「ファンタスティックカップル」第2話
チャン・チョルスはシャワーの修理で出向いたクルーザー内で、例のわがまま娘アンナと再会する。シャワーを修理した後、見覚えのある猫を見つけて不吉な予感を覚えていると、果たしてアンナが顔を出した。
悪しき因縁の続いている二人はその場で口汚く罵りあうが、足指の手入れをしているらしいアンナはかかと歩きで足を滑らしてしまう。身体のバランスを崩し、背中から床に叩きつけられそうになるアンナだが、とっさにチョルスが抱きかかえて事なきを得る。
その時、チョルスはうっかりアンナの胸元に目を奪われてしまう。ちょっぴりの後ろめたさと貧乏臭さにエッチさを加え、アンナはチョルスへの嫌悪感を膨らませ、すぐにここから出て行って、と叫びながら殴る蹴るの暴行を加える。
「ああ、出て行くとも」チョルスもやってられないとばかりに応じた。「出ていくからシャワーの修理代金、しめて110万ウォンを払っていただこう」
「あなたの直したシャワーなんて使わないから払う義務はないわ。使わないから元にもどしていきなさい」
「ちょっとまて」
デッキに出ていったアンナをチョルスは追いかけた。
「じゃあ、元に戻すから、出張費だけでも払え。倍額の30万ウォンだ」
「元に戻すに何で払わなきゃいけないのよ」
「俺をバカにして楽しいか。金とヒマは有り余っていても、お前のような性悪女には、友達も家族もないだろう」
「何ですって。いいから、すぐ消えて」
「お前は悪魔のような女だ」
アンナはチョルスを海に突き落とした。ついでで道具を収めたバッグまで海に投げ落とした。
その頃、ホテルではホテル社長ビリーの送別会が準備されていた。わがままなアンナを除外しての企画だったようだが、チョルスとトラブルを起こしたアンナは予定時間より早く帰ってきてしまい、ステージで気持ちよさそうに「マイウェイ」を歌っているビリーを見てしまう。
アンナが会場に入ってきたことに気付いて、場は一瞬かたまってしまうが、彼女は、続けなさい、とパーティの継続を容認する。
しかし、ホテルスタッフの一人が飲み物に悪戯の下剤をしかけたことからトラブルが発生する。悪戯はアンナに向けて仕組まれたのだが、彼女はそれを見破り、あなたが飲みなさい、と迫ったのだ。ビリーはアンナのイジメと見て、それを自分が飲みほしてしまう。
そこから二人の関係は険悪になった。言い争いのさなかにアンナの投げたグラスが水槽を割ってしまう。ビリーが自分のようにかわいがっていた鑑賞魚<ソロモン>が泳いでいた水槽だ。
ビリーは床に叩きつけられた<ソロモン>を手のひらに戻して自分のことのように嘆いた後、「別れよう」とアンナに切りだした。
貧乏くさいあの男に、友達も家族もいないだろう、と言われたことがシャクにさわってならないアンナは「絶対別れない」と叫んで部屋を出て行った。
海にもぐって道具の回収をやろうとしているチョルスのもとへ昔の恋人ユギョンが訪ねてくる。実家に戻ってきたついでで、アメリカに渡る、という報告を持ってきたのだ。
新しい恋人はステータスな身分のようだが、アメリカに行く前にもう一度会おう、というところを見ると、チョルスへの未練も残っていそうである。
ユギョンはチョルスの手のひらに自分の携帯の電話番号を書きつけた。家に帰ってきったチョルスはその番号を消した。
クルーザーに戻ったアンナは、酒を飲みながら離婚を切り出したビリーに腹を立てていた。夫のビリーに会いにやってきて以来、心から彼を愛しているとも見えない様子だったが、彼から三行半をつきつけられたことがよほど悔しいのだろう。
ビリーへの不満を並べているうちに指輪を外して投げ捨てた。しかしやがて、指輪を外したせいでひとりぽっちになってしまう寂しさに駆られてしまったか、投げ捨てた指輪を拾いあげようとして彼女は身体のバランスを崩し海に落下してしまう。
酒を飲んでいる彼女は波にもまれて死を覚悟するが、自分の残した財に埋もれてはしゃいでいるビリーの姿を見て、必死で生還を目ざして泳ぎ出す。
同じ頃、チョルスは海にもぐっていた。必死で道具の回収を行っていた。しかし彼も水におぼれて病院に運ばれてしまう。
ベッドで弟分のトックと大きな声でやりあっていたら、うるさい、と隣から女の声がする。憎まれ口に聞き覚えがあるとばかり間をしきるカーテンをあけると果たして例の性悪女である。
彼女が記憶喪失にかかってしまったと知って、チョルスはいい気味だと喜んでいたが、甥っ子の面倒を見るのに家では家政婦が必要だというのを思い出し、彼女のおかげで損した金の回収ももくろんで彼女を利用しようと考える。
自分の胸のホクロを知っていることを証拠にされ、ボロトラックに乗ってチョルスの家に引き取られてきたアンナだが、どうも違うという感覚はぬぐえない。ゴキブリの走り回る散らかった部屋。不潔で貧しい食べ物。アンナは吐き気に見舞われ、食べる気がしない。
夢見ているような気分がずっと彼女の心を覆っているが、空腹も痛みも彼女の現実だった。
一方、ビリーの心には非現実の世界が入り込んでいた。アンナの執念にさいなまれる夢にうなされ続けた。
朝がやってきた。ユギョンは自転車に乗って気持ちよさそうにチョルスの家を目指していた。ハンドル前のバスケットには花束が入っている。
チョルスはさっそく家事をやらそうとソファで眠っているアンナをたたき起こそうとした。起きる様子がないと見ると彼女を抱き上げ、外に出てそのまま水槽の中へ投げ落とした。アンナは怒ってチョルスを追いかけだすが、足をすべらせて後ろへ転倒しそうになる。
チョルスが慌てて彼女を抱きかかえるが、その瞬間、アンナの脳裏を記憶の断片がよぎる。
「私、あなたを覚えている」
そう言われてチョルスは焦るが、その時、近くから女の声がかかった。見るとユギョンだ。チョルスは驚き、抱きかかえていたアンナを思わず手放したのだった。
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