端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

目が会う度に喧嘩

2012-02-08 00:00:00 | 犬猿の仲の二人に5題
犬猿の仲の二人に5題
- 永遠に君と気が合うとは思えない! -


狭い戦場だ。
同じ相手に何度も遭うことは茶飯事だ。
武田に対して戦を挑むは、またしても伊達軍。
冬を前に結論を急いでいると聞いた。
そうか、冬が近い。

目が会う度に喧嘩

「まっことしつこい!!
 いい加減…、討たれるか、引くかしてくれ!!」
「そこに『勝つ』がねぇのは自信か? あ?」
「俺は…っ、負けぬ!!!」

受けていた伊達の刀を弾いて、体勢を崩させる。
後ろに後退したのを確認し、『烈火』を叩き込む。
一瞬で六爪を仕舞い、ひと振りで防御姿勢。
そうか、俺の攻撃はひと振りで十分か。

「その余裕が嫌いだ!!!」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「休戦同盟?」
「Yes, 冬の間だけ頼みたい。
 こちらの勝手な都合であることは自覚している。
 が、そちらにも好都合だろう?」
「上杉だけに集中できるのはありがたいが……。
 これまでが、これまでだしのぅ」

我が主・武田信玄との会見に同席して。
まず驚いたのは、あの伊達政宗が座して礼をしたことだ。
そして、申し出たのは休戦。
あまりにも好戦的だったが故、信じ難い。

「そうだろうな。
 だから、俺が人質という形でこちらに滞在する。
 当然、側近もつけない」
「政宗様!?それは…っ!」
「小十郎、この休戦の意味を見失うな」
「……はっ」
「本気か? ワシは、甲斐の虎ぞ?」
「虎穴に入ってなんぼだろ、一人のほうが身軽だ」

どこまでも自信満々といった奥州王。
蒼い閃光。
悔しいほどに、眩しい。
焦燥感、劣等感、嗚呼、負けを認めるみたいだ。

「幸村、世話係を任せたぞ」
「……はっ!? 今、なんと!?」

呆けている間に事態が動いていたらしい。
しかも、自分にとってよくない方に。
座したまま、こちらに視線を寄越す蒼。
甲冑を脱いで、正装の独眼竜。
見つけぬ恰好の人物が、両拳を床について深々と一礼する。
臣下の礼。

「お頼み申す、真田殿」

逃げられぬ、そう悟るのと覚悟を決めるのに。
少々時間を要するほど狼狽した俺に。
お館様が「そんなに嫌か?」と仰った。
はい、とても嫌です。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「……何か?」
「この寒空の中、鍛錬ですか?
 さすが真田殿と言うべきなんでしょうか」

目が合うと、伊達はふわりと笑う。
そして、他人行儀の言葉を話す。
本当に一人きりで上田にやってきた伊達。
あり得ない事態に困惑しつつも。
ある程度の禁則とある程度の自由を与えた。
それを後悔した。
武器を取り上げたまではよかったが。
視界に入るなと言っておけばよかった。
あと。
普通に話せ、と。

「………気持ち悪い」
「は? ご気分がすぐれませんか?」

イライラする。
やめろ、俺にそんな顔をするな!

「その話し方だ!!どういうつもりか!」
「……1週間か、思ったより耐えたな」
「何っ!?」

声を荒げたことに満足したように。
伊達にあの冷たい気配が戻る。
何でも見通したようなあの顔も。

「Collに行こうぜ、丸腰相手にふっかけるなよ」
「く…っ」
「1週間観察して分かったが。
 アンタ、甘味食いすぎ。
 あとは、早寝早起きすぎる、ガキか」
「俺の勝手だろうが!!!
 口調が戻った途端に失礼な!!」

目が合う度に感じた違和感が。
今度は、逆撫でされることが確定した日。
しかし何故か安堵したことを覚えている。

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伊達はまず相手を知るところから始めたようです。
いい加減、決着をつけたいと思うのは向こうだって同じです。

冬の間の休戦は、冬期は雪で出れなくなっちゃうから。
暇なので申し入れてみました。
時間を有効活用です。

>> 後ろに後退したのを確認し、『烈火』を叩き込む。
>> 一瞬で六爪を仕舞い、ひと振りで防御姿勢。
>> そうか、俺の攻撃はひと振りで十分か。

余裕じゃない。
六爪のままだとガードできないからです。
烈火を全部食らうと、筆頭、普通に死ねます。

丁寧語を話す筆頭、超激レア。
違和感がすごかった。

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