花冠俳句フェスティバル

花冠発行所
代表 高橋正子

■フェス大会テーマ「文学と生活風土」■

2007-11-07 22:14:35 | Weblog
■大会テーマ「文学と生活風土」―嘱目・吟行・オフ句会―
□水煙代表 高橋信之

 文学や芸術では、主体的な創作が問われているのは当然のことだが、日本の文化では、特に伝統的な文化では、その理解がそれほど簡単なものではない。伝統というものは、あらゆるジャンルと総合的に関わっているからである。日本の詩は、明治以降の現代詩であっても、自然との関わりが深いことで、独自なものである。朔太郎の詩を読めば、その自然描写に驚く。俳句における自然との関わりは、周知のことであろう。虚子の花鳥諷詠のレベルで言っているのではない。
 文学としての俳句は、自然との関わり、作り手が住む風土との関わり、作り手の生活との関わりがその解釈上での重要な鍵となる。夏目漱石の『門』をより良く理解しょうと思うならば、漱石が参禅し、小説『門』の舞台となった鎌倉の円覚寺の山門を訪ねたらよい。川端康成の『山の音』をより良く理解しょうと思うならば、康成が住んでいた鎌倉長谷の旧宅を訪ね、その裏山や由比ヶ浜といった風土に身を置けばよい。虚子の俳句をより良く理解しょうと思うならば、虚子庵のあった鎌倉由比ヶ浜に行くとよいであろう。
 今年の俳句フェスティバルは、11月24日・25日に横浜・鎌倉で開催し、その大会テーマに「文学と生活風土」を選んだ。嘱目・吟行・オフ句会の意義を学びたいと願ったからである。特に「嘱目」を重視したい。気をつけて見ること、目に触れたものを吟ずること、である。

■追記/朝日新聞を読んで
□水煙主宰 高橋正子

地縁、血縁、社縁といったつながりが弱まり、インターネットを介して人々が結びつく「ネット縁」の存在感が増している。(中略)
とりわけ、今年にわかに知名度を高めたのが「セカンドライフ」などの仮想空間コミュニティーサービス。(中略)
その鍵は「現実」をまぶすさじ加減にありそうだ。(中略)
今や世界の1千万人が「住民登録」しているというSL(セカンドライフ)は、建物や衣服など、すべてが立体CG(コンピューターグラフィック)で作られた仮想世界で、参加者はアバターと呼ぶCGの身体を介して活動する。(中略)
SL研究の第一人者のデジタルハリウッド大学院教授の三淵啓自さんは、「仮想世界は架空世界ではない。現実の補完機能として一種のユートピア実験ができる場」と言う。
 以上は、11月7日の朝日新聞からの書き抜きだが、水煙の「インターネット俳句センター」でも、同じ問題を抱えている。ここでは、確かに仮想世界のコミュニティーを作り上げているが、現実世界との関わり、仮想世界と現実世界との関わりをうまく働かせる必要が重要だ。ネット句会を仮想世界の句会とし、現実の嘱目、オフ句会とどう向き合うか、が課題となる。これは、11月24日の水煙フェスティバルの大会テーマでもある。機を得て、このことがテーマとなった。

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