歌とダンスの高校生チーム「GEIBUN」

鹿児島城西高校生の歌とダンスの芸能チーム
南九州のイベントに多数出演
TVやラジオにも出演

第10回芸術文化コース公演脚本

2009-03-09 23:00:27 | Weblog
第10回芸術文化コース公演が開催されました。
期日 平成21年2月14日(土) 午後3時から
場所 伊集院文化会館
内容 演劇 ダンス 日本舞踊 エアロビクス 合唱 歌謡
主催 鹿児島城西高等学校
[脚本]
「約束」 原作・脚本 KF

序章 ニッチーが出て挨拶
「みなさん、こんにちは、ニッチーです。この公演も10回目を迎えました。今年は、芸術文化コース10期生の卒業です。芸術文化コース卒業生の何人かが芸能分野で活躍をしていますが、これも、みなさんの応援があったからだと感謝しています。
これからも、この公演出演者から、芸能分野で活躍する人が一人でも多くでるようがんばりたいと思います。みなさん、応援よろしくお願いします。
では、第10回芸術文化コース公演をお楽しみください。」
「第10回芸術文化コース公演 演劇タイトル『約束』」

第1章 
2月14日(土) 東京 慎一の自宅 午前6時 (舞台下手)
慎一が玄関で出かける様子。(花道下手から出てくる。)
慎一 「行ってきます。今夜10時には帰ってくるから。」
奥から母の声「行ってらっしゃい。花束持った?」(影)
慎一 「ちゃんと持ったよ。」
母 「外は大雪よ。気をつけてね。舞ちゃんにがんばってねって伝えてね。」(影)
慎一 「はい、・・・じゃーね。」
慎一は、花道から舞台へ 慎一は携帯を出して見る。(慎一の声はすべて録音済みの声を流す。)
慎一の声 「鹿児島の舞さんから、メールが届いた。あの公演が今日、伊集院文化会館である。
舞さんが出演する。そう、あれは、5年前の・たぶん・・約束。
5年前、僕たち家族は鹿児島にいた。
5歳上の姉さんは高校生で、僕はまだ小学生だった。
舞さんは、僕より1つ年上で、近所に住み、姉さんや僕、舞さんは兄弟のように子供のころからいつも一緒だった。
姉さんは、ダンスが好きで、芸能関係の専門教科を勉強できる高校に進学した。
あの日、あんなことがなければ、・・姉さんは公演でダンスを踊っているはず・・だった。・・・」
演技(日本舞踊)

第2章
2月14日(土)午前7時 鹿児島市バス停 (舞台上手)
舞と由美子が舞台上手花道から歩いてくる。
由美子 「おはよ~。てか、チョー寒いし。バスまだ来ないねぇ。あれ?舞、心配事でもあるの?元気ないじゃん。」
舞 「うん、ちょっとね。」(うつむきながら)
由美子 「なになに?」(興味ありそうに)
舞 「今日、公演見に来るって。」
由美子 「だれが?舞の好きな人?」(冗談ぽく)
舞 「違うよ。前、話したじゃない。慎ちゃんのこと。」(ちょっと怒った漢字で)
由美子 「あ~。東京の子でしょ。・・・・って、今日来るの?ちょっとまじ、楽しみなんだけど。会ってみたかったんだよねぇ。舞の思い人。まじ、かっこよかったらどうしよう。ねぇ。」
舞 「そんなんじゃないよ。兄弟みたいな存在なんだ。」
由美子 「いいって、そんな言い訳。」
舞 「だから、そんなんじゃないの。小さいころ、近所に住んでてね、よく遊んだの。慎ちゃんのお姉さんも一緒に。」
由美子 「慎ちゃんのお姉さん?」
舞 「そう、私より4つ上。ダンスがとっても上手で。憧れの人だったんだぁ。」
由美子 「へ~、そうなんだ。じゃあ、慎ちゃんのお姉さんも一緒に来るの?」
舞 「ううん、5年前、・・・・なくなったの。」
由美子 「なくなった?」
舞 「慎ちゃんのお姉さんは、私たちの高校の先輩だったんだよ。でも5年前、なくなったの。」
由美子 「えーーーーそんな話はじめて聞いた。」
舞 「慎ちゃんそのとき小学生だったの。慎ちゃんのお姉さんは、わたしにも、慎ちゃんにも憧れの人だったの。だって、すごく、ダンス上手で、ダンサーを目指してて、とにかくかっこよかった。」
由美子 「ふーん。じゃ舞は、ダンス習ってたんだ。」
舞 「ううん、わたしは、ダンスなんて習ったことなかったの。でも、お姉さんなくなって慎ちゃんが落ち込んでて・・・・。だから、慎ちゃんと約束したの。私が、慎ちゃんのお姉さんの代わりに、絶対ダンス踊るからって。そのとき必ず見に来てねって。・・・・・そうしないと、慎ちゃんは、なんか自分を追い込んでいきそうに思えて。」
由美子 「そうなんだ。でも,なんで慎ちゃんが自分をおいこむんだろう。」
舞 「ううん・・・・そこは分からないの。でも,とにかく、お姉さんの代わりにダンスを踊る約束をしたの。」
由美子 「で,慎ちゃんとの約束で、舞はこの高校に入学したの?」
舞 「もちろん,それだけじゃないよ。でも,今思うと,それが一番の理由かも知れない。・・・・その後しばらくして、慎ちゃんのお父さんが仕事で転勤になって、慎ちゃんは東京に行っちゃった。」
由美子 「去年の公演は慎ちゃん来てないよね!」
舞 「うん。そのときまだ、中学生でしょ。で、慎ちゃんのお父さんがだめって言ったの。たぶん、お父さんとしては、お姉さんのことを思い出させたくなかったんじゃないかな。」
由美子 「ふーん・・・残された家族はやっぱり辛いもんね。」
舞 「うん。私もそのときはホントどうしていいかわかんなかったもん。」
由美子 「あっ、バス!!やっときたぁ。」
演技 

第3章
2月14日(土)羽田空港 午前8時 (舞台下手)
慎一ベンチに座っている。
慎一の声 「5年ぶりの鹿児島。
舞さんから公演の案内が来て、今年こそは鹿児島へ行くことを許してもらった。
鹿児島への費用はバイトでためた。どうしても自分のお金で鹿児島に帰りたかった。そうしないと姉さんの死の苦しみから抜け出せないと感じたからだ。
それは、僕のせいで姉さんが亡くなったからだ。

姉さんがなくなったとき、僕は、泣いた。
舞さんも泣きながら、「私が代わりに公演に出るから」って、言った。
それが、約束になったかはわからないけど、僕には大切な約束に思えた。

そのときから、僕は、舞さんが公演で躍っている姿を見ることで、心の苦しみから解放されるのだと思え、強くそう感じるようになってしまった。」

2月14日(土) 伊集院文化会館楽屋 午前9時 (舞台上手)
楽屋で舞が衣装を着て公演の出演準備をしている。そして、メール打っている。
そこへ、由美子がやってくる。
由美子 「舞!準備できた?リハーサル始まるよ。」
舞 「うん」
由美子 「ADの浜島さんが挨拶に回ってるよ。・・あっ、浜島さん!」浜島が入ってくる。
浜島 「あの!皆さん、今日はよろしくお願いします。午前中リハで、午後3時から本番ですので・・・・」
舞 「わかりました。」
浜島 「では、これで・・・・」浜島は忙しそうに出て行く。
由美子 「あは!浜島さん、ADなんでみんなに気をつかってる。」
舞 「浜島さんよくやってるって思うよ。昨日のリハも順調だったし。」
由美子 「あれ?メール?慎ちゃんに?」
舞 「うん、東京、大雪だって。今羽田らしいけど、雪で東京出発が遅れそうなんだって。」
由美子 「鹿児島晴れてるのにね。東京ってやっぱり遠いんだ。」
舞 「そうだね、でも慎ちゃんに、この公演をどうしても見てほしいの。」
由美子 「どうして?」
舞 「ここに入学したきっかけは、慎ちゃんとの約束だったけど、ここで、芸能関係の勉強をしているうちに、将来の夢をもてたの。私が夢をもてたのは、慎ちゃんとの約束のおかげだと思うの。」
由美子 「約束のおかげなのかぁ、特に舞は、ミュージカルのオーディションに受かったり、雑誌に写真がでたりしたからね。」
舞 「うん、本当にここに入学してよかった。」
由美子 「私も、ここに来て夢を持てた。だから、舞に負けないようがんばる。」
舞 「うん、わたしも、もっとがんばる。・・・さ!リハ行こうか。」
由美子 「そうそう、しっかりリハして慎ちゃんに良いところ見せなくっちゃね。」
演技

第4章
2月14日(土) 羽田 午前10時 (舞台下手)
慎一はロビーの椅子に座っている。アナウンスが聞こえる。
アナウンス「運行を見合わせていました9時35分発鹿児島行きは、降雪悪天候のため欠航となりました。航空券払い戻しは最寄りの空港カウンターまでお越しください。鹿児島までお急ぎのお客様は、12時25分鹿児島行きに空席がございますので、ANAカウンターまでお越しください。」
慎一立ち上がり呆然とする。
慎一の声 「欠航?僕はこのとき・・自分の時間が・・止まった!・・・・・
今の今まで飛行機が欠航になることがあることを考えてもいなかった。遅れても公演の時間までには、鹿児島にいけると信じていた。
12時25分の空席があるといっていた。・・・12時25分じゃ・・・・鹿児島空港に14時25分に着く。空港から伊集院までいったいどれぐらいかかるだろう。・・・間に合わない・・・・・・・公演は3時だ・・・」慎一はその場に座り込む
慎一の声 「姉さんのことで、生きることさえ苦しい日々が続いた。舞さんが出演する公演をみたらこの苦しみから、解放されるのではないかと思い続け、・・・・・この日が来るのを5年もまった。・・・僕には・・・この5年間が永遠とも思えるくらい長かった。・・・・」

2月14日(土)伊集院文化会館楽屋 午前11時 (舞台上手)
舞と由美子が入ってくる。
舞はすぐ携帯を取りメールを確認する。
由美子 「舞 リハ休憩があるとすぐメール?」
舞 「慎ちゃん、飛行機欠航で公演に遅れるかもって。」
由美子 「雪で?」
舞 「うん 雪で」二人しばらく無言
由美子 「遅れるっていっても公演中には間に合うよ。」
舞 「うん」
由美子 「間にあわなくっても、明日ゆっくり話しすればいいじゃん。」
舞 「慎ちゃん日帰りなの」
由美子 「日帰りって?今日のうちに東京に帰るってこと?」
舞 「そう 公演見に来るだけに東京から来るの。19時15分の飛行機で東京に帰る。」
由美子 「19時15分って 公演終わる前にここを出なくちゃ間に合わないじゃない。」
舞 「そう 公演終わる前に東京に帰るの。」
由美子 「公演始まってからついたんじゃ、話できないじゃない。」
舞 「公演前に話しできると思ってた。5年ぶりにあえると思ってたのに。」
由美子 「公演中に楽屋に来てもらおうよ。」
舞 「楽屋は、公演中は部外者立ち入り禁止だよ。」
由美子 「私がADの浜島さんにお願いしてみる。任せて、ねっ!」
そういって由美子は楽屋を出て行く。
演技

第5章
2月14日(土)羽田 午後0時 (舞台下手)
慎一が空港の椅子に座っている。
慎一の声 「12時25分の鹿児島行きは空席があって取れた。あれから飛行機は出発が遅れがちであったけれど、飛んでいる。この便が欠航にならないよう。僕は祈った。」
慎一はポケットから携帯を取り出し、メールを見た。
慎一の声 「舞さんからの、公演案内のメールにダンサーYUSさんのことが書いてあるのを思い出した。YUSさんは、姉さんがいつも僕と舞さんに話してくれたダンサーだ。
姉さんの高校の先輩で、プロダンサーとして東京で活躍している。そして、姉さんが中学のときにすでにYUSさんはプロ活動をしていた。
YUSさんにあこがれて、姉さんは、ダンサーになる夢を持った。そして、YUSさんが卒業した高校に進学した。
そのYUSさんが卒業して10年、今年は、公演に後輩と一緒に出演する。
僕は、姉さんがあこがれたダンサーを見たかった。YUSさんのダンスを見ることで、姉さんが、ダンサーになる夢をもった理由がわかるのではないかと思えた。・・・でも・・・・・YUSさんのダンスに間に合わないかも・・しれない。」

2月14日(土)伊集院文化会館楽屋 午後1時 (舞台上手)
舞がバックの中からリボンのついた箱を取り出して見ている。由美子が入ってくると箱をバックの中に隠す。
由美子 「ん?何?今なんか隠したでしょ。」
舞 「え?何でもないよ。」
由美子 「ちょっとぉ、見せなさいよ。」そういってバックを広げる。舞は隠すが箱を由美子に見つかる。
由美子 「あれ?バレンタインチョコ?へぇ~カードに慎ちゃんって書いてあるし!」
舞 「今日!バレンタインデーだから、慎ちゃんに義理チョコあげようと・・・」
由美子 「義理チョコ?ふぅ~ん義理ねぇ・・・結構いい感じじゃん。義理なんだぁ。」
舞 「慎ちゃん 弟みたいだし ・・・しばらく会ってないから・・・」
由美子 「しばらく会ってない人にチョコレートって・・・へぇ~そうなんだぁ・・」
舞 「ほんとにそんなんじゃないから・・・わざわざ 東京からくるんだし、お土産ないとって・・・」
由美子 「ごまかしても・だ・め。・・・箱に好きです慎ちゃんって感じみえみえ。」
舞 「本当に そんなんじゃないって!ほら!これYUSさんへのチョコだし・・・これは・・・お父さんへの・・」
由美子 「いいって~・・素直になりなよねぇ。」

第6章
2月14日(土)鹿児島空港 午後2時40分 (舞台下手)
慎一がベンチに座っている。
慎一の声 「バスは後15分したら出発する。僕には、15分が長い・・・」
慎一は携帯を取り出し、メールを打つ。
慎一の声 「公演が始まる。舞さんが出ている公演・・・最初から見たかった。きっと舞さんも姉さんみたいに公演まえには、一生懸命練習しただろう。
5年前、公演の練習を一生懸命している姉さんに、なぜそんなに一生懸命練習するのか聞いたことがあった。
姉さんは言った。『同じ目標を持った仲間が、同じ目的で一緒にがんばれるって楽しいんだよ。』って。小学生の僕にはそのとき意味がわからなかった。
あのときの姉さんと同じ年になった今、その意味が知りたい。・・・・・・だから、・・・・公演を最初から見たかった。」

2月14日(土)伊集院文化会館楽屋 午後2時40分 (舞台上手)
数人が楽屋に集まっている。
リーダーのゆかりがみんなに話す。
ゆかり 「もうすぐ幕があがります。1年も・2年も・3年も一緒に協力して練習した成果を出せるようがんばりましょう。」
みんな 「ハイ」
ゆかり 「ADの浜島さん、よろしくお願いします。」ゆかりは浜島に頭を下げる。
浜島 「わかりました。こちらこそよろしくお願いします。」
そこへ何人かが花束もってやってくる。
ミスナッキーツルーが花束を持って登場。
ナッキー 「みなさん 公演おめでと です。わたし応援しますです。がんばるです。」
みんな「誰?」って顔をする。それに気づいたゆかりが話す。
ゆかり 「あ!バイト先のアミューズメントパークの支配人、ナッキーさんです。ナッキーさんは、南米人です。」
ナッキー 「自己紹介おくれたです。ゆかりのバイト先の支配人ナッキーツルーいいますです。わたし日本語うまくないけどです。わたしが言いたいのは、みんな仲間ね!がんばるです!」ゆかりに花束渡す。
みんな 「はい ありがとうございます。」何人かは笑っている。
ゆかりの妹が割ってはいる。
妹 「ゆかりねえちゃん。人形持ってきたよ。」
ゆかり 「あ!ありがとう。」ゆかり恥ずかしそうに受け取る。
由美子 「ゆかり先輩!人形どうするんですか?」
ゆかり 「あ!これ?公演中 楽屋においておくと安心なの。変でしょ?」
由美子 「お守りって感じですか?」
ゆかり 「そういうことかな」
ナッキー 「ん?どこか雨漏りしてますか?」
ゆかり 「雨漏りじゃなくって、お守りです。」
ナッキー 「雨漏り?」
ゆかり 「お守り!」
ナッキー 「青森?・・日本語難しいです。」
みんな和やかに笑う。
演技

第7章
2月14日(土)伊集院 午後4時 (ここは映像で流す)
伊集院駅から慎一が出てくる。
駅で道を尋ねる。そして、走る。
慎一の声 「僕は走った。伊集院文化会館に向かって走った。すぐそこにあるはずの伊集院文化会館が・・・遠く・・・遠く・・・感じた。
僕の心臓は、張り裂けんばかりに鼓動した。・・・そのとき、僕は思った。心臓が張り裂けてもいい。1分でも1秒でも早く・・・つきたい。そして、5年間の苦しみに終止符をうちたい。

5年前、公演まであと1週間となったあの日、姉さんは僕の誕生日プレゼントを買いに街に出かけた。・・・・・僕が・・・風邪を悪化させて寝込んでいたので、姉さんは、僕を元気付けるために、以前から僕がほしがっていたゲームを街まで買いに行った。・・・・・・僕があのときゲームをほしいとわがままさえ言わなければ・・・・
・あの日・・・姉さんは、交通事故にあわなかった。・・・買い物を済ませ、駅から家に帰る交差点で・・・車に・・・・・・・・

あの日から、自分のせいで姉さんを死なせたのだという苦しみが、僕に重くのしかかり、大きな心の傷として今でも残り続けている。・・・みんなは僕のせいではないというが、・・・だめだ・・・

ついた。ここだ!5年間待った・・・公演が・・もうすぐ見られる。 舞さん・・・僕は・・・僕は・・・今・・・東京から・・・ここに・・・つきました。」

2月14日(土)伊集院文化会館 午後4時20分 (舞台上手)
慎一が楽屋前に駆け込む。
係りの者 「すみません。関係者以外は、公演が終わるまで、入れません。」
慎一 「墨田 墨田 舞 さんに会いたんです。」
係りの者 「公演が終わるまでお待ちください。」
慎一 「・・・・・じゃあ  これを 舞さんに渡してください。慎一が来たと・・・伝えてください。」そういって 小さな花束を差し出す。
係りの者 「はい わかりました。」
慎一が立ち去ろうとすると、後ろから声がした。
浜島 「あの 慎一さん 慎一さん ですね。」慎一振り返る。
慎一 「はい。」
浜島 「よかった、ついたんですね。舞さんに話は聞いています。舞さんはもうすぐ出番です。客席で見ていてください、出番がすんだら少しだけ時間があります。すぐ楽屋に案内します。」
慎一 「え!はい!ありがとうございます。」
演技

第8章
2月14日(土)伊集院文化会館楽屋 午後5時 (舞台中央)
舞と由美子が椅子に座って楽屋にいる。浜島が慎一を連れて楽屋に入る。
舞と由美子は、慎一を見ると立ち上がる。
舞 「慎ちゃん? 慎ちゃん・・背が伸びた・・・東京から・・来てくれてありがとう。」
慎一 「・・・舞さん・・・・・遅れて・・・遅れてごめん これ!花束・・・・・・・・・・しおれちゃった。・・・ごめん」
舞 「ううん・・・これから私のダンス・・・見てくれる。」
慎一 「うん・・・ありがとう・・・姉さんもきっと喜んでる・・・」
二人はそれっきり黙ってしまう。
慎一の声 「舞さんにあったら・・・いっぱい、いっぱい話すことがあった。・・・・でも、実際に舞さんにあったら・・・声が思うように出なかった。・・・何を話していいかも全て忘れた。・・・・・・それでも・・・それでもいいと思った。
舞さんの演技を見た後の今、姉さんが自分の夢に近づくために、公演の練習に励んでいたことがわかった気がした。
僕の心に涙があふれた・・・でも僕は必死で、・・・泣くまいと思った。」
暗転 ダンス

第9章
2月14日(土)伊集院文化会館楽屋 午後5時30分 (舞台上手)
舞と由美子が楽屋に走ってくる。
舞、メールすぐ見る。
由美子 「慎ちゃんからのメール?楽屋に来ないの?慎ちゃん。」
舞メールを読み由美子に言う。
舞 「慎ちゃん、帰った。飛行機の時間あるから、最初からその予定だったの。」
由美子 「うん・・・まぁ、そうだけど。」
舞 「ダンス よかったって。来年も見に来るって、約束だって・・・・・・」
由美子 「・・・・よかったね。慎ちゃん、ダンス見れて。で、チョコ・・・渡せたの?」
舞 「ううん・・・・いいの。来年、渡せば。」
由美子 「そうだね。慎ちゃんにちゃんとあって渡したほうがいいもんね。」
舞 「うん。きっと来年は会えるから。その時はきっと、今よりダンスもうまくなってるから。」

2月14日(土)伊集院 午後5時40分 (舞台下手)
慎一空を眺めている。
慎一の声 「舞さん 僕は、やっとわかりました。姉さんが、大きな夢を持って、公演に臨んでいたことを・
そして・・僕は、僕の夢をしっかりともってこれから生きることが、姉さんに対する償いだと思えました。
来年もきっと来ます。今度は、舞さんが夢をかなえる目標にすすんでいる姿を見るために、・・・約束です。」
暗転 ダンスのフィナーレ(鼓動)

第10章
2月14日(土)東京 午後9時時30分 (舞台中央)
慎一ポケットから携帯出す。携帯を打ってからポケットにしまう。
慎一の声 「舞さん 無事東京につきました。僕も舞さんみたいに夢を見つけて、がんばります。・・・そして、姉さん・・・これから僕は、姉さん以上の夢を見つけて前に進んで行きます。
見守っていてください。」
慎一空を見上げる。雪が降っている。
(中央の階段を上り、空を見上げる。雪が降っている。)
駿の歌「白い雪」(舞台上手)

フィナーレ 出演者紹介
「本日は、公演を見に来ていただきありがとうございました。この公演は、1期生の卒業時点から始まり、今年で10年がたちました。卒業生だけでなく在校生も、自分たちの大きな夢に向かって歩み続けています。『あきらめなければ夢はかなう』ことを信じてこれからもいっそう努力していきます。引き続きみなさまの応援よろしくお願いいたします。芸術文化コース一同」