Much Ado About Nothing

美味しいモノと山と海と人とモノ、ときどき語学。

A Perfect Romance Part 2

2008-06-29 01:42:51 | Weblog
時が経つにつれて
「駅で女の子を待っていた話」は
もはや叶うことのない夢として
私の中で憧れのものとなっていました。

「いいなあ、私その女の子になりたいよ。」

言った本人がそんなことを言ったことすら
忘れてしまったある日、

「考えたんだけどね・・・」

と、かつての男の子は話し始めた。

「君、通勤経路、2種類あるって言ってたでしょ?」
「うん?」
「しかもさ、同じ時刻の電車乗らないんでしょ。」
「ああ、そうだねぇ。来た電車に乗るからね。」
「無理だよね。」
「・・・何が?」
「告白しようと思って駅で待っても。」


がーん
そうであったか
よもや自分の習性が理想の恋愛の
妨げになっていようとは!!

「確かに無理だねえ。」
「だろ?すっげー難しいなって思ったんだよ」
「難しいねえ。まさか自分がいけないだなんて
 思っても見なかったよ。」
「それやってもらいたかったらさ、いつも同じ時間に
 同じルートで通勤しないと」
「そんなことを本気で夢見るほどにはもう若くないから
 いいんだもん。あ~あ、高校生の時なら同じ時刻に
 電車乗ってたのになあ。」



・・・・さて。
そんな会話があって、
自分の習性にがっかりしたことも忘れ、
通勤ルートも時刻もてーげーな日々を
過ごしていたある日の早朝。

「今日どっちで通勤する予定?
 ●●駅通る方?」

というメールが。


その日の朝。
●●駅にはかつての男の子が
笑顔でホームに立っていました。

「まあ確認が必要なところが完全でないけど、
 これが精一杯だよね」

別に告白された訳でもなく、
だから私も受験を理由に断るなんてこともなく、
それゆえ一年後に「忘れられなくて」
と言われるわけでもないし、
どこをどう取っても何ひとつ
あの『駅で女の子を待ってた話』とは
似ても似つかぬ話だけど。

叶わない夢が、
素敵な想い出になることも
あるんですね。


10年経って
この朝のことを思い出すときは
きっと心が温かくなる気がします。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
なんか (llc)
2008-06-30 23:35:14
エ~話ですなあ。
1回目も2回目も・・・
おっちゃん、たまらんわあ。

私にはそんなエ~話はなかったなあ。
朝はクラスというか学校で1.2番の早さで自転車登校していた(その理由は未だに不明)ので、そもそも通学中に人に会うことがありませんでした。
本当のいい話 (ojo)
2008-07-02 00:15:35
「駅で女の子を待っていた話」は、
彼の中でもとても特別な想い出の話で、
その子とは結局別れてしまったのだけど
それでも凄くいい想い出なのだと
言っていたのに、
そんないい話を、私ごときの夢に
すり替えられたことに腹も立てず、
何の得にもならないのに
それをやってくれようとしたことが
一番のいい話だなあと思うんですよねぇ。

でも、llcさんのような、奥さんのために
自転車を作ってくれちゃう旦那さんの話も
私はとても羨ましく思います。
for you (llc)
2008-07-03 14:06:06
奥さん(の自転車を、自分)のため、に作ってます。