出張から帰ってきて、PCデスクで一仕事しようと腰を落ち着けると、
デスクの上にちょこんと茶色い物体が置いてある。
何かと思ったらセミの抜け殻だった。
まさかセミが自分で家の中までやってくることはないだろう、
と思っていると、
「パパを驚かせようと思って」
と、子供がわざわざ道端で見つけて持ち帰ってくれたものだそうだ。
8月も中旬にさしかかり、毎日セミが大合唱しているのが聞こえる。
いまは便利な時代で、セミの泣き声をネットで公開してくれるサイトがあるので、
公園でセミが鳴いているのが聞こえると、子供も「ワシワシ、クマゼミが鳴いてるね」など、
いかにも知ったようなことを言えてしまう。
子供は、セミの抜け殻も拾ってきて、
セミの泣き声からセミの種類を判別できるようになっているが、
次なる実体験、ということでセミの羽化を見に行くことにした。
と、実はここまですべて妻の発案。
私は、というと、「暑いし、蚊もいるし、寝る時間だし、行くたくないなぁ」と
最初はかなり消極的だった。
が、結論から言うと、妻や子供が、
「暑くて汗だくになったし、蚊にもかまれたし、寝る時間だから帰る」と
羽化の途中で帰った後も、自分ひとり、羽化を最後まで見届けたのだった。
もちろん、自分だけで楽しむのではなく、翌朝には、羽化の最終局面に至る
様子を子供にしっかり報告している。
--
セミの羽化は夜8時から9時の間がもっとも多いという。
どこで多く見られるかというのは、昼間の間に、抜け殻が多く落ちている場所を
探しておくとよさそう。
私たちもセミの抜け殻が多く見られる近くの公園にやってきた。
最初のセミの幼虫を見つけたのは子供だった。
「あ、なんか地面を歩いているムシがいるよ」
という。
よく見ると、セミの幼虫が公園の地面をゆっくり這っている。
なるほど、地上に出てきたころに、必ずしも木があるとは限らないので、
地上に出てはじめて、上ることのできるものを探すのだろう。
セミの幼虫は木の根本からすぐに上に上がってくると思っていたので、
地面を這っているセミの幼虫、というのは少し意外だった。
が、ほどなく別に2匹ほど地面を這っているのを見つけた。
蛍光灯に照らされ、そこまで暗くない公園。
現代のセミの幼虫は、ここから木を目指すのだ。
一匹は大きな木に辿り着き、上っていって見えなくなった。
もう一匹は小さな木に上り、最後は葉の裏側に落ち着いた。
どうやらセミの幼虫に「戻る」というオプションはないようで、
これ以上先には進めないので、木の葉に落ち着いたというようにも見える。
風が吹くと前後に揺れて、下手をすると落下してしまいそうだ。
だが、ここと決めたようで、動かなくなっている。
最後の一匹は木まで辿りつけなかった。
石でできた「すべり台」の手すりにあたる部分で静止した。
--
ここからは葉の裏で羽化を開始したセミを中心に観察している。
まず、セミの幼虫の背中が割れて、垂直に「白い」セミが出てくる。
その後、抜け殻の上に覆いかぶさるようにして、羽化の体制を整える。
最初は羽も短い。
だんだんと羽が伸びてくる。
ほぼ羽が伸びきった状態。
完成形へ。
すべり台の幼虫も無事に羽化に成功していた。
けっこう風が強く吹いており、葉の裏で羽化したセミはずいぶん揺れていた。
また、すべり台の上には猫が遊びに来ていた。
翌朝、この場所に来てみると、抜け殻だけになっていた。
セミたちが無事に飛び立ち、あのセミの大合唱に参加できたと信じたい。
デスクの上にちょこんと茶色い物体が置いてある。
何かと思ったらセミの抜け殻だった。
まさかセミが自分で家の中までやってくることはないだろう、
と思っていると、
「パパを驚かせようと思って」
と、子供がわざわざ道端で見つけて持ち帰ってくれたものだそうだ。
8月も中旬にさしかかり、毎日セミが大合唱しているのが聞こえる。
いまは便利な時代で、セミの泣き声をネットで公開してくれるサイトがあるので、
公園でセミが鳴いているのが聞こえると、子供も「ワシワシ、クマゼミが鳴いてるね」など、
いかにも知ったようなことを言えてしまう。
子供は、セミの抜け殻も拾ってきて、
セミの泣き声からセミの種類を判別できるようになっているが、
次なる実体験、ということでセミの羽化を見に行くことにした。
と、実はここまですべて妻の発案。
私は、というと、「暑いし、蚊もいるし、寝る時間だし、行くたくないなぁ」と
最初はかなり消極的だった。
が、結論から言うと、妻や子供が、
「暑くて汗だくになったし、蚊にもかまれたし、寝る時間だから帰る」と
羽化の途中で帰った後も、自分ひとり、羽化を最後まで見届けたのだった。
もちろん、自分だけで楽しむのではなく、翌朝には、羽化の最終局面に至る
様子を子供にしっかり報告している。
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セミの羽化は夜8時から9時の間がもっとも多いという。
どこで多く見られるかというのは、昼間の間に、抜け殻が多く落ちている場所を
探しておくとよさそう。
私たちもセミの抜け殻が多く見られる近くの公園にやってきた。
最初のセミの幼虫を見つけたのは子供だった。
「あ、なんか地面を歩いているムシがいるよ」
という。
よく見ると、セミの幼虫が公園の地面をゆっくり這っている。
なるほど、地上に出てきたころに、必ずしも木があるとは限らないので、
地上に出てはじめて、上ることのできるものを探すのだろう。
セミの幼虫は木の根本からすぐに上に上がってくると思っていたので、
地面を這っているセミの幼虫、というのは少し意外だった。
が、ほどなく別に2匹ほど地面を這っているのを見つけた。
蛍光灯に照らされ、そこまで暗くない公園。
現代のセミの幼虫は、ここから木を目指すのだ。
一匹は大きな木に辿り着き、上っていって見えなくなった。
もう一匹は小さな木に上り、最後は葉の裏側に落ち着いた。
どうやらセミの幼虫に「戻る」というオプションはないようで、
これ以上先には進めないので、木の葉に落ち着いたというようにも見える。
風が吹くと前後に揺れて、下手をすると落下してしまいそうだ。
だが、ここと決めたようで、動かなくなっている。
最後の一匹は木まで辿りつけなかった。
石でできた「すべり台」の手すりにあたる部分で静止した。
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ここからは葉の裏で羽化を開始したセミを中心に観察している。
まず、セミの幼虫の背中が割れて、垂直に「白い」セミが出てくる。
その後、抜け殻の上に覆いかぶさるようにして、羽化の体制を整える。
最初は羽も短い。
だんだんと羽が伸びてくる。
ほぼ羽が伸びきった状態。
完成形へ。
すべり台の幼虫も無事に羽化に成功していた。
けっこう風が強く吹いており、葉の裏で羽化したセミはずいぶん揺れていた。
また、すべり台の上には猫が遊びに来ていた。
翌朝、この場所に来てみると、抜け殻だけになっていた。
セミたちが無事に飛び立ち、あのセミの大合唱に参加できたと信じたい。