モンテディオと銭湯とお酒とわたし

旧「阪神と銭湯とお酒とわたし」はhttp://hanshinosake.blog24.fc2.com/へ移行。

amazonの「KAGEROU」レビューが笑えた件

2010-12-17 21:02:24 | 読書
水嶋ヒロさんの作家デビュー作「KAGEROU」が大きな話題となっています。

第5回ポプラ社小説大賞に選ばれた俳優、水嶋ヒロさん(26)が本名の齋藤智裕の名前で書いたデビュー作『KAGEROU』の単行本が15日、全国一斉に発売された。人気俳優の話題作とあって、大阪市内の各書店では特設コーナーが設けられ、朝から出勤途中のファンらが買い求めた。(産経)

発売当日は一日中「KAGEROU」の話題でもちきり。
メディアでも多数紹介されたこともあるのでしょうけれど、売上も相当なもののようで店舗によっては発売日の夕方に売り切れるところもあった模様。

それを受けて重版も決まったようです。

俳優、水嶋ヒロ(26)の処女小説「KAGEROU」を出版するポプラ社によると、15日の発売日に売り切れ店が続出。書店の注文が殺到し重版を決定した。累計刷部数は68万部で、印税は税別価格1400円の10%前後とみられ、推定約1億円。(サンスポ)

初版43万部ですから、重版は25万部ですか。すげー。
ただ出版業界の端くれの人間として不思議なのが、

①発売直後に重版決定とか言っているけれど、紙の手配とか印刷所とかどうするの?放出されるのって実は初版の手持ち分じゃね?
②ただでさえ取次の新刊口が込んでるこの時期にいきなり25万部ラインに突っ込めるの?取次は対応できるの?

ということ。
①については重版分が配本されたら奥付を見てみようっと。2刷目の本が見当たらなかったら手持ち分の放出だろうし。

驚いたのは誤植があったのか232ページに修正のシールが貼ってあること。
なんでも結末の部分でのかなーり深刻なミスが印刷された後で判明したそうで、ポプラ社の人が泣きながらシールを貼ったとか貼らなかったとか。43万部にシール貼り...気が遠くなる。
昔土田世紀さんの「編集王」に同じシール貼りの場面があったのを思い出してしまいました。



「ヤングシャウト」編集長、シールを貼らずに語っていたら社長に怒られるの図。

またamazonの「KAGEROU」に対するレビューがとんでもないことになっていました。
一言でいえば2ちゃんねる状態。腕利きの職人さんたちが趣向をこらして作品(レビュー)をつくりあげていました。
それが笑えるのなんの。仕事中にちょくちょくリロードしては「新作」を楽しんでいましたよ。
「マウスパッド」だの「銃弾を防ぐのに役立った」だの「つっかえ棒に最適」だのみんなひど過ぎ(笑)
発売日は会社の忘年会だったのですが、行った飲み屋さんのテーブルの足が途中で調子が悪くなってしまいテーブルがグラグラするように。もうね皆で「KAGEROU」で足支えないとなんて言ってましたね。

ちなみにオモシロamazonレビューは今となってはほとんど削除されてしまいました。残念。
こんなことになるんだったら保存しておくんだった。
私がいちばん気に入っていたのはこれ。

おばあちゃんが表紙を見て、日本赤十字の本と勘違いして買ってきてしまいました

これじゃ赤十字じゃなくて青十字じゃない! と私が言うと、「赤でも青でも、人間は何も変わらない。変わらないんだよ」 と優しく諭され、私は泣いてしまいました。

赤とか青とか、水嶋ヒロとか斉藤なんとかとか、私は些細なことに惑わされ、自分を見失っていたのかもしれません。本当に大切なことは、そんなところにはなかったというのに……。

そんなKAGEROUは今、我が家のリビングの壁に飾られ、「フィンランドの国旗に似ているね」「でもスイスかもね」と、一家団欒の話題の中心になっています! 斉藤なんとかさん、本当にありがとうございます!

ところで、中に紙が200枚以上も挟まっているのですが、これはいったい何に使うのでしょうか?

おまいら上手すぎ。これを書いた人の小説が読みたいです。

この「KAGEROU」フィーバー今後いつまで続くのか、どこまで売れるのかが気にかかるところです。
ただポプラ社はこの本の出荷に際し「責任販売制」として正味を下げる代わりに返品に対してデメリット(返品入帳が仕入正味より安くなる)を与えているんですよね。
また初回分の満数出庫を確約することにより店舗の規模の大小にかかわらず部数確保の道筋をつけたわけですが、メディアが取り上げまくった発売初日にどこの書店でもある程度の規模で店頭展開が出来たことは売上げの促進にも効果があったのではと思います。

作品どうこうよりは「出来レース」を思わせる受賞から配本方法まで「ポプラ社うめーなー」というのが印象でしょうか。
ただこの作品でポプラ社は大きな利益を上げるのでしょうけれど、章の選考過程などでその姿勢に疑問を呈する出版業界関係者も多いのもまた事実。
売れる時期を見誤って書店が大量の在庫を抱えたりした時に、ポプラ社が得るものが「売上>ブランドイメージ」にならなきゃいいんですけれどね。

批判するのは簡単ですが、内容を知らずしてするのは卑怯でしょう。
というわけで私も買ってまいりましたよ。



覚悟しる!ヒロ!!
ってこうやって売上に貢献しちゃってるんだろうなぁ。
くそーポプラ社めぇ。

最新の画像もっと見る