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雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ ファンタスティック・カップル 第10話(9)




 ユギョンはこぼれて散らかった物を片付けだす。
 この時、床に落ちたままになっている引き出しに目がいった。小さなケースに覚えがある。ユギョンの胸に馥郁とした感情が戻ってくる。
 チョルスからプレゼントされ、返したものだ。

 玄関戸が音を立てる。チョルスが走りこんできた。
「サンシラーッ! 大丈夫か?」
 アンナの返事はない。
 部屋から出てきたユギョンと顔が合った。
「チョルスさん」
「ユギョン、お前がどうしてここに? サンシルは?」
 アンナを気にかけるチョルスにユギョンは動揺する。
「・・・買い物に行ったの。おかゆを作って食べさせたわ。熱も下がったわよ」
「ああ、ありがとう・・・」
 チョルスは二階に駆け上がった。子供たちの部屋に駆け込んだ。
「みんな、大丈夫か?」
「もう、大丈夫だよ」
「熱が出て大変だったよ」
「叔父さん・・・」
 チョルスはグンソクの頭を撫でた。
「もう大丈夫だ。よかったよかった」
 子供たちを抱きしめ、チョルスは胸を撫で下ろした。

 アンナは買い物をして戻ってくる。この時、チョルスの車が戻ってきているのに気付く。アンナは複雑な気分だ。
「花束女・・・やってくるタイミングが良すぎるわ」
 アンナは舌打ちした。
「そうね・・・病人には私より花束女の方がマシね」
 素直に自分の至らなさを認めるアンナだ。
「病気は・・・ほんとにイヤ・・・!」


 チョルスは二階からおりてくる。
 ユギョンは食器の片づけをやっていた。
「ユギョン、あとは俺がやるからいいよ」
 ユギョンはチョルスをちらと見て言った。
「私に電話すればよかったのに・・・看病できる人がいないでしょ」
「サンシルがいるよ」
「いればいいってものじゃないでしょう」
 ユギョンはチョルスを見た。
「病人にツナ缶を食べさせようとしていたし、ベッドも濡れてるし、何をやってるんだか・・・肌着の着替えもさせないでいたし、いたって何の意味もない。それに買い物に行ったきり、まだ戻ってこない」
「・・・」
「どういう神経してるんだか・・・!」
「・・・ユギョン。彼女は経験がないだけで頑張ってくれた。寝もしないで子供たちの世話をしてくれたんだ。悪く言わないでくれ」
 ユギョンはバツが悪そうになった。
「私は・・・子供たちが心配なだけなの。・・・もう行くね」
 ユギョンはコートを手にした。テーブルの上の小箱を握った。
「チョルスさん・・・これ、まだ持っていたのね」
「・・・そうだったな」
「もう一度、もらってもいい? 持っていたいの」
「欲しいなら持っていけばいいよ」

 自分の至らなさを気に病んで、アンナは家の中に入れないでいた。ブランコに腰をおろし、物思いに耽っていた。
 この時、ユギョンが中から出てきた。
 アンナに気付いてそばに歩いてきた。
「おかゆは食べてくれた?」
 アンナは訊ねた。
「食べたよ。必要な物は準備しておいたからもう大丈夫よ」
「どうもありがとう」
「あなたのためじゃない。チョルスさんは子供たちだけで手いっぱいなの。助けにならなくてもお荷物にはならないでくれる?」
 そう言ってユギョンは立ち去った。
「花束女・・・もっともことばかり言うのね。気に入らないわ」
 アンナは思い直す。
「いいえ、弱気になっちゃダメ。それじゃここに居座れなくなるわ。行くあてもないんだし・・・」



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