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本と音楽とねこと

【旧作】原発列島を行く【再読】

鎌田慧,2001,原発列島を行く,集英社.(1.28.2022)

 本書は、福島第一原発事故を機に増刷され、広く知られるようになったルポルタージュである。
 ウラン採掘から、燃料棒製造、原子炉運転、点検と修理、そして廃棄物処理に至るまで、それらに関わる人々を被爆させ、生命を奪う、あってはならない欠陥施設、それが原発である。
 再生可能エネルギーの活用から電気自動車の開発に至るまで、先進産業国のなかでもっとも立ち遅れているのが、この日本である。
 持続可能な新産業の展開により、人々の生活をよりゆたかで安全なものにするどころか、時代遅れの原発産業に血税を注ぎ込む国家に、原発プラントの輸出に失敗し解体の危機に陥る重電メーカー、そしてそれに異議を唱えぬ国民と、どこまで愚かなのだろうか。

日本の美しい海岸線を不気味に変容させている巨大な建築物の群れ。それが原子力発電所である。過疎地を狙ったように建ち並ぶ原発が、いかにその地の人々に犠牲を強いてきたか。都会の繁栄の陰で、いびつに進行するエネルギー行政の矛盾がここに凝縮されている。日本全国の原発立地点をくまなく歩き続ける著者が、淡々と綴るドキュメント。

目次
中央に翻弄されつづける悲劇の村―青森県六ヶ所村
首都移転とともに進む“処分所研究”―岐阜県東濃地区
遅れてきた無謀に抵抗する漁民の心意気―山口県上関町
活断層新発見に揺れる「諦めの感情」―島根県鹿島町
おこぼれにすがる原発中毒半島の悪習―福井県敦賀市
「金権力発電所」と闘いつづける“悪人たち”―愛媛県伊方町
カネに糸目つけぬ国策会社への抵抗―青森県大間町
ハーブと塩と核のごみ―石川県珠洲市
ロケットの島に蠢く不穏な野望―鹿児島県馬毛島
臨界事故のあとにはじまった軌道修正―茨城県東海村
三○年前からつづく電力の“秘密工作”―鹿児島県川内市
貧すれば鈍す赤字市魔の選択―青森県むつ市・東通村
世界最大の原発地帯に吹くカネの暴風―新潟県柏崎市・刈羽村
矛盾噴き出す原発銀座の未来―福島県双葉町・富岡町
進出を阻止したあとの住民のダメ押し
精神を荒廃させる“植民地”経営
反発強まる地震地帯の原発増設

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