
韓国ドラマ「イケメン(美男)ですね」第10話(2)
Korean drama "You're Handsome" Episode 10 (2)
ライムを食べ過ぎてテギョンはうんざりしていた。
「ああ、まいった。ライムのせいで水まですっぱく感じる」
足を止めた。
自分はこうだが・・・ふと、ミナムのことが気になった。
「あいつの風邪はどうなんだ? 病院にも行けないのに、具合がひどいんじゃあるまいな・・・?」
ライム用のケースを持って通りかかったスタッフを呼び止めた。
「はい?」
テギョンはケースの中に手を入れた。
「これ、少しもらっていいですか?」
スタッフは笑った。
「まだ食べたいの?」
「俺じゃない」
2、3コ握ってテギョンはスタッフの元を離れた。
その理由を追求する時間もない。
スタッフはケースを抱えていそいそ歩き出した。
するとシヌが彼のもとに駆け寄ってきた。
「少しください」
「ああ、いいよ」
シヌは両手をケースの中に突っ込んだ。
「風邪に効きそうだから」
「そうだね」
また行こうとすると大声で呼び止める者がいる。
ジェルミだった。
「待ってください。それもらっていいでしょ?」
「ああ、いいよ」
ジェルミはライムを両手にいっぱい握りしめた。
「具合の悪い友達にあげるんだ。ありがとう、お兄さん」
駆け去るジェルミを見てスタッフはつぶやいた。
「ライムがこんなに喜ばれるとはな」
A.N.JELLお付のワンボックスカーの中はライムの匂いで溢れた。
ワンは鼻をクンクン鳴らした。
「何とまあ、さわやかな香りだこと。果物みたいだけど何かしら?」
三人はそれぞれ知らない振りを通した。
寮に戻ったミニョは感情が高ぶって眠る気にもなれなかった。
ユ・ヘイに言われたことがずっと頭の片隅にこびりついていた。
ミニョは悲しかった。苦しかった。
やっぱり自分はここを出ていかねばならないのか。いてはいけない人間なのか。
決断を下せない自分が悲しかった。悔しかった。
撮影中からずっと様子のおかしかったミニョを案じるテギョンらの乗った帰りの車は渋滞に巻き込まれていた。
コ・ミジャはミニョらのことについて話すのを渋っていた。
「じつは・・・ミナムとミニョの居所については私も知らないのです」
「・・・」
「ですから弟への著作権の支払いは、唯一の血縁である私にください」
「・・・」
「血縁は姉である私しかいないんです」
「その子たちは捜せませんか?」
「あらゆる手をつくして探しましたが、結局ダメでした。見つかりませんでした」
「・・・」
「海外に養子でもらわれていったか、どうしたか・・・どっちにしろ、幸せに暮らしていると思います」
「・・・」
「ですから、お金の件は私と話してください」
モ・ファランは言葉を挟まなかった。悲しそうにコ・ミジャを見つめるだけだった。
亡くなった父と三人で写った写真を見ながら、ミニョは感傷的な思い出に浸っていた。
「お兄ちゃん・・・私、怖い・・・私のせいでみんなに迷惑をかけられない」
ミニョは横を見た。
テギョンのポスターが目に飛び込んでくる。
「私には手の届かない人よ・・・」
枕元ではブタウサギが幸せそうに寝そべっている。
また涙がこみ上げてきた。目じりを伝って流れ出す。
「私のせいで彼の人生を・・・ダメにするわけにいかない・・・!」
テギョンらは寮に帰り着いた。
しかし、人の気配がない。
様子が変だと気付いて、ジェルミは大きな声でコ・ミジャを呼んだ。
「ここにもいない。2階かな? 伯母さん!」
ジェルミは2階に駆け上がった。
テギョンらも続いた。
ミニョは布団に潜り込んで寝ている。
「一人なのか? 伯母さんは?」
空ろな表情でミニョは答えた。
「友達と会うために出かけました」
「少しはよくなった?」
ミニョは頷く。
シヌとテギョンも姿を現す。
「熱はどうだ? 下がったか?」
シヌはミニョの額に手を置いた。
「まだあるな。薬は?」
「飲みました。寝れば治ります」
ためらいながら、テギョンは厳しい口調で言った。
「お前のせいで撮影に支障が出てしまったじゃないか」
「すみません。二度とないようにします」
「当たり前だ」
それだけ言ってテギョンは引き下がった。
(続く)
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