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《東京新聞記事》
(一部抜粋転載)
音楽番組、追い風? 「歌を…」震災以降、多くの要望
2011年9月30日 朝刊
日本テレビが10月19日から新番組「1番ソングSHOW」をスタートさせる。
午後7時台の歌番組は、同局としては「歌のワイド90分!」以来、25年ぶりという。
大みそか恒例のNHK紅白歌合戦も「震災以降、歌番組への要望がたくさん寄せられている」などとして、昨年より15分拡大することを決めた。
音楽番組に今、追い風が吹いている? (早川由紀美)
「日本は音楽不況で、歌が始まると視聴率が落ちるなど、苦戦を強いられてきた。しかし、昨秋ぐらいから、各局とも音楽番組の視聴率は上昇傾向にある」
日本テレビの前田直敬プロデューサーはゴールデン帯で新番組を始める理由を、そう説明する。
「AKB48や、K-POPアーティストのCDが十万枚単位で売れている。ここ数年の音楽界にはなかった大きい動きで、テレビの音楽番組への注目も高まっている」と分析する。
(中略)
「1番」や「1位」をキーワードにした音楽番組は今夏、同局の深夜番組やゴールデン帯の特番で好評だった。
「震災以降、視聴者がより純粋な気持ちで音楽に向き合う傾向が強くなっていると感じる。過去の映像も交えることで、幅広い世代に見てもらえる、欲張りな番組にしたい」
NHKは第六十二回紅白歌合戦を昨年より十五分早めて、午後七時十五分から午後十一時四十五分までの四時間三十分とする。
一昨年の第六十回と並び最長。
松本正之会長は九月の定例会見で「歌手の皆さんのもとには、被災地から『歌ってください』とのメッセージが多く寄せられたと聞いている。歌の力をあらためて感じている」と説明した。
「重いニュースが多い中、肩の力の抜けるものがあったらいいな、いろんな形でやれたら、という話はしている」と、来年度以降の音楽番組の拡充についても検討を始めていることを明らかにした。
一方、二十五周年を迎えたテレビ朝日の老舗音楽番組「ミュージックステーション」(金曜午後8時)の清水克也ゼネラルプロデューサーは「ものすごい(追い風が)きているとの感じは受けていない」と慎重だ。
音楽を伝える手段がCDだけでなく、ネットでの動画配信など多様化し、人の好みも細分化している。
「大勢の視聴者に向けて放送しているテレビは小回りが利かないが、今までと違う音楽シーンを伝えたい」と苦心する日々という。
最近ではロック界気鋭のサカナクションや、ビジュアル系の異端児・ゴールデンボンバーらが登場。
十月二十一日には新人アイドルグループのフェアリーズも出る。
「僕らの音楽」(金曜午後11時30分)などを担当するフジテレビの菊地伸ゼネラルプロデューサーも「テレビ全体の視聴率が下がり、ハードルが低くなっているが、決して順風ではない」との意見。
「テレビで万人が見たいという音楽がなくなっている中で、見てくれている人の多くは、アーティストのファンではなく番組のファン」。
そのことを前提に、菊地さんがこだわるのは生演奏。
ピアニストの清塚信也がK-POPの東方神起と共演するなど、生演奏ならではの驚きを視聴者に提供する。
ミリオンヒットがなかなか生まれないなどの苦境も長く続いた中で、音楽番組は独自の方向性を目指し、足腰を強くしているようだ。