端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

ピース

2009-09-17 22:31:41 | ワンピース
目的もなくフラフラと。
闇雲に早足で歩いていたら。
いかん。
ここは、どこだ。

踏み固めて地固まる

「なぁ、ゾロはどこ行ったんだ?
 診療の時間なんだ」
「…知らん」
「あれ、ゾロは?」
「知りません」

なんであいつの行き先を俺が知らなくちゃいけない?
わっけわからねぇ。
あいつは俺の何でもないし。
そもそもどうも思ってない。

「おーい、それ菜箸なー」
「!!! ぐおっ!」

大事な調理器具をタバコと間違えて焦がしちまった。
削れば何とかなるか…。
ウソップが、ほらよとナイフをくれる。
ありがたく受け取り、焦がした部分を削るとる。

「んで? 何が原因なんだよ?」
「何が?」
「ゾロが何にも言わないで、下船した理由。
 知ってんだろ?」
「知らねぇよ、あんな奴」
「あー、そう」

知るか。
瓶の蓋を開けられるくらいでいい気になってる奴なんて。
にやっと笑って、俺を見たりとか。
あいつの大きい手が羨ましかったり…とか…。

「俺は羨ましくねぇー!!!」
「うおっ! びっくりしたぁ!」
「う、おお? ルフィか」
「そのちっさい木なんだ?
 つまようじか?」
「ぎゃっ!!!」

ちょっと先を削ればよかったのに。
菜箸が、取り返しのつかない形態になっていた。
あー、これ、どうするかなぁ。

「…ゾロ帰ってくるかな」
「…帰ってくるだろ」

お前が海賊王になるまでここにいるって言ったんだろ?
帰ってくるだろ、どこに行ったって。

「喧嘩してるなら、さっさと仲直りしろよ」
「アァ?」
「この船は全員で乗るんだ。
 定員に満たなきゃ、俺は船を出さない」

ルフィの目が俺を射抜く。
責めているような、覚悟をしているような。
そんな強い目だ。

「一人じゃ船は動かせねぇ。
 みんなで支えあって、一つの船を動かすんだ。
 誰だって出来ねぇことは出来ねぇんだ」
「……」

もしかして、現場見られてたのかな。
呆けていると、船の外を指さしてルフィはこう言った。

「あいつ、迎えに行ってこいよ。
 一人じゃ帰ってこられねぇだろ?」

ああ、そうだった。
破滅的な方向音痴のそいつ。
迎えに行ってやらなくちゃな。
屈伸運動をして、ダッシュで下船。
あたりはついてる。
あの鳥がギャアギャア言ってる辺りだろう。

「よぅ、迷子か、マリモッコリ」
「アァ?」
「優しい俺様が迎えに来てやったぞ。
 敬え、奉れ」
「…ぅ」
「あん?」
「あんがとよ」

怖い、これ、夢か?
なんで、お前、え、どうした?

「怪我でもしたか」
「いや」
「じゃあ、悪いものでも食ったか」
「お前の飯があんのにそれする必要はねぇな」

地味に腰に来ること言ってない?
待て待て、落ち着け俺。
こほんとひと呼吸おいて。

「まぁ、何にせよ素直なのはいいこった。
 これからもそうしろよ」
「おう」

そう言うと、腰に手が回ってきた。
…意味が分からん。

「なんだぁ?」
「素直なのがいいんだろ?」
「欲望に素直なのには感心しねぇな」
「ふぅん?」
「おい、無視かよ!」
「いいだろ、これくらい」
「そのでけぇ手で触んな!」
「アァ?」
「嫌なんだよ!
 動揺して菜箸がつまようじになっちまうくらいにな!」
「何のことだ?」
「とにかく、離せ!
 船まで戻ったら、話聞いてやっから!」

ツイストをかけて、腕から逃れる。
やれやれだ。
後ろから渋々歩いてくるゾロを認めて。
歩くスピードを上げる。
話したいことはないが。
欠けたら困る、俺の大事なピース。

**********************

いつもケンカ腰でなし崩しにウダウダとする仲(ヲイ
船長の男前は仕様です。
時期はいつだ?
よくわからないまま書いてしまった、反省。

ゾロサン喧嘩話。
全然喧嘩になってない件。
まぁ、それもそれで私のクオリティー。

コメントを投稿