03 14:44:34 | エッセイ
女子アナ受験中につきものなのが、各種のデマ情報。




「○○大学の○○ちゃんが
○○テレビから内々定をもらったらしい!」





というタイプの噂がほとんどですが、
中には、




「○○っていうブランドのスーツを着ないと
合格できないらしいよ!」





なんていうのもありました。




特定のブランドのスーツを着ないと合格できないなんて、
普通に考えればあり得ないことです。
だって、面接の最中にスーツを脱がせて洋服のタグを見るような暴挙には、
さすがにどこの局も出ないでしょう。




でも、みんな真剣だから、
このテの噂に、いちいち惑わされてしまうんですよね・・・。




受験期間中に飛び交う噂というのは、
わたしの時に限って言えば、
本当の情報である確率は0パーセントでした




特に意味が分からないのが、
「○○ちゃんが○○テレビに内々定をもらった」
というタイプの噂。




こういう噂を聞いて、本当に○○ちゃんが
そのテレビ局に合格したところを、
一度も見たことがありません。




だいたい、噂の主人公が同じ子だったことを考えると、
今になって振り返れば、
噂の発信元は
噂の主人公だった可能性も・・・。




各種の噂を流して、
人を惑わせたいタイプの人だったのかもしれませんね。
(これで誰かが動揺して、一人でもライバルが減れば、
作戦成功というところでしょうか。)




とにかく、どんな手を使っても
女子アナになりたい、という人が
ゴロゴロいるために、
ごく普通の大学の
ごく普通の大学生はびっくりしてしまうような
カケヒキが日常的に行われています。




女子アナになれば、それはそれで
色んなドロドロが待っているので、
こうやって学生時代から
少しずつ鍛えられていく、という考え方もできますけどね