
韓国ドラマ「イケメン(美男)ですね」第10話(3)
Korean drama "You're Handsome" Episode 10 (3)
「兄貴のいうことは気にするな」
ジェルミがすぐに言い添えた。
「撮影はうまくいった。俺たち三人で頑張った。お前の分は後で撮影すればいいんだ。だから心配はいらない」
部屋に戻ったテギョンはミニョの態度をいぶかった。
「ミナムのやつ、ずいぶん冷静だな。いじめに慣れたとか? それとも、熱のせいでああか?」
ブタウサギが目に飛び込んでくる。
ブタウサギの耳をつかまえて言った。
「お前があれじゃいじめ甲斐もないじゃないか」
しかし、ブタウサギはミニョじゃない。
テギョンは我に返った。
ライムを見てつぶやいた。
「これってどうやって食べるんだ?」
そのまま口に入れかけてやめた。
「皮を剥くか・・・」
皮を剥き剥きキッチンに出てくると、シヌやジェルミもライムの話で盛り上がっている。
「お前もか?」
「ミナムの風邪に効くかと思って。うん? 兄貴も?」
「ああ、ライム茶をつくろう」
「いやだね」とジェルミ。
テギョンは目を剥いた。
二人はそうでもないようだが、プライドの高いテギョンは妙にバツの悪い思いになった。
「俺はジュースを作る」
二人と同じ発想をしたことを悔いていると、ジェルミがテギョンに気付いた。
「兄貴」
ジェルミとシヌはテギョンの手元を見た。
「ライム?」
「ああ」テギョンはとぼけた。「どうして?」
「兄貴が食べるの?」
「そうだ。何か問題でも?」
「すっぱくない?」
「そうでもない。なかなかいけるぞ」
そう言っておいしそうにライムをかじった。思わず顔がゆがんだ。実際は歯に沁みるほどすっぱい。
「ふっふふ、そう?」
シヌとジェルミはおかしそうにした。
ライムの入った入れ物をテギョンのところに持ってきた。
「たくさんもらってきたからうんと食べて」
「いいね。ありがとう」
テギョンは突っ張ってライムを受け取った。
成り行きでテギョンは無理してライムを食べた。
しかし口は拒否反応を示している。
「ううっ、まいった。歯まで抜けてしまいそうだ」
顔をしかめているとまたしてもブタウサギが目に入った。
「コ・ミナムの風邪に俺の出る幕はなさそうだし・・・」
ライムを握ってブタウサギのそばに歩いた。腹に押し付けて言った。
「お前にやる。少し酸っぱいからな」
そして水で口中をゆすいだ。
シヌはライム茶をつくってミニョのところにやってきた。
「寝たか・・・お茶が冷めてしまうな」
シヌはミニョの寝顔を見つめた。
「仕方ない・・・あとでまた温めればいいか」
お盆を握っていこうとしたら、ミニョが魘されている。
シヌは手を止めた。
ミニョのそばに腰をおろし、寝顔を見つめた。
「ミナム、早く元気になれ。でないと・・・黙っていられない」
手を伸ばしてミニョの髪を顔から後ろによけてやる。
テギョンは寝付けないでキッチンにやってきた。
「コ・ミナムがいないのに眠りがやってこない・・・」
冷蔵庫を開けると入れ物に入ったライムが目に止まった。
手にとってつぶやいた。
「こいつのせいなのか・・・? で、ミナムには効いたのか? やけに静かだ」
舌を出して冷蔵庫を閉める。
振り返ってギョッとなった。すぐ前にヌーッとした表情でミニョが立っている。
(続く)
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