端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

痛みすらも君がくれるものならば

2012-01-16 00:00:00 | SとMの恋愛模様5題(M寄り)
SとMの恋愛模様5題(2)
- 君のために、僕は存在しているんだ -


部屋に入ってすぐに分かった。
ロイドは怒っている。
機嫌がよければ、入室直後にキスがくる。
待ちかねたようにキスがくる。
だけど、ああ、無視ですか。

痛みすらも君がくれるものならば

いつもなら読みもしない剣術書を読んでいる。
彼の名は、ロイド・アーヴィング。
俺様がうっかり口説き落とされてしまった世界を救うかもしれない人物である。
俺様は「神子」だ。
世界の基準で見れば立場は上位にいる。
だが、この部屋では最下位に位置していた。
ロイドがそう決めた。
彼が法であり、彼が神であり、彼が絶対であった。
それ以外の答えはあり得ない。

「……俺様、何かした?」
「………」

ロイドは誰にでも優しいが、俺様にだけは厳しい。
言葉で言うときもあるし、今みたいに無言の圧力のときもある。
ひたすらにページを繰り、外界を遮断している。
文字を追っているであろう視線。
わずかに動く指先。
いつかの夜には、愛しげに自身の体を滑るもの。
与える熱は狂おしいほどに熱い。
けれど、今、彼が俺様に向けるのは真逆のもの。
拒絶するでもなく、無関心。

「本当にわからないか?」

視線はそのままに。
やっと口を開いたかと思った瞬間、頬に痛み。
裏手でひっぱたかれたらしいことを。
目の前にある手で知る。

「遅い、呼んだらすぐ来い」
「この間は早すぎるって言ったじゃん…」
「状況が寸分の違いもなく同じであればな?」

やっと見たかと思ったら。
瞳には何も映さずに、俺様の首を絞めあげる。
ああ、その顔。
無邪気に、嬉しそうに笑う。
君がくれるものならば、何だって享受しよう。

「なぁ、ゼロス。俺は正しいだろう?」

痛みも、不条理も、もちろん、狂愛も。

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天使様。
鳶色の天使の顔をした悪魔に恋をした。

病んでる感じの二人も好き。
どろどろに甘やかしているのも好き。
殺すほどに、示す愛情も好きだな。

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