傍聴絵日記

@さいたま地裁傍聴席

ピンサロ少年(当時19歳)

2016年06月29日 | 刑事事件
平成27年(わ)第1405号等  

少年A  

強盗致傷

さいたま市岩槻区と大宮区の合計4件の連続強盗事件です。

【被告人の生い立ち】
被告人は姉2人の3人兄弟の末っ子でしたが、幼少期に両親の離婚によって、母親に引き取られ祖母の元で育てられました。
更には母親が姿を消したことによって施設に引きとらることになりました。
その施設で出会うのが、今回の共犯者の一人であるイシゲです。

被告人は施設での、年長者から受けた理不尽なイジメを共に力を合わせ克服したイシゲを家族以上のかけがえの無い存在であると語っています。
そのイシゲとともに本件犯行を行ってしまった事に「大事な家族同然のイシゲを犯罪行為に巻き込んでしまう事に葛藤は無かったのですか」との裁判員の質問に、その事だけは今も後悔していますと胸の内を答えました。
社会復帰後に共犯者であるイシゲと再会する事は再犯予防の観点から、かなり困難だと思われます。
先述のとおり家族以上の存在であると被告人が自認するイシゲとの絆を断ち切ったのは被告人等自身の行為であると言う皮肉な結末です。

【強取金の使途】
被告人は1件目のオヤジ狩り犯行後に山分けした強取金(被告人の取り分6000円)で大塚のピンサロ店(JJクラブ)で2回転したと言います。

ピンサロは職場の先輩に連れられて行ったのが初めてで、今回が2度目だと答えますが、被害者をオヤジと蔑み容赦無く強盗を働く一方、何とも自分達の行動はオッサン臭い連中です。

3件の犯行を行なった翌8月21日の犯行後には、事前に約束していた女性達と連れだってカラオケ店へ行っています。
ですから、女性との遊興費目当ての計画的犯行だったとも評価出来る訳です。(犯行当時被告人一味は、お盆休み明け後も職場を無断欠勤中でした)
カラオケ店は未成年の飲酒を黙認する店が見つかるまで複数店回って探した様ですから目的達成の為に挫けない精神力が伺えます。(使いどころを間違えていますが…)

ピンサロと一夜のカラオケの為に数年間の服役とは、何とも割りに合わないと理解出来たでしょうか。本来なら、身近な年長者が諭すべきことなのですが、被告人の近辺にはまともな大人が居なかった様です。

【職歴】
主に鳶職等の建設作業員として稼働しましたが、人間関係等を理由に職場を転々としています。
先輩や年長者からのイジメとも取れる要求や上から目線が耐えられなかったと人間関係を具体的に表現していました。
幼少期からの理不尽な境遇に置かれたことに起因するものと推測します。
しかしながら、本件事件では被告人自身が理不尽な暴力を働くという、負のスパイラルの中心点にいます。

DVの家庭で育った子供が、親になり無意識下で自身の親と同様の行為を働いてしまうアレです。

【応答】
法廷での態度がとても20歳の若者とは思えないしっかりした答弁をします。
私には想定問答を読み上げている様に嘘臭く感じたのですが、判事は別の印象を受けた様です。
「学校の勉強は出来る方でしたか」…確かに頭の回転は速く言葉遣いもきちんとしています。
環境さえ整えば、特殊詐欺大抵の仕事で大成出来たと思います。



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