私のストリップ暦の始まりは早かったが、銀映での出来事のおかげで、その後はぷっつりである。2回目の経験は社会人になってから。慰安旅行で鄙びた温泉地へ行って、同僚とストリップでも見に行こうかということになった。 ネオンもない寂れた館を入ると、パラパラと私たちのような浴衣をはおった客が4、5名もいただろうか。 踊り子は皆私たちより年かさで、なにか見るのがいたたまれないような気持ちがして、私たちはまん前に陣取りながら、目をそむけて関係ない話をしていた。 その時である。「おまんたち、まじめに見んか」 その踊り子のおばさんに怒鳴られた。ものすごい迫力であった。 私たちは、そうか、まじめに見ないかんなあ、と変に納得して、その後はまじめに見て、大きな拍手を送った。 おばさんは、打って変わってご機嫌になって、大サービスをし、最後に「ありがとね」と言って、下がっていった。 . . . 本文を読む . . . 本文を読む
私のストリップ暦の始まりは早かったが、銀映での出来事のおかげで、その後はぷっつりである。2回目の経験は社会人になってから。慰安旅行で鄙びた温泉地へ行って、同僚とストリップでも見に行こうかということになった。
ネオンもない寂れた館を入ると、パラパラと私たちのような浴衣をはおった客が4、5名もいただろうか。
踊り子は皆私たちより年かさで、なにか見るのがいたたまれないような気持ちがして、私たちはまん前に陣取りながら、目をそむけて関係ない話をしていた。
その時である。
「おまんたち、まじめに見んか」
その踊り子のおばさんに怒鳴られた。ものすごい迫力であった。
私たちは、そうか、まじめに見ないかんなあ、と変に納得して、その後はまじめに見て、大きな拍手を送った。
おばさんは、打って変わってご機嫌になって、大サービスをし、最後に「ありがとね」と言って、下がっていった。 . . . 本文を読む
10月31日、ライブシアター銀映が閉店した。名古屋最後のストリップ劇場である。私が始めてストリップを見た所でもある。
隣に喫茶店があって、そこから直接劇場に通じる入り口があった。その時、まだ高校生であったが、私服が許されていて、それでも高校生か大学生と思われて、何人目かの少し年増の踊り子から「学生さん、こっちへおいで」と誘われた。
皆がこちらを見て、押されるようにして一番前の席に移った。
踊り子はタバコを取り出して一服吸い、前を覆っていた布の下に持っていった。やがて、そこからもわーとした煙が出て、皆が拍手した。それからそのタバコを取り出し、私に渡した。
私が手にタバコを持って呆然としていると、隣のおじさんが「吸わないと消えちゃうよ」と言う。思い切って吸った。タバコを吸った事のない私はひどくむせて、あわてて隣のおじさんに渡した。タバコは皆が一服づつ吸って隣へ渡された。俺も俺もあちこちから手が出て、踊り子は再び同じ事をして、客席に渡した。
その日、どんな踊り子が出てきて、どんな踊りをしたのかは覚えていないが、帰ってから、あの年増の踊り子が病気を持っていなかったのかどうかがひどく気になった。それは長く心配として、残っていて、結婚前に検査をするまで続いた。今になればなつかしい思い出である。
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