青紫の落書き 人、物、事との出会いから学ぶ

自分スタイルを磨く『気づき』を綴る

『松林図屏風』を読んで

2017-10-07 22:22:58 | 日記
今年は秋の進み具合が早く感じます。
通勤途中に通る井の頭公園の木々、芝生広場の草を見ると緑の力の衰えが感じられます。
夜の芝生広場はコオロギの大合唱、思わずベンチに腰を下ろして虫の音に聞き入ることも度々です。
空の雲も鰯雲に変わり、遠くには多摩や秩父の山が見えるようになって来ました。
仕事では忙しい時間を過ごしている一方で、暦の移りやその時々の時間の流れを感じるのもいろいろな気づきになるものです。

秋といえば、稔りの秋、食欲の秋、芸術の秋、スポーツの秋など様々なテーマで話題になりますが、近年の私は読書の秋として時間を過ごすことが増えています。
今年は4月に担当部門が変わり、新しい領域の仕事に取り組んでいますが、この歳になっても新しいことにチャレンジするとなるといろいろな準備、下調べ、仮説作りなどにエネルギーが必要ですので、落ち着いた時間が持てないでいました。
年度当初の予定では茶道の稽古を始めるつもりでしたが、未熟な私には忙しい時間が平らな気持ちを邪魔することが続き、未だに教室の門を叩けずにいて、このままではいけない、と思い、何か心を落ち着けることはないか考え、写経や寺社巡りできっかけを見つけようとして来ました。
そして出会ったのがこの本です。


上野の国立博物館で松林図屏風を観た時に吸い込まれる感覚になり、この絵を描いた長谷川等伯を知りたいと思っていました。

この本にはたくさんのプロの方が書評を出されており、それらを読んで読後の整理をすることもできます。国宝 松林図屏風を鑑賞したら、次はこの本を読むことをお勧めします。

私が素晴らしいと感じたのは最後の10ページ。
息子が父を語る手紙で物語が締め括られていますが、ストーリーの組み立て方、息子に語らせる父の想い、齢七十の老翁が絵を描く中で保ち続けた芯を感じ取りました。
国立博物館で吸い込まれる感覚とこの最後の10ページは私にとって大切な経験になりました。

萩 耿介さんの思索にもっと触れたいと思いますので、この次は『花楽土』を読んでみたいと思います。
ボルネオ

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