韓国ドラマ「イケメン（美男）ですね」第１０話（９）
Korean drama "You're Handsome" Episode 10 (9)
シヌは掃除機を取りに出ていった。
割れたコップの片づけを手伝おうともせず、ユ・ヘイはシヌの後を追い声をかけた。
「ミナムさんって変だわ」
シヌは立ち止まった。
「何か秘密でもあるみたい」
「・・・」
「たとえば見られたくないものとか・・・？」
「さあね・・・勝手に触られたりするのは誰でもいやなんじゃない」
そう言ってユ・ヘイに鋭い目を向けた。
「だけど、ひどすぎるわ。私にあんな態度なら、あなたにも何か隠してるかも知れないのに、知りたいとは思わない？」
「相手が隠してるなら、無理に知りたくはないさ」
「でも、気分は悪いでしょ？」
「理由があるんだ。そう思うだけです。気分が悪いなんてとんでもない」
話を切り上げてユ・ヘイのもとを離れた。
「何よ」
動揺も見せず落ち着き払ったシヌにユ・ヘイは拍子抜けした。
「ミナムのことを理解できればぜんぜん平気ってこと？ ちぇっ！ 聖人君子でもあるまいし・・・」
シヌには何を言っても見込みはなさそうだ。
そこにジェルミがやってきた。
「ヘイさんがミナムに何か言った？」
「私ではなく、ミナムさんが私にひどいことしたの」
「あ、そうですか・・・病人だから大目に見てやってください」
「・・・ジェルミさんはミナムさんが何をやっても我慢できるの？」
「何もされてないけど？」
ユ・ヘイは薄ら笑いを浮かべた。
「あなたの知らないことがあるかもしれないわ。そしたらどうする？」
ジェルミは目をつぶった。
それはたとえばあのことか・・・。
目をあけて頷く。
「我慢するよ」
「・・・！」
「俺はコ・ミナムが大好きだから、何があっても我慢できる」
持ってきたライムジュースを彼女に勧めようとしてジェルミはふと思い出す。
「うん？ コップ割ったんだったよな。コ・ミナム、大丈夫か？」
ジュースはユ・ヘイにやらず部屋に駆け込んでいった。
ジュースをもらいそこねたユ・ヘイは疑問に沈んだ。
「それでは・・・ミナムが女でもこの人たちは平気ってわけ？」
ユ・ヘイはジェルミの駆け込んでいった部屋を怖い顔でにらんだ。
「親でもあるまいし、どうして平気なの？」
呆れて出ていこうとした時、携帯が鳴った。
マネージャからのようだ。
めんどくさそうに携帯に出た。
「タイアップは断ったでしょ」
電話を切ろうとして思いとどまった。何か違う話らしい。
「ファン・テギョンが服を買った？ ・・・確かなのね？ ・・・分かった」
携帯を切った。
ユ・ヘイは首をかしげた。
「ファン・テギョンが服を・・・？ 私用のはずはない・・・」
考え込んでいるとシヌがやってきた。
「パク・テギョンが戻ってきましたよ」
「そう」
ユ・ヘイは嬉しそうに玄関先に向かった。
いけ好かない女を見る目をちらとユ・ヘイにやってシヌはミニョのいる部屋に入っていった。
ユ・ヘイは玄関先に出てきた。
「あれね」
足を止めてテギョンを待つ。
「確かに女物だわ」
テギョンはすぐ目の前でユ・ヘイの存在に気付いた。
顔をしかめて訊ねた
「お前がどうしてそこにいる？」
ユ・ヘイは笑顔を浮かべて答えた。
「ミナムさんのお見舞いよ」
「もちろん、嘘だろ？」
「あなたにも会いたくてきたわ」
紙バックにちらっと目をやる。
「お前、おかしいぞ。まさか・・・いや、いい。それは考えたくもない」
ユ・ヘイの横をすりぬけて中に入っていく。
そこに立ち尽くしたままユ・ヘイはつぶやく。
「私の服じゃないならコ・ミナムの・・・？」
彼女は振り返った。
「テギョン、渡すものがある」
「何だ？」
ユ・ヘイは左手を広げた。
「カップルリングよ」
「何？」
「付き合ってる証拠よ」
親指から指輪を抜いた。
「一緒に付けて」
テギョンは指輪を手にした。
「きれいだな」
そう言ってユ・ヘイの親指にあっさり戻した。
「お似合いだ。お前が付けろ」
背を向けかけて付け加えた。
「勘違いしてるようだけど、俺はお前のものじゃない」
「当然でしょ。人に見せるためよ」
「十分見せてる。これ以上はゴメンだ」
ユ・ヘイを残してテギョンは中に入っていった。
（続く）
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