
韓国ドラマ「青い海の伝説」(最終話)③
韓国ドラマ「青い海の伝説」(最終話)②
★★★
ジンジュはユランを自宅に招き、取り巻きを呼んだ。ユランと息子の話をした。
「株をお母さんに譲り、ロースクールに通ってるの。そして検事を目指してるのよ」
「まあ、素敵」
「すごいわ~」
取り巻きはしきりに感心する。
ユランも気分がよさそうだった。
「ユラン姉さんはその株の半分を売って、家出した青少年のための施設と学校を作ったの」
「すばらしいことだわ」
「ほんとほんと…」
「そうでもないのよ」ユランは謙遜した。「たまたま息子の経験を知り、何かできればと思っただけなんです」
「だってね」とジンジュ。「お姉さんはその気になればCEOにもなれたのよ…」
ユランは苦笑を浮かべた。
「私に会社経営なんてとても無理よ。そういうのはやれる人がやればいいのよ」
「もう…、ほんとに謙虚な人なんだから」
「…」
「私はそんな姉さんから多くを学んだわ。今だけを見てちゃダメなの。状況は刻々と変わって行くんだから…」
「確かにそうね」
「おかげで私たちも有益な投資ができたし、ああ、もう~、なんて幸運なめぐりあわせかしら」
「…」
「私たちは前世で…実の姉妹だったのかも…」
ユランはコーヒーカップを握った。
「お代わり? 私が付くってあげようか?」
「いいえ、自分でやるわ」
「姉さん、何言うの? 私がやるから座ってて。お姉さん、マンゴーにする?」
ユランはジンジュを見て答えた。
「じゃあ、お願いするわ」
飲み物のカップを集め、歌でも歌いそうなルンルン気分でキッチンに戻っていった。
★★★


正午が近づいた。ベテラン検事が切り出した。
「今日は食事を先にに行ってもらうのは誰になるかな…?」
「お先にどうぞ」
事務官が言った。
先輩の検事は立ち上がった。ジュンジェを誘った。
「君は俺と行こうか」
ジュンジェは立ち上がった。2人を交互に見て訊ねた。
「3人で行かないんですか?」
先輩は質問を返す。
「検事にとってもっとも大切なことは?」
「それは…」
ジュンジェは少し、胸のところで両こぶしをぐっと握った。愛嬌ポーズで答えた。
「正義感…です」
「それは当然だ。だが、より大事なことがある」
先輩検事は言葉に力を込めた。
「絶対に部屋を空けないことだ」
「はあ? どうしてです?」
「以前…」
検事は手招きする。ジュンジェは耳を貸した。
「だいぶ前になるが、詐欺団がここを荒らした」
「えっ? どんな風にです?」
「油断して昼食に出払った時に忍び込まれたんだ」
「…」
先輩検事は事務官に訊ねた。
「確か3年前だよな?」
事務官は頷いた。
検事の話は次第に力がこもりだす。
「連中は検事の振りをしたんだ。防犯カメラの映像まで消されてた」
ジュンジェはその時のことを思い浮かべた。
「本当ですか?」
ジュンジェは手の袖をまくって見せた。
「見てください。鳥肌が立ちます」
「だろう?」
「まったくとんでもない奴らだ。許せませんね」
先輩検事は頷き、残念そうにした。
「もう少し早く戻れば捕まえられたのに…信号機が故障してどうにもならなかった」
「そうでしたか…」
ジュンジェはオーバーに舌打ちする。
「浄水器の業者を装い…」
ジュンジェはズバッと言う。
「エレベーターでは?」
「そうだ、エレベーターの…ん?」
検事はジュンジェを見た。
「なぜ、それを知ってる?」
「当時、江南周辺で頻繁に起こっていた事件なので、よく覚えてるんです」
「ああ…そうなのか」
検事は半信半疑の顔でジュンジェを見る。
「もともと俺はあまり人を信じない性質だが、あれ以降、いっそううたぐり深くなった」
ジュンジェはニヤけて検事の話を聞く。
「世の中にはそれこそいろんな人間がいる。行こう」
ジュンジェは突然机を叩いた。
「悪い奴らめ」
先に行きかけた検事はびっくりして足を止める
ジュンジェは両こぶしを奮い立たせて叫んだ。
「そういう奴らは僕が許しません!」


先輩検事のもとでジュンジェの実習が始まった。事情聴取の相手は詐欺の疑いのある若い男だった。
「一人あたりの被害額は500万ウォン? 検事さん」
男は余裕の笑いを見せた。
「これは詐欺ではなく純粋なビジネスです。ですから警察でも、嫌疑不十分だと言われました」
「しかし事業所は普通の一軒家ですね」
スマホを見ながらジュンジェは切り出した。
「え? ああ、それは」
「系列会社も同様です。…税金も滞納中で経営状態は思わしくない」
書類に目を通しながら言う。
「ビジネスにはうまくいかない時もあります。詐欺とおっしゃいますが、その人たちに元金を保証するとは一言も言ってませんよ」
「”物品代は配当金と併せて払い戻す”これは明白な元金保証です。でしょう? 投資者に物品代を払い戻す? どう見ても正常な取引ではありませんね」
「…」
「つまり、投資者に何かを買わせて、会社がそれを売っていたことになる。共同経営者のチェ社長は今もマカオで資金洗浄と賭博を?」
「…」
「彼は最近、大金を失った。これは小さな事件じゃない。最終的に被害者の数は、3千人以上に及ぶ大事件だと思います」
先輩検事はジュンジェの的確な追及ぶりに舌を巻いた。自分が何も言わないうちに詐欺犯を追いつめてしまったからだ。
事情聴取を終えた後、先輩検事はジュンジェに訊ねた。
「共犯者に知り合いがいるのか?」
「まさか…噂を耳にしていただけです」
「でも、なさそうだがな…妙に説得力があった」
まさか、昔取った杵柄とは答えられない。
返事に窮していると知り合いの姿が前方にある。
その杵柄のライバルだったホン刑事ではないか。
「それではこれで」
ジュンジェは先輩検事に挨拶した。
ホン刑事のもとに向かって走り出した。
先輩検事はジュンジェを見送りながら呟いた。
「あいつ、何者なんだ?」
<script type="text/javascript" src="//translate.google.com/translate_a/element.js?cb=googleTranslateElementInit"></script> google-site-verification: google3493cdb2db9