森に着いて。
まず、目に入ったのは。
あの。
今にも倒れそうな色をした緑髪の少年だった。
少年は魔物に囲まれていて、その場にしゃがみ込んでいた。
素人目でも分かる、分かりやすいピンチだ。
魔物が飛びかからんとした、その時。
地面にうっすらと文字が現れた。
光り始めた文字はやがて円を描き、少年の周りを囲い込む。
次いで、強い光を発し魔物を消し去った。
しばらく少年を見ていた俺たちだったが、女が先に我に返り駆け寄った。
肩で息をしている少年。
こいつが。
「導師イオン! なぜここに!?」
イオン---。
「えと…、あなたは」
「私は神託の盾騎士団 モース大詠師旗下情報部第1小隊所属
ティア・グランツ響長であります」
「あなたがヴァンの妹ですか。噂は聞いています」
女の長い肩書きを聞いて、うっかりトリップしそうになっていたところで。
聞き捨てならないことを聞いた。
何だって?
「ヴァン師匠の妹ぉ~~~~!!!?」
あり得ねぇ、絶対ぇあり得ねぇ!
何でこんな冷血女が師匠の妹なんだよ!
今すぐ訂正しろ、お前は一人っ子で冷血で夜中にアイス食って育ったんだ。
「あのぅ…、お名前聞いてよろしいですか」
小さい声で、イオンが声を掛けてきた。
おそるおそる声を掛けてきたのが何となく分かった。
俺としたことが取り乱してしまった…。
咳払いをひとつして始める。
「ルークだ」
俺の名前を聞くと、イオンは嬉しそうに目を輝かせた。
「ルーク…。古代イスパニア語で、聖なる焔の光という意味ですね。
いい名前です」
何が嬉しいのか、目を細めて笑顔を作る。
何だかこっちが恥ずかしい…。
「さて、そろそろ質問に答えましょうか。
なぜここに来ているか、でしたね。
答えは、『何故、チーグルが食料を襲っているか知りたいから』
チーグルは草食で、大人しい魔物なんです。
大量に食料が必要になることはあり得ません。
ですから、原因を探りに来たんです」
途中からちんぷんかんぷんだったが。
女もツッコミを入れないところからすると、矛盾はしていないらしい。
しかし、気になることがあったようで口を出した。
「あの…失礼ですが。
何故、導師イオン自ら出てこられたのですか?」
あ…、もっともだ。
偉いんだったら、お手伝いにやってもらえばいい。
自分で動くことなんてない。
イオンは厳しい表情で答える。
こいつ、思ったより元気だな。
倒れそうもない。
「チーグルは、ローレライ教団の聖獣です。
導師である僕が責任を持って対処しなければと…」
視界の端に、ふよふよするものが写った。
黄色く小さい何か。
それの正体は、女の言葉で知れた。
「チーグル!!」
話はそこまでにした。
今はあの泥棒チーグルを捕まえるのが先決だ。
見失わないうちに追いつきたかったが。
イオンの調子がおかしいらしい。
肩で息をしているわけでもないのに、妙に苦しそうにしている。
前言撤回、やっぱこいつ倒れそうだ。
「導師イオン、やはり帰られた方が…」
「いえ、僕は大丈夫です」
「でも…」
不毛な会話が続いている。
女の言い分は分かる。
確かにこいつは足手まといだし、今にも倒れそうな顔をしている。
村に帰した方がいい。
けれど、なぜだか俺はイオンの意見を尊重してやりたかった。
理由はない…と思う。
そうだ、村までイオンを送ってたらチーグルを見失う。
チーグルを早く追いかけたいから俺はイオンを帰さない。
よし、納得した。
これを女に言えば、万事解決!
「いいじゃん、連れて行けば。
コイツを村に帰したところでまた来るに決まってる!」
「そんなこと…!」
「現に、一人でここまで来てたじゃねぇか!
だったら、俺たちと行動して一緒に解決した方がコイツも満足、俺も満足!」
「ありがとうございます、ルーク殿!」
「イオン様!」
「イオン、お前は戦闘になったらすっこんでろよ」
「ルーク!!失礼にも程があるわ!」
女の声が五月蠅い。
黙れ、俺には俺の意見があるんだよ。
「お前、妙な力使って動けないんだろ?
休んでていいから、後ろに隠れてろっつーんだよ」
「ルーク殿は優しいんですね」
言われて…、俺は猛烈に恥ずかしかった。
照れ隠しに「敬語は辞めろ」「呼び捨てでいい」と言って逃げた。
優しいなんて…、ありがとうなんて…。
初めて言われた。
イオンのストレートな気持ちが恥ずかしかった。
****************************
二千字突破…。
書きたいことありすぎ…。
次は、【ソーサラーリング】なもんで、駆け足早足忍び足。
ぶっきらぼな優しさがちっとも表現出来なかったのが、無念です。
イオンはなかなかパワフルな子です。
一人で森に行ったこともそうですが。
何より付き人をまけるほど、村の中を活発に動いたという事実。
あれか。
おもちゃ屋で放たれた子供、とでも言うべき状況だったのか。
はたまた事件の匂いを嗅ぎ付けた探偵!?
名探偵イオン、犯人はチーグルだ!っていう展開。
話が飛びました。
まず、目に入ったのは。
あの。
今にも倒れそうな色をした緑髪の少年だった。
少年は魔物に囲まれていて、その場にしゃがみ込んでいた。
素人目でも分かる、分かりやすいピンチだ。
魔物が飛びかからんとした、その時。
地面にうっすらと文字が現れた。
光り始めた文字はやがて円を描き、少年の周りを囲い込む。
次いで、強い光を発し魔物を消し去った。
しばらく少年を見ていた俺たちだったが、女が先に我に返り駆け寄った。
肩で息をしている少年。
こいつが。
「導師イオン! なぜここに!?」
イオン---。
「えと…、あなたは」
「私は神託の盾騎士団 モース大詠師旗下情報部第1小隊所属
ティア・グランツ響長であります」
「あなたがヴァンの妹ですか。噂は聞いています」
女の長い肩書きを聞いて、うっかりトリップしそうになっていたところで。
聞き捨てならないことを聞いた。
何だって?
「ヴァン師匠の妹ぉ~~~~!!!?」
あり得ねぇ、絶対ぇあり得ねぇ!
何でこんな冷血女が師匠の妹なんだよ!
今すぐ訂正しろ、お前は一人っ子で冷血で夜中にアイス食って育ったんだ。
「あのぅ…、お名前聞いてよろしいですか」
小さい声で、イオンが声を掛けてきた。
おそるおそる声を掛けてきたのが何となく分かった。
俺としたことが取り乱してしまった…。
咳払いをひとつして始める。
「ルークだ」
俺の名前を聞くと、イオンは嬉しそうに目を輝かせた。
「ルーク…。古代イスパニア語で、聖なる焔の光という意味ですね。
いい名前です」
何が嬉しいのか、目を細めて笑顔を作る。
何だかこっちが恥ずかしい…。
「さて、そろそろ質問に答えましょうか。
なぜここに来ているか、でしたね。
答えは、『何故、チーグルが食料を襲っているか知りたいから』
チーグルは草食で、大人しい魔物なんです。
大量に食料が必要になることはあり得ません。
ですから、原因を探りに来たんです」
途中からちんぷんかんぷんだったが。
女もツッコミを入れないところからすると、矛盾はしていないらしい。
しかし、気になることがあったようで口を出した。
「あの…失礼ですが。
何故、導師イオン自ら出てこられたのですか?」
あ…、もっともだ。
偉いんだったら、お手伝いにやってもらえばいい。
自分で動くことなんてない。
イオンは厳しい表情で答える。
こいつ、思ったより元気だな。
倒れそうもない。
「チーグルは、ローレライ教団の聖獣です。
導師である僕が責任を持って対処しなければと…」
視界の端に、ふよふよするものが写った。
黄色く小さい何か。
それの正体は、女の言葉で知れた。
「チーグル!!」
話はそこまでにした。
今はあの泥棒チーグルを捕まえるのが先決だ。
見失わないうちに追いつきたかったが。
イオンの調子がおかしいらしい。
肩で息をしているわけでもないのに、妙に苦しそうにしている。
前言撤回、やっぱこいつ倒れそうだ。
「導師イオン、やはり帰られた方が…」
「いえ、僕は大丈夫です」
「でも…」
不毛な会話が続いている。
女の言い分は分かる。
確かにこいつは足手まといだし、今にも倒れそうな顔をしている。
村に帰した方がいい。
けれど、なぜだか俺はイオンの意見を尊重してやりたかった。
理由はない…と思う。
そうだ、村までイオンを送ってたらチーグルを見失う。
チーグルを早く追いかけたいから俺はイオンを帰さない。
よし、納得した。
これを女に言えば、万事解決!
「いいじゃん、連れて行けば。
コイツを村に帰したところでまた来るに決まってる!」
「そんなこと…!」
「現に、一人でここまで来てたじゃねぇか!
だったら、俺たちと行動して一緒に解決した方がコイツも満足、俺も満足!」
「ありがとうございます、ルーク殿!」
「イオン様!」
「イオン、お前は戦闘になったらすっこんでろよ」
「ルーク!!失礼にも程があるわ!」
女の声が五月蠅い。
黙れ、俺には俺の意見があるんだよ。
「お前、妙な力使って動けないんだろ?
休んでていいから、後ろに隠れてろっつーんだよ」
「ルーク殿は優しいんですね」
言われて…、俺は猛烈に恥ずかしかった。
照れ隠しに「敬語は辞めろ」「呼び捨てでいい」と言って逃げた。
優しいなんて…、ありがとうなんて…。
初めて言われた。
イオンのストレートな気持ちが恥ずかしかった。
****************************
二千字突破…。
書きたいことありすぎ…。
次は、【ソーサラーリング】なもんで、駆け足早足忍び足。
ぶっきらぼな優しさがちっとも表現出来なかったのが、無念です。
イオンはなかなかパワフルな子です。
一人で森に行ったこともそうですが。
何より付き人をまけるほど、村の中を活発に動いたという事実。
あれか。
おもちゃ屋で放たれた子供、とでも言うべき状況だったのか。
はたまた事件の匂いを嗅ぎ付けた探偵!?
名探偵イオン、犯人はチーグルだ!っていう展開。
話が飛びました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます