秘境バスに乗る

山奥に行くバスに乗るのが趣味の管理人の、記録用ブログ。

岩国市交通局 上迫線

2013-04-30 17:13:33 | 日記
初投稿です。


岩国市バス上迫線は、岩国駅バスターミナル1番乗り場から、毎日朝昼夕3往復運行されています。
ここは和木方面の乗り場となっていますが、上迫線は和木町を通り抜けて、再び岩国市に入るルートで運行されています。
やってきたのは、小型車専用の緑色の塗装をまとったリエッセ。上迫線の本務車だそうで、およそ半分ほど座席を埋めて出発しました。


バスターミナルを出て国道2号線を北上し始めると、すぐに赤白の煙突の群れが見えてきます。
これらはすべて、岩国市を企業城下町とする日本製紙のもの。米軍岩国基地と共に、地域の経済を支える存在です。


工場群を脇に見ながら走っていると、バスが突然狭い脇道に入って行きました。
装束町と呼ばれるこのあたりは山陽本線の向こう側に旧市街地があり、そちらを通るために踏切を超えるようです。
数人の女性が降車していき、どなたも買い物帰りの様子でした。


和木町に入り、真新しい和木駅バスターミナルを抜け、これまた真新しい和木町役場へ。
ここ和木町は大変小さな町ですが、臨海部に新日本石油の製油所と三井化学の工場があるため税収入が潤沢で、平成の大合併の荒波も切り抜けているしたたかな町です。

小瀬川にぶつかり、それに沿って走るとトンネルが見えてきます。
まさか臨海部から10分ほどでトンネルがあるとは思ってもみませんでした。川の急峻さが生み出した景色のようで、なかなかに楽しませてくれます。


トンネルの先あたりまではよかったのですが、再び岩国市に入ったあたりからだんだんと道の様子が怪しくなってきました。


道はそのままの広さで、トンネルより先では唯一小学校や郵便局のある小瀬地区へ。
小瀬には対岸の大竹市木野との間に「両国橋」、つまり周防国と安芸国を結ぶ橋がかかっています。
このあたりは岩国へ行くより大竹へ行くほうが近いため、大竹とのつながりが深いそうで、小瀬小学校のHPにもその旨が書かれています。


御堂原バス停へ向かう途中で山陽自動車道が上空を通過。
両側に山が迫るこのあたりではわずかな平地を利用して川沿いに道路、山沿いに家という形で生活が形成されてきたようですが、山陽道はそんな苦心にも我関せずとばかりに、山の中腹にどーんと道を切り裂いています。


前渕のΩカーブを過ぎ、集落がこっちに見えては消え、あっちに見えては消えを繰り返しながら、平日のみ途中折り返しのある小川津へ。
ここから小瀬川を離れ、支流沿いに上迫へ向かいます。ここから、山口県ご自慢のオレンジガードレールが白のガードレールにとってかわられてしまいました。


ほんの少しで家は見えなくなり、一車線道路と木ばかりの風景に。

とはいっても家のないのはそれほど長く続きません。3分も走れば同名バス停のある亀が迫集落に突入します。
ご多分に漏れず廃屋満タンな集落ですが、わずかな土地に集落をつくり、維持してきた先人たちの苦労には頭が下がる思いがします。

降りる人も乗る人もおらず、10秒もかからず亀が迫を抜けると再び木が視界を覆います。もちろん、ここまで対向車は1台もありません。


そして、周りに家が全くないにも関わらず立派な待合所を従える柏山口バス停。
実は柏山口バス停のそばには長い階段があり、その階段を上った先にこれまでさかのぼってきた川とは隔絶された形で10軒ほどの集落があるのです。山奥ながらまさに、「○○口」だったというわけです。


気を取り直して、今度は樋の口集落とバス停へ。こちらはそれほど柏山口バス停からそれほど離れておらず、開けた場所が連続していることもありなんとなくうらぶれた温泉街のような雰囲気が漂っています。
ここで最後に残っていた中年女性が降りて行きました。
前扉から降りた女性は、ヲタ席に座る私を外からじっと睨んでいました。お世辞にも気分のいいものではありませんでしたが、運転手さんによるとどうもこの女性はここに住む常連らしく、見ない顔が写真をバシバシ撮っているのを警戒したのだろうとのことでした。
さあ、ここまでくると終点の上迫へはあとわずか。ゆるやかな坂を上ります。


1分ほどで次の家が見えてきましたが、これは廃屋。
岩国駅から直線距離にすると5kmも離れていない場所に廃屋があるというのは、人づてでは信じがたい話です。


終点の上迫。 両側に山が迫るどころか、杉がすぐそこまで来ている有様です。


石垣や畑の荒れようには不似合なほど立派で新しい蔵。朽ちるまで頑張ってほしいものです。


現在、毎日3往復のバスが岩国駅まで運行されていますが、上迫集落に住んでいるのは4世帯。昔はもう少し上流の水口までバスが行っていたそうですが、人口が減ってこちらまで縮小されたのだとか。そちらは現在2世帯だそうです。
運転手さんの昔話を聞いていると、ほんの10分しかない折返し時間はすぐに過ぎてしまいました。そそくさとバスに乗って、誰も乗ってこないバスで運転手さんと会話を再び弾ませながら、家路につきました。


岩国駅1650→上迫1740 運賃620円(土日祝のみ一日乗車券500円)
日野リエッセ 山口200あ16

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