シゲチャンの山と花の日記

中高年登山とガーデニングを始めました

2010年最後の山行・御坂黒岳

2011-01-04 20:58:20 | Weblog
御坂黒岳(1,793m)は、富士山のの北側に連なる御坂山塊の主峰で、三ツ峠と並んで河口湖を前景とした均整のとれた美しい富士が望める山。

今回は国道137号線の新御坂トンネル入口近くの登山口から御坂峠経由で御坂黒岳に登り、新道峠から河口湖畔の大石集落に下る次のコースとした。
三ツ峠入口バス停―(1:30)―御坂峠―(1:00)―(0:40)―破風山―(0:15)―新道峠―(1:30)―河口湖自然生活館バス停

新宿から高速バス(中央高速道路)、富士急・河口湖駅から甲府行き路線バスを乗り継ぎ、新御坂トンネル手前のバス停「三ツ峠入口」で下車。バスが新宿を出発した時は、雲一つない快晴の空も河口湖に近づくと雲が多くなり、富士山の頭は雲の中、御坂黒岳の上空も雪雲が広がり肌寒い空模様となっている。 
時刻は9時35分。トンネル入口右側の御坂みち旧道を天下茶屋方面に歩き出し、すぐ傍らの道標に従い左手に現れた御坂峠への道を行く。
最初は杉の林の道だが、やがてミズナラ、コナラ等の雑木の中を行くようになる。この道は甲斐と相模を結ぶ鎌倉街道として、平安の頃から人馬が行き交ったという古道で、山腹を斜めに登るつづら折りの道は幅広く歩く易い。
落葉が散り積もった道は明るく気持ちよい道だが、空は曇り勝ちでチラチラ風花が舞ってくる。
南斜面の山道に、時折、雲が切れ陽の光が射し込むと途端に暖かくなり、太陽エネルギーの大きさ、ありがたさを実感する。
やがて、右手木々の間からアンテナの立つ三ツ峠山が見え、その左にこんもりとした御坂山が眺められるようになると、道は緩く右への巻き道となり、暫くで御坂山と御坂黒岳の鞍部にある御坂峠に着く。 小広く傍らに御坂茶屋(休業中)の建つ御坂峠は、明るく開けたところで、この辺一帯は戦国時代、北條氏の山城があったところだそうで近くにはその名残りの掘割等の遺構が見られるという。(説明板あり)




御坂峠から左へ稜線上に付けられた御坂山塊の縦走路を西にとり御坂黒岳を目指す。
数日前に降った雪がうっすらと残る茶屋裏の山道を行き、小さなピークを幾つか超えてゆく。 辺りはブナやミズナラの自然林が広がり、ここが一年で一番輝く新緑や紅葉の頃に訪れてみたいところ。
尾根の道が岩混じりの道になると、傾斜が増し急な登りとなるが、雪の積もった露岩の道は滑りそうでスリップに気をつけて進む。右手・山の北側の林にはまだ雪がベッタリ残っている。
やがて、傾斜緩み頭上の空が大きくなってくると一等三角点の立つ御坂黒岳山頂に辿りつく。

山頂は木々に囲まれ展望が利かないが、山頂から少し南に下ると樹木が切り払われ露岩の出た展望台に着く。
岩の上に立つと真正面に裾を長く延ばした富士山があり、その下には白く光る河口湖が横たわっている。今日は北の強い高気圧が張り出した初日のためか、雪雲が湧き、且、風が強く西から東に流れる雲が富士に纏わり付き、残念ながらスッキリした富士の姿が見えず、又、富士の右に白銀の嶺を連ねる南アルプスの山々も見えない。時折、流れる雲の切れ間から富士の頭が見えるが、吉田大沢から湧く雲がカサブタのように富士に貼りつき離れない。
時刻は12時20分。ここで昼食とし、食事を摂る間に富士の雲の取れるのを待つ。
稜線上は風が吹き抜け、ジッとしていると背中から寒さが這い上がってくる。河口湖駅前の温度計が6℃を示していたので、標高が1700mを超すこの辺りでの体感温度は0℃を下回っているか。

約1時間、富士の雲のとれるのを待つもままならず、諦めて下山開始とする。
一旦、山頂に戻り縦走路を西にとる。最初は急な下りで、雪のついた道は滑りやすく、慎重に下る。 下り着いたところがすずらん峠で、上芦川への道が右に分けている。そこから木の間越しに富士を左に見ながら20分ほど緩やかに登ると破風山山頂に着く。破風山からも富士はよく見えるが相変わらず雲が絡んでおり、ここは休みことなくそのまま新道峠に下る。

新道峠への尾根道の途中、稜線上に露岩のむき出しとなった見晴し抜群のビューポイントに出会う。ここには笛吹市の富士山定点観測カメラが設置されており、御坂黒岳の展望台と同様の眺望が得られる場所のようだ。 ここまで来ると、ようやく天気も安定してきて西から東に流れていた雲も消え、今までしつこく富士山に纏わりついていた雲も解れ始めてきている。山頂に絡む雲も小さくなってきておりもう暫くすると綺麗な富士が見えそうな予感がする。ここからの富士は頭が小さく足の長い八頭身の富士で、富士の左裾野には自衛隊の北富士演習場が広がり、その左には山中湖が姿を見せ、その向こうには箱根連山と愛鷹連峰も見え出してきている。

ここから少し下ると新道峠で、御坂山塊縦走路は節刀ヶ岳、十二ヶ岳、王岳へと続くが、我々はここで、縦走路と別れ左のカラマツ林の中を大石集落に向かい下る。
山腹をジグザグに下る道は、暫くで桧の林に入ってゆく。 40分ほど下り続けると幅広い林道に下り立ち、更に別荘地の中の道を抜けてゆくと大石集落へと入って行く。 




下る途中、木々の間から見る富士は、下るに従い仰ぎ見るようになり、その姿は次第に大きくなっていくように見える。河口湖に流れ込む馬場川の橋の上で、老婆に見守られながら西日に照らされ長い影を落とし無心に遊ぶ幼子の姿をみかける。雲もとれすっきりとした姿を見せている富士山をバックにしたその姿は、一幅の絵を見るようで印象的。
河口湖畔まで下り、折り良く到着したレトロバスで、そこから程近い日帰り温泉・野天風呂天水に向かう。 温泉近くのバス停「久保田一竹美術館」から温泉に向かう前に暮れてゆく富士をもう一度見ようと河口湖畔のボート乗り場に立ち寄ってみる。湖岸の砂浜に立つと、湖面を波立たせた河口湖の先に端正に佇む富士山がみえる。 山頂部は依然として風が強いのか盛んに雪煙を巻き上げているが、山腹の雪は夕日に照らされてピンク色に染まり始めている。 もう少し早く雲がとれていれば稜線で見る富士は素晴らしかったろうと残念に思うが、山の天気はままならない。
暫く写真を撮っていると、日が西に沈みかけている。 対岸の足和田山の向こうに湖面を照らしながら沈む夕日を見ながら温泉に向かう。

河口湖温泉の元湯だという良質の温泉の湯に浸うと山行の疲れもとれるようで、ゆっくり体を癒した後、帰路に着く。 温泉の外に出て見ると、日はとっぷり暮れて見上げる真っ暗な北の空には、Wを逆さまにしたようなカシオペヤや北極星、スバルその他沢山の星が瞬き、明日の晴天を約束してくれているようだ。

御坂黒岳は5年半ぶり(前回は天下茶屋からの登り)で、落葉を踏みしめての山行は春に訪れた前回とまた違った趣きがあった。 黒岳山頂では雲に邪魔され綺麗な富士山は望めなかったものの、麓では夕暮れの端正な富士に出会え、また、今回は山中では一人の登山者とも出会うことのない静かな山を味わうことができ、今年の締めくくりに相応しい満足の山行となった。


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