「レ・ミゼラブル」

　大阪梅田芸術劇場にて10日夜の部の「レ・ミゼラブル」をみた。
　舞台中央よりやや右　前から１４列目　かなりいい席がとれた。

　主な配役はジャン・バルジャンに今井清隆
　　　　　　ジャベールに鈴木綜馬
　　　　　　ファンティーヌに井料瑠美
　　　　　　エポニーヌに坂本真綾
　　　　　　コゼットに西浦歌織
　　　　　　マリウスに藤岡正明
　　　　　　アンジョルラスに坂本健児

　この前見たのは先日亡くなられた本多美奈子さんが
　エポニーヌをされていた記憶がある。
　
　今回もどんな舞台に仕上がっているか
　ワクワク　ドキドキしながら開演をむかえた。
　
　全体的な感想としてはこじんまりまとまりすぎていて
　迫力にかけているような気がした。
　まず、オケの人数が減った？音の厚みが以前より薄くテンポも速い。
　テンポは演出で意図的に変えられたかもしれないが
　それにしても早い気がする。
　皆さん歌唱力はすばらしいものがあるのに
　気持ちがこちらまでとどかない。
　あまりうまく歌いすぎてアクがたりないせいか
　個々のメリハリが希薄。
　（歌唱力のわりに役者としての力不足のためではないのか・・・）

　ジャン・バルジャンの今井さん
　　声が滝田栄さんにそっくりなので目をつむっていると滝田さんのよう。
　　相変わらず声量のある余裕たっぷりの歌声で落ち着いてきいていられる。
　　
　ジャベールの鈴木さん
　　この方も歌はほんとうにうまい！眼光もするどく見た目はジャベールらしいのに
　　ジャベールの心の葛藤が伝わらない
　　（おしいなあ。村井国夫さんぐらいアクがあるとなあ）
　
　マリウスの藤岡さん
　　青年らしい初ういしさがよくでていた。
　　もちろん　歌もお上手。

　アンジョルラスの坂本さん
　　文句なくうまい！歌唱力抜群。
　　（おしいおしい・・・。アンジョルラスは歌がうまいだけではだめなの。
　　　この役に関しては見た目が大切！
　　　背が高いことが絶対条件だとおもうんだけどなあ・・・）


　今から１０年近く前　２ヶ月間　舞台袖から見せていただけるという幸運に恵まれた。
　その時見た俳優さんたちの姿は忘れることができない。
　出　ぎりぎりまでしゃがみこんで精神統一している方
　非常階段で一人黙々と発声練習をしている方
　自分の出番でないときなど他の方のまねをしてリラックスさせてくださる方
　などなど　客席からではわからない姿をたくさんみせていただいた。


　舞台からはけてきたジャンバルジャンの加賀丈史さんと
　マリウスの当時まだ２５歳前のそれはそれは美しい石井一孝さんの
　向かい合ってお話されている姿。
　真横からそのお二人を見ていた私は息をつくことさえわすれていた。
　石井さんは恋するマリウスそのもので品があり清々しさにあふれ
　王子のようで
　（ああ～ぺ・ヨンジュン以前に初めて王子！とおもったのは彼だ！！）
　加賀さんは凛としたたたずまいで暖かさに満ち溢れ
　偉大な俳優なのにいつも優しい目をしていた。
　今も一枚の絵のようになつかしく思い出される。

　この石井さんが今回　ジャン・バルジャンになられている。
　さてどんなバルジャンをみせてくれるのか？
　また、アンジョルラスをやらせたら彼の右にでるものはいないほどの
　カリスマ性の高い岡幸二郎さん。
　彼も今回はジャベールになっているのでこちらも楽しみ。

　「レ・ミゼラブル」は配役がダブルやトリプルもあって
　いろいろな組み合わせで楽しめるので
　何十回でも見飽きることのない作品。

　１００回ちかくみてなお新しい発見と感動を与えてくれる
　「レ・ミゼラブル」
　今回は何回泣かせてくれるのか？

　４人のバルジャンさんへ
　　どうか「父じゃない。」の言葉を大切に大切に言ってください。