柏崎百景

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俳句の中の柏崎 其拾弐

2006年02月07日 | 景観




塩屋煙霧

 たかぬ日ハ霧立替る塩屋哉          重 英
 しほ釜や焦れて霧も立やらん         涼 雅

 柏崎の海岸では概ね何処でも塩焚(製塩)をしていたようで、かなり記録が残っているようだ。「瀘鞴夜光」に登場した大久保の鋳物師が製塩用の釜を作っていた。釜とて安くないものでそれを貸して財を成した者もあると聞く。実際働く者の苦労は別にして、たなびく煙の眺めとは風流に違いない。

三石潮音

 潮音や馴て昼寝の薄原            郁 翁
 夕浪の音に呼出す時雨かな          宇 曲

 築港や後の道路拡張のため、現在は地名(交差点名)しか残っていないが、「凹凸のはげしい岩礁が海へ突き出て、夫を北海の荒海が洗ふので壮観である(今は昔四十八題)」で、その付近に別荘まで出来ていたそうだ。幼い頃見てたはずだが記憶に無いのが残念。




屋型(おくがた)岩窟

 汐めくる花藻や岩に藤巴           筌 滉
 ところてん岩屋則氷室かな          重 英

 鯨波の鬼穴の辺りともう一説、番神岬の下に豪族が住んでいたらしい館跡をさすというが、句からすると鯨波鬼穴辺をさしているらしい。

岩島苔摘

 雪のりハ鷺か烏と成にけり           重 英
 のり摘や手の胼(ヒゝ)吹て番代(カハリ)   う 曲

 句にあるとおり寒中に採り「雪海苔」と呼んでいた。自然に岩についた海苔を摘むもので、番神から笠島まで採っていたと言われる。現在は「笠島の岩海苔」が有名で、毎年岩を洗って種を蒔くと聞く。これもまた寒中に働く姿、見ているだけなら風情があろう。

(陸)





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