端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

一石二鳥

2011-03-12 13:31:31 | ワンピース
「「ほい」」
「「……」」

Happy Half

二人、出会い頭に、同じタイミングで包みを差し出した。
警戒するように、難しい顔でサンジが切り出す。

「ウソップから理由言え」
「当日に渡せなかった誕生日祝いだよ。
 ホラ、お前、泊り込みでさぁ」
「あー、そうだったけな。 忘れてた」

自分の誕生日にあまりにも無頓着なサンジ。
それが分かっていたからこそ、ウソップはきちんと用意していたのだが。
無頓着故、誕生日に普通に泊り込んで仕込みをしたのである。
「無頓着」とは分かっていたけどここまでとは思わなかった、と。
友人のゾロに電話したのは、3/3のド深夜である。
不機嫌な声で「…今日、平日だって知ってるか?」と言われて。
さらに泣きそうになったのは別の話。

「サンジは?」
「んー、4/1 どうしても一緒にいられないから先渡しってやつだ」
「へー」
「んだよ、反応薄いな」
「4/1 一緒にいてくれるつもりだったんだ?」
「当たり前だろう、なんたってウソップの生まれた日だぜ?
 とびっきり甘やかしてやりたいじゃないか」

自分の誕生日は絶望的に無頓着なくせに。
誰かの誕生日は気にしているだなんて。
緩む頬を抑えられず、ウソップは思わず笑う。

「おれだって甘やかしてやりたかったんだぜー?
 いっつもおればっか悪いなーって」
「なんかしたっけ?」
「ハグとかしてくれんじゃん。
 あれ、すっげぇ安心すんの、おれ好き」
「じゃあ、今してくれよ」
「いいんスか!?」
「おれも嬉しい、お前も嬉しい。
 この一石二鳥幸せ企画を実施せず、何を実施するんだいウソップくん」

願ったり叶ったりだ。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「ウソップくーん、当たってるんですけどー」
「うるせぇ、物理的事故だ!!」
「まぁ、こういう事故なら大歓迎だ。
 デコチューなんて、『最中』じゃなきゃ出来ないしな」
「そういう恥ずかしいこと言うなっての!」
「大いに事故れ。 おれが責任持って押し倒してやるから」
「時々、サンジって馬鹿だよな…」
「『4月馬鹿』だからな」
「…あーそー」

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いつぞやのナエトルお礼。
本当はきちんと誕生日にあげたかったんだけど。
震災があったから実行できず…。
某兎さんのみ持ち帰り可。

元ネタは某掲示板2010/12/15 のイラスト。
現代パラレルって難しいよね。

(2011.03.17)

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