
歩き出しながらアンナはつぶやく。
「毎日のように”あんたをやめる”なんて言ってたから、”捜しにいく”とは言えても引き止められないでいるの?」
舌打ちする。
「意地なんか張って!」
立ち止まる。遠くを見る。
「もういい。私は強いんだ。情になんか流されたりしないわ」
アンナは庭でジュンソクらとボンベ用コンロで飴みたいなのを作った。
「おっ、膨らんできたわ」
感激してるアンナにジュンソクが言った。
「これ、すごくおいしいんだよ」
「そうなの?」
アンナは菜ばしの先に液状の物をからめた。食べてみた。
「やあ、おいしいわね。もう一回作ろう」
味をしめたアンナはお玉で同じ物を作ろうとする。
「お玉が焦げたら怒られるよ」
ジュンソクが心配する。
「焦げたら埋めましょ」
アンナが言うとジュンソクらはすぐに口を揃えた。
「は~い」
「おばさんと遊ぶとすごく楽しいよ」
グンソクが言った。
「毎日、みんなで一緒に遊ぼう」
ユンソクが言った。
「それは無理よ」とアンナは答えた。「私は出ていくから。だから私を好きになってはダメよ」
「は~い」
「もう一回やろう」とグンソク。
「もういいわ」アンナは立ち上がる。「あとは三人だけでやって。遊んでる暇はないわ」
ジュンソクらを冷たく突き放して散歩に出てきたもののアンナの気持ちは落ち着かない。ちっとも弾まない。かえって寂しくなるばかりだ。
暗い表情で歩いていると横から声がかかった。
「お姉さん」
カンジャが走り寄ってくる。
「久しぶりね」
「さっき会ったじゃない。今は話したい気分じゃないわ。行って」
カンジャはついてくる。
「お姉さん、今日お家でパーティーがあるの。お姉さんも来て」
「えっ?」
「これを特別に準備したわ」
カンジャは懐から手作りの招待状を出した。
「お誕生日パーティーの招待状よ」
アンナは文面を眺めた。
”おねえさんを招待します”
「誕生日なの?」
アンナはカンジャを見た。カンジャは頷く。
「ドレスを着てきてね」
「誕生日は一月じゃなかった?」
「ええ、私の誕生日は一月よ」
「…そうね。カンジャだもの」
カンジャをしばらく見てアンナは言った。
「けっこうよ。私は行かないわ」
招待状を返す。
「お姉さん」
突き返された招待状を握ってカンジャは言う。
「誕生日に雪も降らないのに…お姉さんも来てくれないの?」
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