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コンパクトHFアンテナの性能比較

2022-05-27 17:49:22 | その他のアンテナ

コンパクトHFアンテナの性能比較

国内のアンテナメーカーから最近発売されているコンパクトHFアンテナと以前からあった小型マグネティックループアンテナなどを比較してみたので報告します。

対象にしたアンテナは

コメット, HFJ-350M

第一電波, RHM12

Alexandre Grimberg, PY1AHD ALEXLOOP HAMPACK SYSTEM

              http://www.alexloop.com/artigo44.html

などです。これらはHFというと大きなタワーと大掛かりな設備が必要だった印象から、出先でも簡単に楽しめるようにと最近販売開始されているアンテナを比較してみようと試みてみたものです。

HF帯のアンテナとしてはダイポールアンテナなどが一般的でそれと直接比べると見劣りはするものの、これらの小型アンテナでも近年一般的になってきたFT8やFT4では海外との交信も可能なアンテナであると思いました。これからサンスポットナンバーが上昇するにつれてますます利用できるチャンスも増えてくると思っています。

比較測定方法

比較のためは、これまでよく使われていたアナログなSメーターの読みではなく。FT8での受信時にデコードされるSN値をdB単位で使用することにしました。この方法によると受信信号の強さをより正確なdB値で比較できると考え、採用しました。

Ref アンテナシステム:自宅に給電部6mHで仮設している12mワイヤーをアンテナチュナー(RT-100)に繋ぎ、バンドごとにチューニングしていずれの場合もRef アンテナとして使用しました。受信はFT897を使用し、WSJT-Xでデコードしました。

Test対象のシステム:アンテナを1階の屋根の上にカメラの三脚の上に乗せ、アンテナアナライザーSARK110を使って、バンドごとに同調を取り、測定周波数でのSWRをできるだけ最低になるように合わせ、IC705に接続しました。デコードはJTDXを用いました。

それぞれのバンドで各々30分から1時間受信状態を保持し、でコードデータのすべてを記録しました。時間帯によっては送信している局数が極端に少ない時間帯もあり、同一局の繰り返しが多くなり、十分なデータ数が集められないこともあったのでデータの撮り直しを行った場合もありました。

十分なデータが取れたところで両者のデータをソフトで自動的に作成されるALL.TXT(WSJT-Xの場合)からExcelにコピペし、データからSN値と周波数のみを抽出して比較を行いました。Ref SN値―Test SN値を両者の受信性能差として求めました。

従ってこのRef-Test dB値は大きい値ほどRef アンテナのほうがより高い受信性能であることはわかります。逆にマイナスの大きい値であればTestアンテナのほうがより高い受信性能であったことが解ります。

9行目での強度さを計算するには

強度さを求めるRef-Test dBは:=IF(B9="","",IF(G9="","",B9-G9))

              周波数差を求めるFreq. Adjは:=IF(C9="","",IF(E9="","",C9-E9))

具体的にはまず同時に2本のアンテナで受信できるように2系統の受信機を用意します。これらを同一のPCでデコードできるようにPCと受信機を接続します。Refアンテナを1台目の受信機に接続し、私はこれをWSJT-Xでデコードし、Testアンテナを2台目の受信機で受信し、JTDXでデコードしました。二つの受信ソフトで受信可能な最低信号レベルには若干の差があるものの、集計の際に両者が同時刻にデコードできたものだけで集計することで様々なソフト的な差を無視できるようにしました。

受信したデータはWSJT-Xの場合ログディレクトリに自動記録されるALL.TXTとJTDXの場合2022xx.TXT (xxは記録した月の数字)に残るので実験開始時刻を時:分:秒で記録しておき、あとでWIN10に組み込まれているWin Memoソフトで開始時刻以降のデータを読み出します。

エクセル上に二つの無線機からのTXTデータを異なるページのA列にコピペし、データ中のSNと周波数をそれぞれB,C列に抽出しました。その後JTDXではA列を追加し、元のC列(周波数)をA列に移動させたものが上の図です。JTDXの画面でFreq.の列が=VALUE(RIGHT(LEFT(B10,30),5)で対象セルがB列となっているのは、最初WSJT-Xと同じようにD列で作成したFreq.データを、次の集計のためにA列に移動したものです。

抽出する式はWSJT-XとJTDXとでは少しデータ桁数が違っていることにご注意ください。最初にVALUE命令があるのは読み取った文字データを数値として扱うためで、これによりいろんな計算命令が使用できるようになります。例えば10行目でのdB値は

WSJT-XでのdB値は:=VALUE(RIGHT(LEFT(A10,38),4))、freq.値は右式の38を48に変えて使う。 

JTDXでのdB値は:=VALUE(RIGHT(LEFT(B10,19),4))、freq.値は右式の19を30に変えて使う。

データページができたら集計ページの作成です。

ページを追加してヘディングを作り、条件などを書き込み、忘備録とします。

新しく作ったページにWSJT-Xのページで作ったSN (dB)とFreq.の列を参照としてA,B,C列にコピペで転記します。更に1列開けてJTDXのSN (dB)とFreq.の列を参照として同じように転記します。

同一時刻で受信した記録を同じ行に来るようにE,F,G列の行を移動して同一局の送信記録を対応させます。さらに、HとIの列にはSN (dB)とFreq.の差を計算します。私は00秒、30秒の受信記録には薄い青の色をかけてまちがわないようにくふうしています。対応する記録のないところは当然どちらか画ブランクの部分になります。例えば9行目の計算では、同時刻で同一局のデータをそろえたのち、

              Ref-Test dBは: =IF(B9="","",IF(G9="","",B9-G9))

              Freq. Adjは:=IF(C9="","",IF(E9="","",C9-E9))

お互いの受信機の周波数はロックをかけているので、Freq. の差は1回の試験の間ほとんど同じ値になりますのでこの数字が大きく違うときは行の並び替えが間違っていたことが容易に確認が取れてエラーチェックに利用しています。

このバンドでの集計データはC2に=AVERAGE(H9:H1812)として集計します。同時に、採用した全サンプル数も参考のためにCOUNT関数で求めておきます(セルC3)。この表において集計データはそれぞれ

dB平均値はセルC2:=AVERAGE(H9:H1812)

サンプル数は C3:=COUNT(H9:H1812)

この式で求めました。

これを各バンド集計して測定結果にしました。

 

測定結果

SN(dB)値はマイナスの大きい数字の方がTESTアンテナの性能が高いことを示しています。

コメットHFJ-350M

7MHz以外のバンドではHFJ-350Mの方が12mのデルタループよりも受信感度が高いことがわかりました。

ダイヤモンド RHM12

HFバンドのみしか比較はしていませんが何れのバンドでもHFJ-350Mと比較して、RHM12の方が同等か若干上回った特性であったことがわかります。この測定法でいろんなアンテナ特性を何度か取っていますが、ここで比較したデータの差が2dB以下の場合は、同等であるといった方が無難だと私は考えています。

ただしこの型式のアンテナはカウンターポイズによる影響が大きく、今回はカウンターポイズを同一にして測定しました。

カウンターポイズに非常持ち出しに使われるアルミ蒸着のPETフィルムもカウンターポイズに使用できそうな感触があります。但し移動先で使用するには地面に固定する方法に工夫が必要だと思いました。5cm角程度のアルミ板で挟んで圧着端子経由でグランド配線を行います。

 

マグネティックループ

さすがにループ系アンテナなので小さいながら

更に2重ループにして3.5MHzにも出ようとトライしました。同じ長さの8D2Vを作成したが3.5MHzでは充分にSWRが下がることはなく、あきらめましたが、せっかくなのでオリジナルの同軸DCL213 Premiumの代わりに8D-2Vに変えてもデータを取ってみました。

18MHzを境にして上のバンドではオリジナルの同軸の方が特性はよく、下のバンドでは逆に8D-2Vのほうがいい特性であることがわかりました。

サンプル数が200局以下のデータはデータ集積の期間が少なくこれ以上のデータが記録されていませんでした。

 

以上 2022May27



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