
韓国ドラマ「青い海の伝説」第15話⑥
韓国ドラマ「青い海の伝説」第15話⑤
★★★
ジンジュの言葉に耳を貸さず、モランは続ける。
「台所を使ってもいいの?」
「…」
「どうせなら寝室も使いたいわ」
「…」
「ここへ何しに来たのか知らないけど、残念だったわね」
ジンジュは天井を睨んでいる。
「私が大人しくしてたのはすべてジンジュのためよ。もう怖いものなんてないの」
噂好きのジンジュはどうやら二人の因縁に気づいたようだ。
「ジンジュさん」
シネは言う。
「ちょっと席を外して」
「はい。わ、分かりました」
ジンジュは立ち上がる。
「お話の通り…この人は同窓生を出し抜いて夫を奪いました。追い出された前妻はどこへ行ったか分からないのだとか…」
ジンジュはうろたえて弁解する。
「私…そこまで露骨に言ったかしら…」
モランはジンジュを見た。
「私よ。前妻は」
ジンジュは口に手をやる。
「この人に夫を奪われました」
「おもおも…」
ジンジュはただただうろたえた。
カン・ソヒが引き上げて行った後、ジンジュは自分の部屋に飛び込んだ。
★★★
「嘘でしょ?」
カン・ソヒが引き上げた後、ジンジュは自分の部屋に駆け込んだ。
ベッドに飛び乗り、座り込んだ。口元を手で押さえる。
「信じられない」
もう、誰かに話したくて仕方がない。
さっそく、知り合いに電話を入れ始める。
「大変よ。新年早々からビッグニュースよ。ねえ、聞いて。歴史的な瞬間を…目の前で見たの。…そうよ。うん。心して聞いてちょうだい。凄いんだから。おっほほほほ」
カン・シネはムシャクシャしてジンジュの家を出てきた。腹の底は煮えくり返らせながら車に乗り込んだ。




ジュンジェは訪れたホン刑事らとともに、マ・デヨンの行方について話を進めている。
「カン・ジヒョンの行方はどうなってる?」
「調べてみたけど…」とナムドゥ。「こんな恐ろしい女は初めてだ。周りの人間が相次いで変死してる」
傍らのホン刑事が補足する。
「過去の夫は2人とも失明後に死んでる」
「そうだ。でもアリバイや診断書があって保険金も下りてる」
とナムドゥ。
「それだけじゃない」
「…」
「この女は孤児だったが、引き取った家族も全員━みな…みな変死してる」
「…間違いはないか?」
とジュンジェ。
「ああ、調べていて鳥肌が立ったよ」
ホン刑事も相棒と顔を見合わせる。
「で、今はどこに?」
「それはまだ分からない。思うに、おそらく身元を偽って暮らしているはずだ」
みな頷きあう。
「しかしもうひとつ、驚くべき情報がある…」
「もったいぶらないで早く話せ」とホン刑事。
「そこはクセなんです」とナムドゥ。「ジュンジェ、カン・ジヨンはチェチョン(堤川)出身だぞ」
「…」
「しかも出身高校は…ちょっと気にかかるんだが、お前の母親と同じだ」
出身高校の写しを見せる。
イルジュンはカン・ソヒに付き添われて病院を出てくる。カン・ソヒ配下の迎えの車に乗り込む。
イルジュンはもうほとんど視力は利かなくなっている。
「あなた…」
隣に座ったソヒが声をかける。
「ナム部長の後任秘書よ。あなたをサポートしてもらいます」
「そうか…」
紹介された男はにやりと笑みを浮かべる。
「よろしくお願いします」
眼鏡をかけたホ・デヨンだった。
「こちらこそよろしく頼む」
「では、出発します」
エンジンがかかり、車はゆっくり走り出す。
モ・ユランがお盆に食べ物をのせて運んでくる。ジンジュはあわてて彼女に駆け寄る。
「そんなことは私がやります。座っていてください」
とお盆を取り上げる。すごくご機嫌だった。
「奥様、今日はすみませんでした。新しい人を雇う前ですが、今日で辞めさせていただきます」
しかし、ジンジュの態度は一変している。
「姉さん…」
「えっ?」
「年上なんだからお姉さんでしょ? 私にはお姉さんがいないから、これからは実の姉だと思って接するわ」
「奥様…」
ジンジュは人差し指を立てた。
「ここにいるだけでいいの。だって急に辞めても行く当てがないでしょ? 実の姉のお屋敷だと思って、仕事はせずに楽に過ごしてくださいな」
「…」
「できませんよ、そんなこと…」
「姉さん…」
ジンジュは親しみを込めて呼ぶ。
「今日はほんとに驚いたわ。時代劇を見た気分だわ」
「…」
「悲劇のイニョン王后と稀代の悪女チャン・ヒビン」
ジンジュは手を叩く。
「でも、イニョン王后は王妃の座に返り咲いたでしょ?」
と今度は胸を叩く。頷いていう。
「私が助けるわ」
彼女の頭の中では次の資産運用の構想が動き出しているようだった。
「私は姉さんの華麗なる復権を願っています」
モランはジンジュから目をそらす。
「私にそんな気持ちはありません」
「いいえ姉さん。なくても頑張ってくださいな。私のためにも」
「…」
「とにかく私が身を粉にして助けてあげる。絶対にこのまま、姉さんを終わらせないわ。いいわね」
ジンジュはチャ・シアの部屋に顔を出す。
「あなた、知ってたんでしょ?」
「…」
「最近、おばさんに媚びてたものね」
「何のこと?」
「おばさんが不動産王のホ会長の前妻だってことよ」
「えっ?」
新しい事実を知らされシアはびっくりする。
「知らなかったの?」
「ええ、全然…」
「ああ、もう…この話をするのは何度目かしら…。何度話してもドキドキする」
シアは目をパチクリさせる。
「よく聞いて…おばさんはホ会長の前妻だったのよ」
シアはジュンジェの顔を思い浮かべる。
「おばさんの料理を差し入れていたなんて…自分でも夢にも思わなかったわ。びっくりしたでしょ?」
もう、ジンジュの話など聞いていない。
「ジュンジェがあの人の…」
「ジュンジェ? あなた、息子をしってるの?」
「私が知るわけないでしょ。同じ名前の友達ですよ…」
「だってね」とジンジュ。「家出したおばさんの息子もジュンジェなのよ。さっき、おばさんが口にしてたわ」
シアはため息をつく。髪をかきむしって嘆く。
この後、シアは豹変してテオを電話で夜の街に誘った。
ジンジュの言葉に耳を貸さず、モランは続ける。
「台所を使ってもいいの?」
「…」
「どうせなら寝室も使いたいわ」
「…」
「ここへ何しに来たのか知らないけど、残念だったわね」
ジンジュは天井を睨んでいる。
「私が大人しくしてたのはすべてジンジュのためよ。もう怖いものなんてないの」
噂好きのジンジュはどうやら二人の因縁に気づいたようだ。
「ジンジュさん」
シネは言う。
「ちょっと席を外して」
「はい。わ、分かりました」
ジンジュは立ち上がる。
「お話の通り…この人は同窓生を出し抜いて夫を奪いました。追い出された前妻はどこへ行ったか分からないのだとか…」
ジンジュはうろたえて弁解する。
「私…そこまで露骨に言ったかしら…」
モランはジンジュを見た。
「私よ。前妻は」
ジンジュは口に手をやる。
「この人に夫を奪われました」
「おもおも…」
ジンジュはただただうろたえた。
カン・ソヒが引き上げて行った後、ジンジュは自分の部屋に飛び込んだ。
★★★
「嘘でしょ?」
カン・ソヒが引き上げた後、ジンジュは自分の部屋に駆け込んだ。
ベッドに飛び乗り、座り込んだ。口元を手で押さえる。
「信じられない」
もう、誰かに話したくて仕方がない。
さっそく、知り合いに電話を入れ始める。
「大変よ。新年早々からビッグニュースよ。ねえ、聞いて。歴史的な瞬間を…目の前で見たの。…そうよ。うん。心して聞いてちょうだい。凄いんだから。おっほほほほ」
カン・シネはムシャクシャしてジンジュの家を出てきた。腹の底は煮えくり返らせながら車に乗り込んだ。




ジュンジェは訪れたホン刑事らとともに、マ・デヨンの行方について話を進めている。
「カン・ジヒョンの行方はどうなってる?」
「調べてみたけど…」とナムドゥ。「こんな恐ろしい女は初めてだ。周りの人間が相次いで変死してる」
傍らのホン刑事が補足する。
「過去の夫は2人とも失明後に死んでる」
「そうだ。でもアリバイや診断書があって保険金も下りてる」
とナムドゥ。
「それだけじゃない」
「…」
「この女は孤児だったが、引き取った家族も全員━みな…みな変死してる」
「…間違いはないか?」
とジュンジェ。
「ああ、調べていて鳥肌が立ったよ」
ホン刑事も相棒と顔を見合わせる。
「で、今はどこに?」
「それはまだ分からない。思うに、おそらく身元を偽って暮らしているはずだ」
みな頷きあう。
「しかしもうひとつ、驚くべき情報がある…」
「もったいぶらないで早く話せ」とホン刑事。
「そこはクセなんです」とナムドゥ。「ジュンジェ、カン・ジヨンはチェチョン(堤川)出身だぞ」
「…」
「しかも出身高校は…ちょっと気にかかるんだが、お前の母親と同じだ」
出身高校の写しを見せる。
イルジュンはカン・ソヒに付き添われて病院を出てくる。カン・ソヒ配下の迎えの車に乗り込む。
イルジュンはもうほとんど視力は利かなくなっている。
「あなた…」
隣に座ったソヒが声をかける。
「ナム部長の後任秘書よ。あなたをサポートしてもらいます」
「そうか…」
紹介された男はにやりと笑みを浮かべる。
「よろしくお願いします」
眼鏡をかけたホ・デヨンだった。
「こちらこそよろしく頼む」
「では、出発します」
エンジンがかかり、車はゆっくり走り出す。
モ・ユランがお盆に食べ物をのせて運んでくる。ジンジュはあわてて彼女に駆け寄る。
「そんなことは私がやります。座っていてください」
とお盆を取り上げる。すごくご機嫌だった。
「奥様、今日はすみませんでした。新しい人を雇う前ですが、今日で辞めさせていただきます」
しかし、ジンジュの態度は一変している。
「姉さん…」
「えっ?」
「年上なんだからお姉さんでしょ? 私にはお姉さんがいないから、これからは実の姉だと思って接するわ」
「奥様…」
ジンジュは人差し指を立てた。
「ここにいるだけでいいの。だって急に辞めても行く当てがないでしょ? 実の姉のお屋敷だと思って、仕事はせずに楽に過ごしてくださいな」
「…」
「できませんよ、そんなこと…」
「姉さん…」
ジンジュは親しみを込めて呼ぶ。
「今日はほんとに驚いたわ。時代劇を見た気分だわ」
「…」
「悲劇のイニョン王后と稀代の悪女チャン・ヒビン」
ジンジュは手を叩く。
「でも、イニョン王后は王妃の座に返り咲いたでしょ?」
と今度は胸を叩く。頷いていう。
「私が助けるわ」
彼女の頭の中では次の資産運用の構想が動き出しているようだった。
「私は姉さんの華麗なる復権を願っています」
モランはジンジュから目をそらす。
「私にそんな気持ちはありません」
「いいえ姉さん。なくても頑張ってくださいな。私のためにも」
「…」
「とにかく私が身を粉にして助けてあげる。絶対にこのまま、姉さんを終わらせないわ。いいわね」
ジンジュはチャ・シアの部屋に顔を出す。
「あなた、知ってたんでしょ?」
「…」
「最近、おばさんに媚びてたものね」
「何のこと?」
「おばさんが不動産王のホ会長の前妻だってことよ」
「えっ?」
新しい事実を知らされシアはびっくりする。
「知らなかったの?」
「ええ、全然…」
「ああ、もう…この話をするのは何度目かしら…。何度話してもドキドキする」
シアは目をパチクリさせる。
「よく聞いて…おばさんはホ会長の前妻だったのよ」
シアはジュンジェの顔を思い浮かべる。
「おばさんの料理を差し入れていたなんて…自分でも夢にも思わなかったわ。びっくりしたでしょ?」
もう、ジンジュの話など聞いていない。
「ジュンジェがあの人の…」
「ジュンジェ? あなた、息子をしってるの?」
「私が知るわけないでしょ。同じ名前の友達ですよ…」
「だってね」とジンジュ。「家出したおばさんの息子もジュンジェなのよ。さっき、おばさんが口にしてたわ」
シアはため息をつく。髪をかきむしって嘆く。
この後、シアは豹変してテオを電話で夜の街に誘った。