図書館だより

埼玉医科大学附属図書館日高キャンパス・川角キャンパス分館のブログです。

椿姫彩菜「わたし、男子校出身です。」 ポプラ社 2008年

2009年01月13日 | おすすめの一冊
2009年最初のブログ更新です。
保健医療学部図書館スタッフより、オススメ図書の推薦がありましたので
ご紹介します。


「話題の図書」です。
マスコミで取りあげられ、今ではTVに出演しない日がないほどの売れっ子の
彼女が語った半生記です。
市民権を得た、といっても性同一性障害は現代社会では興味本位でしか受け
入れられないのが現実です(本人も本文で語っています。)
ともすると「話題作り」中心になりがちなテーマですが、かなりしっかりと書
かれているように思います。
それは彼女がTVでも語っているように
精神的な充足を得るためだけなのに、そのハードルは生死をかける手術であっ
て、決してTVなどで面白おかしく語られる「新宿西口や歌舞伎町あたりに出入
りするための『道具』としての手術ではない」ということが、チャプター4で、
彼女の思いとはあまりにもかけ離れた現実(例えば費用)や、術前・術後につ
いてまで、しっかりとした口調で、解りやすく書かれているのです。
ただの「シンデレラストーリー」ではなく、
「見世物」的な記述もなく、
お涙チョーダイでもなく、
しっかりとした立ち位置で語っているのが好印象です(アタマがいい!)。
最近、TVなどで精神的な部分でカミングアウトする人は多いですし、話題
になる人もいますが、私は肉体的に「これほどの大手術」だとは知りません
でした。
彼女が「話題作り」ではなく同病者(?)へのマイルストーンとして語った事
に、感動しました。
性同一性障害に悩む人も、そうでない人も、彩菜ちゃんのファンでも、
是非一読を!!!
ダイジョーブ! 半日もあれば読めます。