よぉ、おはよう。
よく寝ていたな。
知らない男が俺を殴りつける。
ガラスがはじける音。
誰もいない路地裏のカビ臭い空気と血のにおいが頭の中を駆け巡る。
レンガに苔が生えている、ひび割れたレンガ、男のセンスのない洋服
殴り飛ばされた瞬間の出来事が一枚一枚自分の眼によってとらえられていく。
俺は手錠をつけられてその先には一匹の子犬がおびえている。
上のほうで太った四、五十歳の女が洗濯物を干そうとしたが、俺と目が合って窓から見えなくなった。
警察は来ない。ここはそんな町。狂気に満ちている。
癖のある葉巻のにおい。
スーツを着ていっちょまえにかっこつけてはいるが、どうも貫禄がない。
そいつ。
刑務所で俺と同じ部屋。花束。愛していた彼女。
そいつは俺と同じ刑務所の同じ部屋で過ごしたやつだ。
名前はなんだったか、なんとかスキー、ロシアかどこかの名前だろう。
ブコウスキーでないのは確かだ。
花束。俺はそれをどうした?
そう刑務所をでて、なつかしい街の通りを歩いていた。
外の空気も、中の空気も俺には大して違いは分からない。
ただこれが自由と呼べるか分からんが俺は少しの間自由というものを感じていた。
だがそれもすぐ終わる事は分かりきっていた。
生きるという事は働くという事。労働。人間に与えられた破滅的運命。
綺麗な花が見えて俺はそいつを買う事にした。ピンクと薄紫、青色もあったか、
一通り包んでもらい、コインを払って俺には場違いな花屋をあとにした。
そして懐かしの我が家が見える。
呼鈴を鳴らし、でてきた彼女に花束を渡す。
そこから俺はどうした?
彼女は俺に、俺のために、何年も刑務所暮らしをしていた俺のためにごちそうを用意してくれているはずだ。
いや待て。それは真実か?分からない。
次の場面では、くそ、またあいつが殴りやがった。
なんとかスキーは無表情のまま葉巻をくわえ通りを歩いていた猫に挨拶をした。
殴られるたびに骨がきしみ、それは一つのリズムに変わる。
俺は殴られるよりもやつの服装が気に入らない。
そう次の場面。俺は彼女に口づけをかわす。それは真実だ。まだ唇に感覚が残っている。彼女の髪はブロンドに輝いて、それが少しくすぐったかった。
くそっ、そこから何が起きた。
少年時代の野球の記憶、何の関係がある。それよりも今の状態は何なんだ。
そうだ、昔の仲間、俺を売ったあいつも含めて、そいつらのたまり場のバーに出向いた。ピストルはちゃんと胸ポケットの中にしまいいつだって打てる状態だ。
愛する彼女と俺は旅をする。警察なんかくそくらえ。愛する彼女と。
彼女は俺にごちそうを作ってくれたか?
そんな事はどうでもいい。彼女がいればなんだっていい。今夜、すべての片を付けてこの町からおさらばする予定だ。
バーに入った。仲間達は俺を強く抱きしめて歓迎してくれた。
俺にはどうだって良かった。いや少しは嬉しくもあったさ。俺の本当の仲間も中には数人いたんだから。でも奴は葉巻を吹かしていた。偉そうな態度。
俺にしゃべりかけてきたがそんなのはどうだっていい。
俺は拳銃を引き抜きそいつに向かって3発の銃弾を撃ち込んだ。
神よ、俺は人を殺す運命だったのか。
そして俺はすぐさま車に飛び乗りその場を後にした。車?
俺はどこでそいつを手に入れた?あいつだ。
なんとかスキー。
刑務所を俺より早くでた、奴にだけにはこの事を話していた。
それで今は、また男が一発腹部を殴りつける。
無表情の男。とっくに猫はいなくなっている。自由。そこにはあるはずだ。
車で家に着く。俺たち二人は遠く青い海を目指した。小麦色の草原を目指した。
その前にやる事がある。あいつに車の礼をしなくちゃならなかった。
あいつはここいらでも一目置かれている奴だ。筋を通したほうがいい。
奴のアジトに俺と彼女で礼を言った。その時何が起きた?
思い出せ。俺は日本人で彼女はアメリカ人、あいつはロシア人だ。
それが何の関係がある。
とにかく事が起きた。奴は俺の彼女を撃ち抜いた。拳銃でだ。愛とはたった一発の拳銃で撃ち抜かれる。でもそれで決して終わりではない。感情は精神は思考は存在する。
それよりもなぜ、彼女が撃たれて、俺は今ここにいる。
俺はまた殴られる。リズムが俺の体を動かす。
鎖は左手だけに繋がれていて、今もう一方につながれている犬にも俺のリズムは伝わっているだろう。犬が吠える。男は俺を殴る。
葉巻のにおいが俺の頭をかじりつく。
足首のナイフ。俺しか知らない秘密。
俺はそれを手に取り男を斬りつける。
そしてロシア人。あいつは無表情のまま斬りつけられ、俺は逃げ出した。
また再びしばらく自由を感じる事ができる。
ああ、神よ、俺はどうやら人殺しの運命らしい。
愛する彼女よ、お前は空気を漂い、精神は俺の血流にのって俺の脳の中にたどり着く。
よく寝ていたな。
知らない男が俺を殴りつける。
ガラスがはじける音。
誰もいない路地裏のカビ臭い空気と血のにおいが頭の中を駆け巡る。
レンガに苔が生えている、ひび割れたレンガ、男のセンスのない洋服
殴り飛ばされた瞬間の出来事が一枚一枚自分の眼によってとらえられていく。
俺は手錠をつけられてその先には一匹の子犬がおびえている。
上のほうで太った四、五十歳の女が洗濯物を干そうとしたが、俺と目が合って窓から見えなくなった。
警察は来ない。ここはそんな町。狂気に満ちている。
癖のある葉巻のにおい。
スーツを着ていっちょまえにかっこつけてはいるが、どうも貫禄がない。
そいつ。
刑務所で俺と同じ部屋。花束。愛していた彼女。
そいつは俺と同じ刑務所の同じ部屋で過ごしたやつだ。
名前はなんだったか、なんとかスキー、ロシアかどこかの名前だろう。
ブコウスキーでないのは確かだ。
花束。俺はそれをどうした?
そう刑務所をでて、なつかしい街の通りを歩いていた。
外の空気も、中の空気も俺には大して違いは分からない。
ただこれが自由と呼べるか分からんが俺は少しの間自由というものを感じていた。
だがそれもすぐ終わる事は分かりきっていた。
生きるという事は働くという事。労働。人間に与えられた破滅的運命。
綺麗な花が見えて俺はそいつを買う事にした。ピンクと薄紫、青色もあったか、
一通り包んでもらい、コインを払って俺には場違いな花屋をあとにした。
そして懐かしの我が家が見える。
呼鈴を鳴らし、でてきた彼女に花束を渡す。
そこから俺はどうした?
彼女は俺に、俺のために、何年も刑務所暮らしをしていた俺のためにごちそうを用意してくれているはずだ。
いや待て。それは真実か?分からない。
次の場面では、くそ、またあいつが殴りやがった。
なんとかスキーは無表情のまま葉巻をくわえ通りを歩いていた猫に挨拶をした。
殴られるたびに骨がきしみ、それは一つのリズムに変わる。
俺は殴られるよりもやつの服装が気に入らない。
そう次の場面。俺は彼女に口づけをかわす。それは真実だ。まだ唇に感覚が残っている。彼女の髪はブロンドに輝いて、それが少しくすぐったかった。
くそっ、そこから何が起きた。
少年時代の野球の記憶、何の関係がある。それよりも今の状態は何なんだ。
そうだ、昔の仲間、俺を売ったあいつも含めて、そいつらのたまり場のバーに出向いた。ピストルはちゃんと胸ポケットの中にしまいいつだって打てる状態だ。
愛する彼女と俺は旅をする。警察なんかくそくらえ。愛する彼女と。
彼女は俺にごちそうを作ってくれたか?
そんな事はどうでもいい。彼女がいればなんだっていい。今夜、すべての片を付けてこの町からおさらばする予定だ。
バーに入った。仲間達は俺を強く抱きしめて歓迎してくれた。
俺にはどうだって良かった。いや少しは嬉しくもあったさ。俺の本当の仲間も中には数人いたんだから。でも奴は葉巻を吹かしていた。偉そうな態度。
俺にしゃべりかけてきたがそんなのはどうだっていい。
俺は拳銃を引き抜きそいつに向かって3発の銃弾を撃ち込んだ。
神よ、俺は人を殺す運命だったのか。
そして俺はすぐさま車に飛び乗りその場を後にした。車?
俺はどこでそいつを手に入れた?あいつだ。
なんとかスキー。
刑務所を俺より早くでた、奴にだけにはこの事を話していた。
それで今は、また男が一発腹部を殴りつける。
無表情の男。とっくに猫はいなくなっている。自由。そこにはあるはずだ。
車で家に着く。俺たち二人は遠く青い海を目指した。小麦色の草原を目指した。
その前にやる事がある。あいつに車の礼をしなくちゃならなかった。
あいつはここいらでも一目置かれている奴だ。筋を通したほうがいい。
奴のアジトに俺と彼女で礼を言った。その時何が起きた?
思い出せ。俺は日本人で彼女はアメリカ人、あいつはロシア人だ。
それが何の関係がある。
とにかく事が起きた。奴は俺の彼女を撃ち抜いた。拳銃でだ。愛とはたった一発の拳銃で撃ち抜かれる。でもそれで決して終わりではない。感情は精神は思考は存在する。
それよりもなぜ、彼女が撃たれて、俺は今ここにいる。
俺はまた殴られる。リズムが俺の体を動かす。
鎖は左手だけに繋がれていて、今もう一方につながれている犬にも俺のリズムは伝わっているだろう。犬が吠える。男は俺を殴る。
葉巻のにおいが俺の頭をかじりつく。
足首のナイフ。俺しか知らない秘密。
俺はそれを手に取り男を斬りつける。
そしてロシア人。あいつは無表情のまま斬りつけられ、俺は逃げ出した。
また再びしばらく自由を感じる事ができる。
ああ、神よ、俺はどうやら人殺しの運命らしい。
愛する彼女よ、お前は空気を漂い、精神は俺の血流にのって俺の脳の中にたどり着く。