昨日は文化の日。
ちょっとは文化に触れようと、本棚を見上げた。
私のエリアには、何度も何度も読み返している「いじわるばあさん」「天才バカボン」の漫画本と「コロボックルシリーズ」「ムーミンシリーズ」の文庫本、その他数冊。
夫のエリアには、いわゆる文学作品がずらーっと並んでいる。
よし!と気合を入れ、夫のエリアから一冊拝借した。
選んだのは、新潮文庫の梶井基次郎「檸(れもん)檬」(短編作品20編収録)。
学校の教科書に出てきた覚えがあるからという単純な理由で、まずは1作目の「檸檬」を読んでみることにした。
はるか遠い記憶をたどると、八百屋の暗い照明の中に鮮やかな黄色の檸檬・・・という絵が浮かんだ。
読み始めてみたら、いたるところに記憶違いを見つけた。
そして、文章だけで風景や心情をこんなに表現できるなんて本当にすごい!と感動した。
いつ頃の作品なんだろう?と思い、裏表紙をめくってみた。
「❜89(H1) 2 15 富士見」
右ページの下の部分に、鉛筆書きの見覚えのある夫の字を見つけた。
これ、なんだ?
夫に聞いたら、大学時代、本を購入したら、日付と購入した場所を書き入れることにしていたとのこと。
私が知らない、学生時代の細い夫を想像して、ちょっと嬉しい気持ちになった。
この6年後に私と出会うわけだ。
今、ふたりとも50代。光陰矢の如し