天智天皇（てんじ てんのう）は、日本の第38代天皇で、大化の改新を推進し、日本の古代国家形成に大きな影響を与えた人物です。彼の本名は「中大兄皇子（なかのおおえのみこ）」で、父は第34代天皇の舒明天皇、母は第35代および第37代天皇である皇極天皇（斉明天皇）です。
出身と家族背景
天智天皇は、天皇家の正統な血統を受け継ぐ皇子として生まれました。彼の母、皇極天皇（斉明天皇）は、蘇我氏の血を引いており、天皇家と有力豪族との結びつきを象徴する存在です。天智天皇は、幼少期から政治的な才能を示し、特に母である皇極天皇の治世中に重要な役割を果たしました。
大化の改新と中大兄皇子
天智天皇として即位する前、彼は中大兄皇子として知られており、645年に起こった「乙巳の変」で蘇我入鹿を倒し、蘇我氏の専横を終わらせました。この事件は、大化の改新と呼ばれる一連の改革の出発点となり、彼は中臣鎌足（後の藤原鎌足）と共に中央集権国家の基礎を築くための改革を推進しました。
大化の改新では、土地制度や税制の改革が行われ、天皇を中心とした律令体制が整えられました。この改革により、地方豪族の力が抑えられ、中央政府の権力が強化されました。
天智天皇としての治世（668年～671年）
天智天皇は668年に即位し、日本の初めての本格的な律令国家を形成するための統治を行いました。彼の治世では、近江大津宮（現在の滋賀県大津市）に遷都し、新しい政治体制の整備が進められました。また、670年には日本初の全国的な戸籍「庚午年籍（こうごねんじゃく）」が作成され、人口や土地の管理が強化されました。
さらに、彼は唐や新羅といった外国との外交にも積極的に関与し、特に唐との関係を重視しました。この時期、日本は朝鮮半島の情勢に深く関わり、特に百済復興を支援しましたが、白村江の戦い（663年）で唐・新羅連合軍に敗北し、その後の外交方針に大きな影響を与えました。
晩年と後継問題
天智天皇の晩年には、後継者問題が生じました。彼は息子の大友皇子（おおとものみこ）を後継者としましたが、彼の死後、弟の大海人皇子（後の天武天皇）が皇位継承を巡る争い（壬申の乱）で大友皇子を破り、天皇となりました。
天智天皇の意義
天智天皇は、大化の改新を推進し、日本の律令国家の基盤を築いた重要な天皇です。彼の治世は、日本の古代国家形成における転換点であり、その改革は後の日本の政治体制に深い影響を与えました。また、彼の治世で導入された制度や法令は、日本の歴史において長く続くものとなりました。
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