端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

鉄格子の向こう

2006-09-28 11:50:14 | テキスト(よろず)
これは私の罪。
奉公人を愛し、護ってやれず、最後には…手をかけてしまった。
何を思っても、何を言っても、それは言い訳にしかすぎない。
そこまでの過程は重要ではない、結果が全てなのだ。
私は、殺したのだ。
それでいい。

「あんたは何者なんだ?」
囚人だ、ただの。
今の私には真実が見えぬ、だから時間をくれないか。
「だったら、一緒に来ないか?」
なに?
「あんた強そうだし。いい人そうだ」
何を根拠にそんな事を言うのだ。

「あんたの目、優しいもんな!分かるよ」

何を言っているのだ、この少年は。
神子がくっくっと笑っている。
その顔が言っている。

『さっさと折れちまえ』

誰に嘆けばいいのだろう。
人を殺めた私が、『仲間』などというカテゴリーに入れるわけがない。
わけがないのに。

嬉しいと、思ってしまったこの業を。

鉄格子の中。
ただただ空を眺め、目を瞑り、懺悔を繰り返していた毎日。
時々、遊びにやってくる小鳥を私は何とも思わずに眺めていた。
周囲は暗く、何も見えなかった。
これは罰なのだと、そう思っていた。

「俺はあんたを仲間だと思ってるから」

ならば、私は。
お前を、いや、お前たち全員に。
『仲間たち』に誓おう。
我が信念に懸けて、この光を護る。

犠牲にはさせない、犠牲になどならない。

鉄格子の中。
空が明るいのだと知る。

コメントを投稿