本のハコ トラウマ克服哲学部

部員1名、活動不定期。

『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』飲茶

2020-07-27 10:41:57 | 
飲茶さんの本が大好きだ。
『史上最強の哲学入門』、まず東洋編から読む。

古代インド史上最強の哲人、ヤージュニャヴァルキヤからスタート。
紀元前650年~550年頃の人。
キーワードは「梵我一如」

梵我一如とは、古代インド哲学の伝統的な理論で、
世界を成り立たせている原理(梵=ブラフマン)と、個人を成り立たせている原理(我=アートマン)が、実は同一のもの(一如)ですよ、という理論。
これを知った人間は全ての苦悩から開放され、究極の心理に到達する、と。

アートマン(私)とは「認識するもの」で、認識するのものを認識することはできない。これって現象学では・・・(衝撃)。
よって、「アートマンについては『~に非ず、に非ず』としか言えない」。
認識できないんだから、アートマン(私)は「○○です」とは言えない、ということみたい。
哲学的には「私は○○ではない」というのが真理なのに、日常的には「私は○○である」と考えている。この「間違った思い込み」が、この世のあらゆる不幸を生み出す原因になっている、つまり全ての不幸は勘違いなのだ、と。

東洋哲学ってなんかカルトっぽくて胡散臭いと思ってた(←空中浮遊とか)。怪しい宗教のイメージっていうか。
ところが一番古いはずの古代インドの哲学者からカルト臭がしない。これが紀元前500年頃の哲学ってすごすぎないか。
ウパニシャッドを読んだことないし、飲茶さんが抜き出した重要なエッセンスを飲茶さんが語っておられることでカルト臭が抜けてるのかもしれない。けど、その核となる部分に神が不在って。ものすごいことじゃないだろうか。





『サピエンス全史』ユヴァル・ノア・ハラリ

2020-07-15 15:23:37 | 
読み終わった。のんびり読んでたから、随分時間がかかってしまった。

下巻、社会と宗教との関係性について、こんなかんじで書いてあった。
社会秩序とヒエラルキーはすべて想像上のものなのでとても脆弱だ。社会が大きくなればなるほど脆くなる。宗教はこの脆弱な構造に超個人的な正当性を与えて社会を安定させる。

著者が言うには、自由、人権、平等、企業、法律、国家などの全てが虚構。
最初はちょっと衝撃だった。神話や宗教が虚構なのはわかるけど、自由や人権まで!?そーなん??
いや、そうかも・・・。
人間が長い時間をかけてベストの虚構を模索し続けた結果、自由とか人権みたいなありがたい虚構が完成したんだろうか。

数年前に校区の子供会が崩壊した。
うちの校区には地区別に7つの単子があり、それぞれが独立して子供会を運営していた。けれど入会を拒否する親が増えてきたため、単子での運営がたちゆかなくなってしまった。そこで単子を全部合併して校区子供会としてまとまろう、という案が出た。更にPTAを抱き込んで全世帯強制加入を狙う方向で動くことに。実現すれば役員負担の軽減になるからね。
これらは全て子供会を仕切るOBのおじ様方の策である。
1年かけて合併が実現し、子供会が地区単位ではなく学校単位になったとたん、大量の退会者が出た。強制加入どころか会員数が激減したため、各地区のラジオ体操まで維持できなくなってしまった。
地区内の保護者の目と、夏休みのラジオ体操というストッパーが一気になくなるんだもん、そりゃやめるよね。そもそも強制加入とか・・・絶対ムリだと思ってた。

子供会も虚構のひとつだ。しかも義理と惰性だけで維持されてる集まりだから脆弱だ。大きくなるほど脆くなる、ってほんとだなあ。
小学校区子供会が弱体化してしまったので、今度は中学校区子供会の合併案が出ているらしい。デジャブ。
けれど、人数が絞られたぶん、本当にやる気のある会員たちが集まるようになるんだろうな。それはそれで楽しい会になるかもしれない。私はやめちゃったけど。

『サピエンス全史』を読むと、あれもこれも、なにもかもが虚構で、人間を幸せにしてくれるものはセロトニンだけですよ、人ひとりの人生になんて何の意味もありませんよ、って言われてるような気がしてくる。
自分は、たくさんの虚構の中で、自分だけの物語を生きてるんだとして、その個人的な物語がどこまでいってもやっぱり全部虚構でしかなくて、本当の本物じゃないんだとしても、いや、自分はこれでいいんです、これがいいんです!と言い切れる強さがほしいなと思った。


ブルーベリーの森に逃げるんだ

2020-06-22 09:24:59 | 
「リヤカーにテントを乗せて、ブルーベリーがたくさんある森に逃げるんだ」

『FACT FULNESS』著者は小さな頃、また戦争が起きないかとても不安だった(第三次世界大戦)。ベッドの中でお父さんが、戦争が起きたらどうすればいいか教えてくれた方法がこれ。
さすがスウェーデンの人だな。ブルーベリーの森か。いいな。

現象学って何だ?

2020-06-22 08:54:41 | 
和辻哲郎の『風土』を読んだ。その後に『初稿 倫理学』も読んでみたけど、現象学がわからなくて内容をあまり理解できない。
そこでまず、現象学の入門書を読んでみることにした。『これが現象学だ』(谷徹)

現象学って難しい。ひとりで本を読むだけだから、わからないことばっかりだ。これが大学のゼミかなんかだったらなあ。もう一回大学入れたら、今度は哲学科に行きたい。

けれど、わからないなりにも現象学っておもしろいなあと思う。これをちゃんと理解できたら世界の見え方が変わるかもしれん。こういうところがいいよねえ。アハ体験ってゆうか。

同時進行で『FACT FULNESS』も。この本は、人間の直感がどれほど現実とかけ離れているかを知り、思い込みを乗り越えて正しく世界を見よう!という内容。現象学についての本じゃないんだろうけど、目指すところは近いのかなと思った。読みやすくておもしろい。

今年ももう半分終わっちゃったけど、目標ができた。
「現象学を理解できるようになること」
年末までに達成できるかな?もしクリアできたら和辻哲郎を読みなおそう。楽しみだ。