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公演が終わった後、梓は来場者に挨拶した。
「本日は須藤つかさのバースデーマッチにおいでいただき、まことにありがとうございました。つかさはカラーを打ち破り、新しく生まれ変わりました。いつか、白鳥のスターとなって、リングの上で華麗に羽ばたいてくれると信じてます。皆様! これからも、応援よろしくお願いいたしま~す」
最後につかさの肩に腕をまわした。
一緒に頭を下げた。
大きな拍手がわき、声援が飛んだ。それを見て、つかさの母も満足そうに笑みを浮かべた。
拍手が続く中、ジホが歌いだした。
「ハッピーバースデートゥユー~」
彼は会場の者にも一緒の歌うよううながした。

「ハッピーバースデートゥユー~♪ハッピーバースデー~ディアつかさ~♪ハッピーバースデートゥユー~♪」
会場全員がひとつになり、あたたかな拍手を送った。つかさの母も涙を浮かべて拍手を送った。
「誕生日、おめでとう!」
「ほんとに会って行かないんですか?」
梓はつかさの母に訊ねた。
「ええ。・・・ここはあの子の新しい家で、あたしの居場所じゃないから。あの子が選んだ場所が白鳥プロレスで・・・ほんとによかった」
「・・・」
つかさの母は梓に向き直った。
「こんな情けない母親の代わりに、あの子を育ててもらって・・・ありがとうございます」
と頭を下げた。
そうして行こうとする彼女にジホから声がかかった。
振り向くとつかさが一緒だった。
ジホはつかさの背中を押してあげた。
つかさは昔の無邪気な娘に戻って母親の前に進み出た。母親を面と見ることが出来ないながら、邪険な口をきいたことを詫びた。

「ごめんなさい・・・」
梓がつかさの後ろに立ち、腕を左右から顔に伸ばした。ほっぺたを押さえつけ、彼女の顔を正面向かせた。
「そういうことはちゃんと目を見て」
口がひょっとこになった状態でつかさは大きな声になった。
「ごめんなさい!」
それを見て母親は吹き出した。
つかさは右腕をあげた。豹柄の袖手を見せた。
「これ、ありがとう」
母親は照れ臭そうにする。
「それと・・・生んでくれてありがとう」
つかさが親に対し正直になれた瞬間だ。
よかった、よかった、と笑顔の梓とジホ。
つかさはいきなり叫ぶように言った。
「っていうか、なんで豹柄なわけ? まじダサイんですけど!?」
「な、なに言ってんのよ。いい女は豹柄に決まってんでしょう?」
母親は格闘の真似事を始めた。
「スピード感が違うし・・・ほら・・・!」
「ハアーッ? わけわかんない」
「そうだ・・・!」
娘を無視して母親は前に走り出した。ジホのそばに立った。

「あたしね・・・新しい彼氏が出来ました」
「おおっ!?」
ジホは手を叩いた。みんなも手を叩いた。しかし・・・
「しかも韓国人・・・!」
あれれっ??
ジホは後ろを振り返った。あわてて弁解した。
「あっ、ぼ、ぼくじゃないですよ」
「ダーリンが待ってるから帰るわ。じゃあね、アンニョン」
楽しそうに笑いながら去って行く母親であった。
つかさの言葉が背中を追いかけた。
「どうぞ、勝手にお幸せに!」
そういうなり、つかさは豹変した。
「さてと、練習練習」
母親の前で素直になれた彼女は超ファイトが沸いてきたのだった。
つかさは母親のプレゼントしてくれた袖手に向って誓った。
「今度こそ、勝つ!」
それを聞いてジホは梓を見た。
(もう大丈夫だね)
笑顔を交わしあった。
水辺に目を向けながら梓は言った。
「離れていても分かり合える、だね」
「うん」
「ジホのお母さんも、ジホのこと思ってくれてるよ」
「はい。早くお母さんに会いたいです」
梓は笑顔でうなずいた。
「私も早くジホのお母さんに会いたいなあ・・・!」
「ありがとうございます。・・・早くお母さんに会って、早く韓国に帰りたいです」
梓の表情はいきなり凍りついた。
近くにいても、離れているのは自分たちの心かもしれない・・・!
梓は寂しい目をジホに向けた。

「早く韓国に帰って、一緒に仲よく暮らしたいです」
梓の胸のうちを知らないジホは、戻ってくる母との楽しい生活を思って浮き浮きするだけだった。
ジホは前からこのことを言い続けている。
「お母さんに会って早く韓国に帰りたいです」
「早く韓国に帰りたいです」
ジホの心に自分の滑り込むスペースはないのかもしれない。
歩き出したジホを梓は切ない表情で追った。
