
酔っ払って歩いてる二人を店から出てきたヒョジョンが見かけた。後から出てきたユギョンに言った。
「ユギョン、チョルスさんたちじゃない?」
ユギョンも二人を見た。
「地獄に落ちろ!」
クダをまいてヨレヨレ歩くアンナにチョルスが付き添うようにしている。
「どこへでも消えちまえ!」
ぶっそうな言葉を撒き散らしながらアンナはご機嫌だ。
「おお、いいぞいいぞ」
チョルスが手をたたいてアンナの景気をあおる。
「サンシラーッ、カッコいいぞ」
「記憶が戻ったら皆殺しよ」
「あっははは、そうだ、そうだ」
ユギョンの目にはそんな二人が仲むつまじく見える。
「本気だからね。記憶が戻ったらぶっ殺すからね、あっ!」
つまづいて転びそうになったアンナをチョルスが慌てて支える。アンナを抱きかかえるようにして歩き去っていく。
ヒョヨンがユギョンに言った。
「彼、あの女のことが好きみたいね?」
「そんなんじゃないわ」
ユギョンはムキになって否定した。二人に刺すような目を送った。
(あの女…私があれだけ言ったのに…ほんとに図々しい女ね!)
チョルスに介抱されて家に帰りついたアンナはソファーベッドで深い眠りに沈んだ。
アンナが寝やすくしてあげてから、チョルスはアンナの寝顔を見つめた。
「弱気になってるより、文句を言ってる方がいいけど疲れるよ。サンシラーッ、記憶もそのうち戻り何もかもうまくいくようになるさ」
つぶやくように呼びかけてそこを離れた。
ユギョンはチョルスからもらった腕時計を見ながら思案に沈んでいる。
「あの女は…何でもないはずよ。きっと同情してるだけよ」
腕時計をぎゅっと握りしめる。
「愛なんかじゃないわ」
ビリーも苛立ちを強めていた。
「どうしようか・・・早く連れ戻せばよかった」
大きな鏡に映る自分を見る。自分の顔は悲壮感を強めている。
「このまま逃げていたことがバレたら―、ああ、どうしたらいいんだ。コン室長」
そういえばずっと見かけない。
「コン室長はどこ行ったんだ?」
ビリーは外に捜しに出た。
ホテルのスタッフと顔合わせてはコン室長の居所を訊ねる。
「さあ、見てませんが・・・」
ビリーはケジュの立っている場所に向かって歩いてくる。
ケジュは電話をかけるところだ。自分の方を振り返ったケジュを見てビリーは首をかしげた。
「彼女は確か、あの時の~」
アンナのそばでいろいろうっとうしいことを並べていた女だ。
「金持ちの妻が死んで全財産は社長の物なんだって…運がいい人よね。あら、パングに口止めされていたのに話しちゃったわ」
ビリーは女を確かめ見てつぶやいた。
「間違いない。チャン・チョルスの側近だ」
ケジュが大きな声で携帯に呼びかけている。
「パング、来たわよ。言われた通り、一人で来たわ。チョルスの本、本当に面白かったわ。もう一冊の方も読むのが楽しみだわ」
「チャン・チョルス?」
ビリーはピクンと反応する。
「ヤツのことか? いったい、何の話だ」
コン・ヨングはケジュの言葉に応じている。
「今から下巻を持っていきますから」
携帯を切って本を見つめた。
「愛してる」
この時、彼の携帯が鳴る。
「はい、社長。どうしました?」
ケジュはホテルのフロントホールでコン室長が現れるのを待った。
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