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雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「30だけど17です」(連載70)





韓国ドラマ「30だけど17です」(連載70)




「30だけど17です」第8話(13年前の少女)④


☆主なキャスト&登場人物


○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)


★★★

 ユ・ジュンソンを前にウジンは切り出した。
「うまく隠せてきたと思っていたのに…忘れかけていたのにまた思い出したんです」
「…」
「彼女が現れてから」
 ユ・ジュンソンは小さく頷いた。
「当時と似たような状況に置かれただろう。それが引き金となり、フラッシュバックが起きた」
「…」
「彼女との関連性については、現状では断定できない」
「2回とも彼女と一緒の時でした。― 13年ぶりに事故の記憶が蘇ったのも、死んだあの子のことを思い出したのも」
 ユ・ジュンソンは冷静に分析した。
「彼女と一緒でなくても、13年前の事故を連想させる音や状況により、フラッシュバックは起きる。まるで現実に起きているかのように」
 ウジンはソリの姿とあの時”ノ・スミ”のリュックについていた鈴の音を思い出した。
「もし歩道橋に別の女性を見かけたとしても、過去の記憶と重なり、同じ状況を招いたかもしれない」
「…」
「彼女とは今後も会うのかな?」
 ウジンは首を横に振った。
「いえ、そういうわけではありません」
「うむ。難しいだろうが、避けるのではなく別人だと認識する努力が必要だ」
「…」
「たとえば、13年前の少女と異なる面を見つけるとか…好きな食べ物、放し方、表情、習慣など―具体的な違いを見つけて、ありのままを受け入れる」
「ありのままを受け入れる…」
 ウジンはユ・ジュンソンを見た。
「また、フラッシュバックが起きたらどうすれば…?」
 ユ・ジュンソンはしばし考えた。頷くようにウジンを見つめ返した。
「一番落ち着く場所を頭に思い浮かべて―ゆっくり深呼吸しなさい」
「…」
「心地よく幸せな経験を思い出すのもいい」
「心地よく幸せな経験…」
 ウジンは記憶の中に深く分け入った。

★★★


 チン・ヒョンは電話を受けた。
「先日、お話されたという動画資料の件ですね。確認します」
「それより、前回話した女性に代わってください」
「女性ですか?」
 チン・ヒョンは首を傾げた。
「うちには女性が…あっ、お待ちください」
 チン・ヒョンは姿を見せたカン・ヒスに受話器を差し向ける。
「リン・キム監督です。出てください」
 受話器を握り、カン・ヒスは笑顔になる。
「監督、お疲れさまです。…」
 話を聞いてるうち、ヒスの表情は変わる。
「ああ、そうですか。…確認してから折り返しご連絡します。はい」 
 受話器をおいてヒスは怪訝そうにする。
「女は私だけなのにどういうこと?」
 チン・ヒョンを見る。
「誰と話したっていうの?」
「マジ? 幽霊じゃないですよね。他にいないんだから…」
 首を傾げてるうち、チン・ヒョンはひとり思い当たった。ヒスを見た。
「もしかしたら…」


 ボートで汗をかいた後、他の部員はバテテいるのに、チャンはひとり元気だった。身体をうごかし、ストレッチを続ける。
「おい、あれだけ練習して疲れてもないのか?」
「ああ。気分がいいんだ。疲れなんか吹っ飛ぶよ」
「何言ってるんだ。こっちは死にそうだ」
 チャンは気分よさそうに遠くを見た。
「おい。近頃、世界が美しく見えないか。いいねえ、あの雄大な雲」
「雨雲みたいだけど…」とドクス。
「美しい鳥の声」
「カラスの鳴き声がか?」とヘボム。
「こいつは完全にイカれてるな」
 チャンはオールに頬をおしつけ悦楽に浸っている。
「救いようがないよ」
 その時、チャンの携帯が鳴った。
 ウジンの事務所のカン・ヒスからだった。
「ハロー、ヒスさん…」
 チャンの表情は真剣になった。
「俺に聞きたいこと?」
 
 ウジンは車で事務所にやってきた。
 運転中、ずっとソリのことを考えていた。
「彼女とは今後も会うのかな?」
 ハンドルを握ったままウジンは神経科医の言葉を思い返した。ため息が出た。目をつぶった。
「少し待ってもらえませんか」
 ウジンは返事を保留した。
自分たちの置かれている事情については触れなかった。ひと月経てば彼女は家を出て行く。
 携帯を手にしたウジンは”それまで我慢しよう”と言い聞かせて車からおりた。


 チャンたちは再びボートの練習に入った。チャンはソリのことを思い浮かべながらオールを漕いだ。気分は最高だった。
 しかし突然、オールを漕ぐのをやめた。
 後ろにいるドクスが喝を入れた。
「こらっ! また止まりやがって」
「何してるんだ!」
 ヘボムも続いて怒鳴った。
「わかったよ」
 チャンは静かに胸を押えた。
「ここがむずかゆい理由が…」


「やっと出勤ですね」
 ソリが事務所にいてウジンは面食らった。
「何でここに…」
「知り合いでも正式に紹介するわ」
 事務所代表のカン・ヒスが言った。
「音楽祭を手伝ってもらうの。適任者だわ」
 どうしてこうなったかウジンにはわけがわからない。  
「どうして君が…」
 ソリははきはきとウジンに挨拶した。
「ソリと言います。よろしくお願いします。おじさん。…いえ、コンさん」
 カン・ヒスとチン・ヒョンが熱烈な拍手で迎えた。
「大歓迎です」
 ウジンは笑顔のソリを怯えた表情で見つめた。


― 僕は怖いんです。彼女と親しくなると、忌まわしい記憶をどんどん掘り起こされそうで…。また、誰かの人生に関わりそうで…怖いんです。 


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