端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

退魔東海伝vol.3-04

2010-12-02 00:00:00 | ワンピース
午前0時、今宵もいい月がでた。
ついこの間、新月だったと思ったが。
もう空にまあるい月が浮かんでいる。
何という色合いか!
赤みを帯びた満月とはこれはまた風流な。
「食事」と「巡回」の時間が近付く。
いや、今日はもう少し月を見ていたい。
月に近付こうと歩みを進める。
夜に冷やされた空気を吸いこーーー。

「夜叉星!!!」
「ごばっ…!!」

退魔東海伝

作戦開始2時間前。
ウソップはウキウキとイヤホンマイクを取り出した。
用意したのは3つ。
ひとつはもちろんゾロに。
残りは当然、自分とサンジだと思っていたのだが。
ひょいっと伸びてきた腕がかっさらう。

「何これ、マイク?ハイテクじゃん」

エースは興味津々といった風で耳にイヤホンを押し込んだ。
もう取り上げることは不可能だろう。

「「……」」

見合ったウソップとサンジ。
距離を一定に保ち、身構える。

「「最初はグー! じゃんけっぽ!!!」」

ウソップはパー。
サンジはチョキ。

「ふゅー! 至高のチョキ!!」
「あああああ…」

燦然と輝くチョキを天高く持ち上げるサンジに対し。
崩れ落ちるウソップ。
その手から、イヤホンマイクを抜き取る。

「ウソップは俺のそばを離れなきゃいいだろ」
「え…」

ゾロが当たり前のように言う。
その言葉にウソップの顔が晴れやかになった。
エースは離れたところで様子を伺う。
ぎょっとしたのだ。

「射ぬけ」
「任せろ」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

顔面直撃。
紳士ぶった妖魔は、顔を両手で抑えて悶絶する。
痛いなんてもんじゃない。
顔が焼けるように痺れて、はがれ落ちそうだ。
追撃するかのように第2弾。

「夜叉星!!」
「食らうか!」

弾道は見えていた。
だから、いつものようにかわす。
そして飛んで逃げるため、翼を広げようとした瞬間。

「っ!!!」

横からの斬撃。
間一髪、上体を下へ逃がすことが出来た。
殺気がしなければ、反応するのは難しかった軌道だ。

「よぅ、また会ったな」
「む…、この間の間抜けどもが懲りずに…」
「お前が飛ぶなら飛ばさない。
 お前が逃げるなら逃がさない。
 待たずに攻める、そう決めた」

近付く剣士に反比例して距離置こうと移動する。
じりじりと窓辺に近付く。
外に出ればこちらの勝ちだ。
そのためにはあの「弾」が邪魔だ。

「追い込んだ気でいるのか、人間」
「ああ」
「だから、間抜けだというのだよ!!」

衝撃波。
瞬時に命令を下す。

「守れ、僕(しもべ)ども!!」

召還した僕は周りを守るようにその身で防御壁を作った。
その中で翼を広げ、外に飛び出した。
これならば、撃たれようとも当たるのは僕だ。

「行ったぞ!!」
「はーっはっはっは、学ばぬ種族め!愚か者!」
「火炎陣!!」

真正面からどでかい炎。
一瞬反応が遅れたため、範囲が広すぎてよけきれない。
直撃。
進むことが出来ず、その場で空中待機を余儀なくされる。
僕は焼け焦げ、消滅してしまった。

「上がれ!!」
「……!?」

声がしたので、後ろをみるが何もいない。
下を見ても何もいない。
きょろきょろと声の正体を求めるが、それがいけなかった。

「よう」
「…っな!」
「上からの攻撃は初めてか?」

斬撃。
そのまま下へ真っ逆様。
ぎゃあああああ、と悲鳴をあげて落ちていく。
落ちていく途中で、煙を吐き出す黒い者をみた。
ああ、ちくしょう、人間め…。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「リベンジ成功おめでとう~」
「出た、黄金スマイル」
「…配当金がでかいんだな?」
「まぁね~」

ナミが笑顔で出迎えるということはそういうことである。
退魔するまで帰ってくるな、が社訓なくらいだ。
失敗すれば金にならない、つまりそういうこと。

「次失敗したら罰金とか言われたら。
 じゃあ、成功したら10倍ね、って言うでしょ?
 これ、念書」
「信用…されてるって思っていいんだよな?」
「もちろん!」

いい笑顔で言われたら、ウソップも黙るしかない。

「今日は外食しましょう、次の依頼の話がしたいわ」
「か、勘弁してくれよぅ~!!」
「大丈夫、今度は掃除だから」
「昼寝が出来ねぇな…」

退魔屋は今日も営業中。

**********************

先手必勝、やられる前にやれ。
分かりにくかったと思うので補足。

・破魔の力+Kボイス=●夜叉 ⇒ 夜叉星
・ウソップの狙撃に気をとられる ⇒ ゾロが近づき攻撃
・ゾロの叫びはマイクを通して全体へ ⇒ エースが攻撃態勢に入る
・ゾロの叫びに気をとられる ⇒ 反応を遅らせて炎を確実に当てる
・炎を確実に当てることによって行動範囲を狭める(逃げられる範囲を限定する)
・行動範囲が限られるので斬撃が当てやすくなる
・相手より高い位置からの攻撃をするために空軍パワーシュート

ちなみに。
頭の守備ががら空きであることは、サンジが得た「見渡す目」で判断したことで。
空軍パワーシュートは完全なるアドリブ。
予定では、そのままエースの炎で焼き続け、最終的に斬る計画でした。
…大人しくしてないだろうねぇ。

ナミさんは仲間を「役立たず」と言われるのが一番嫌いです。
謎が多い人ですが、絶対にウソップたちを裏切ったりしないことは確定です。

また、時間がありましたらお付き合いくださいませ。
(H22.12.01)

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