短歌日記・・なおみ・・

妄想と自己愛で気まぐれに歌をつぶやきます

サプリメント

2016年02月12日 01時05分20秒 | 短歌日記
免疫力を高めるという「スピルリナ」0.3ミリの藻であるらしい

「0.3ミリの藻」…まったく絵がうかばない。正体不明のものであるからこそ何か新しい力があるように感じられる。わたしの中に毎日10粒、緑の小さなかたまりが入り込みフツフツと泡立ちながら何かを始めている。真夜中キッチン、瓶の中で「スピルリナ」がうごめいている。

2015年12月07日 20時25分46秒 | 短歌日記
人からは「友達母娘」と言われつつ扉ひとつの隔たりを保つ

 母と娘の関係はとても深い。血縁関係の中で一番濃いのではないだろうか。娘のふとした表情や何気ない言葉の中に自分の姿を感じた時、不快ともいえる感情を持つことがある。一人の女性として、離れていくべき娘の心の奥深くを覗き見てはいけない。私は鍵のかからない扉を閉める。

2015年06月24日 10時44分39秒 | 短歌日記
日常に在るあやふやな透き間にはわたしの三分の二が入り込む

真っ白な壁。高く広く終わりの見えない日常の壁。その壁に突然あらわれた透き間をわたしは見つけてしまった。入り込むわたしの右足、右腕、髪、あご、胸、こころ…残りはまだ壁の内側にある。きっと戻って来られるように。

幻想

2014年11月30日 19時09分40秒 | 短歌日記
花曇りのよどむ空気に包まれてわたしの身体の輪郭ゆるむ

肩のあたりの力が抜けて、ふんわりと快感がある。それが肘から指先にまで流れてゆく。やわらかな灰色の空から花びらが降ってくる。そしてつま先にまでそのゆらめきが流れ込む。意識は鮮明である。わたしの身体はどこに行ってしまったのか。

遠雷

2014年11月16日 23時50分42秒 | 短歌日記
後悔がひとつある夜かみなりの音の遠さを悲しく思う

もてあます後悔をどうすればいいのかわからない。誰もわたしを責めないし、助けてもくれない。生ぬるい孤独が壁紙やカーテンにまでしみ込んでいるようだ。遠雷。消えそうなかみなりの音のその遠さがかなしい。

人見知り?

2014年11月15日 19時23分16秒 | 短歌日記
人付き合いが少し苦手であることに負い目を感じなくなって、自由

 「わたし、人見知りだから…」と言う人はよくいるが、そういう発言ができる人はごく軽度の人見知りでしょう。そんな事どうでもいい。わたしが、わたしを愛してあげればこんなに自由になれるのに。

ただよう雨

2014年10月24日 20時09分21秒 | 短歌日記
降り続く雨の匂は壁を抜け古き庁舎の空(くう)をくもらす

 きのうから雨がやまない。庁舎の壁は年月を経て、あらゆる感情とともに美しくひび割れている。雨の湿度と匂は暗くまっすぐな廊下にとろとろと広がってゆく。頭痛の波を鎮める鎮痛剤のように。

魚になりたい

2014年08月03日 14時03分21秒 | 短歌日記
屋根も壁もガラスでできたカフェのなか雨の降る日は魚になろう

 まるで水槽の中の魚になったような気がする。駅前の通りに面した小さなカフェは、ガラスの壁にそってL字型にカウンターがある。そして傾斜のある天井もガラス。雨の日は美しい。カウンター席に座ると、天井から壁へと伝わる無数の雨の雫が外界とわたしを隔てているように思える。

スクランブル交差点

2014年06月03日 19時36分00秒 | 短歌日記
交差点はパノラマになり動きだしわたしとあなたの胸が崩れる

スクランブル交差点で人々は信号が青に変わるまでただ立っている。無防備な雑草のように。
 交差点の対角線の先にあなたが見える。さっき、電車に乗るあなたを見送ったばかりなのに…そこに立っているあなたは、本当に存在するのだろうか。そしてわたし自身の時間も空間もあやふやになり、パノラマがぐるぐると回りだす。わたしは、どこに行くのだろう。

つぼみ

2014年05月30日 21時22分20秒 | 短歌日記
ふくらんだ桜のつぼみが開花するボサノバみたいな音を聞きたい

 桜のつぼみが開く瞬間の小さな音を聞いた。まだ薄暗い朝の庭で桜の木はうっすらと白濁した空気に包まれ、夢をみている。時々小さな破裂音が泡のようにはじけている。不規則なリズムがしだいに音楽になり…目が覚めた。ボサノバを聞きたい。