今日はなんだか気分が悪い。
気持ち悪いっていうんじゃなくて。
こう、何かモヤモヤする感じ?
修行に集中しなきゃいけないのに、どうにも落ち着かない。
毎年この時期に必ず一度ある。
そうすると決まって、俺は大怪我をするんだ。
今日はなんだか胸が痛む。
刺されたとかそういうのではなく。
こう、何かズキンッと乙女のような感じだ。
女性は好きだし嬉しいはずなのに、どうにも落ち着かない。
毎年のことだが、今年は特にひどいようだ。
しかも決まって、体のどこかが痛む。
「「今年もか…?」」
「ホワイトデー?」
「あれれ? 色男、知らないの?だめだろ、甲斐性なし!」
「知ってるけどなぁ、その、縁遠かったし日付の感覚ないから…」
「何々?惚気~?」
「う、うるさい!!」
飛空挺ファルコン号でのひとコマ。
なぜかにこにことしているリルムを見て。
ロックが「どうした?」と尋ねると。
もうすぐホワイトデーじゃん、とさも当然のように言う。
「~かった」と過去形で言ったのは不覚だったが。
あのリルムが、というところが意外で一瞬呆然としてしまったのだ。
そばで聞いていたセッツァーが問いかける。
「リルムは相手がいるのか?」
「しっつれいな! じじいからもらえるよー!」
「だけか?」
「いいの!じじいだけでも確実に30倍返しは期待できるしね!」
「バレンタインに何をやったんだ?」
「モーグリの着ぐるみ~」
「なるほど」
「何話してんの?」
「出たな、熊男!!」
「がー!」
マッシュが熊のように両手を広げてみせると、きゃあー、とリルムは喜ぶ。
興味がないように、いや実際興味はないらしいセッツァーは疑問に答える。
「そろそろ男が贈り物をする時期だな、という話だ」
「あん? 何で?」
「ホワイトデーだからだよ!」
「??? ホワイトデー?何が白いんだ?」
リルムが、げ、マジで知らねぇの?という顔をすると。
見かねたロックがちょいちょいとマッシュを手招く。
二人には聞こえないように、囁くように。
「大切だって思う人へプレゼントすると感激される日なんだよ。
それが家族に対してでも、恋人でも、好きな人でも、感謝している人でもな。
あー、簡単に言うとだ。
うーっと…」
ここまで言うと、ロックは言葉をひねり出そうと唸りだした。
マッシュは言葉を待つ間、今の台詞を繰り返す。
家族で、好きな人で、感謝している人?
あれ? それって?
「そうだ、気持ちを形にする日って言ったほうがすっきりするかもな!」
ロックが引っ張り出した言葉を聞いて。
マッシュは決めた。
「兄貴!!」
「おう、マッシュ。 どうし…」
「俺な!兄貴に何かやろうと思って!どうしても、何かやりたくてさ!
いろいろ探したんだけど、見つかんなくてさ!
でも、どうしてもやりたくて!」
「落ち着け、どうしたんだ?
そんな堰を切ったように話さなくても俺は聞いてるよ。
ゆっくり話してごらん」
「お、おう。
今日さ、気持ちを形にする日って聞いたから。
どうしても兄貴に伝えたくてさ!
だから、こうするな!」
「???」
「兄貴っ!」
「…っ!!!」
力いっぱい抱きしめる。
しかし同時に、ガラスを抱くように優しく抱きこんで。
エドガーが目を白黒させているのもお構いなしにマッシュは叫ぶ。
「俺、兄貴が大好きだ!!!」
「ぶほぉっ!?」
あまりにも驚いたのと、さらに力を込められたのでエドガーはむせた。
いや、それだけではない。
どこかで、嬉しくて。
「あのなぁ! 俺は男だし、お前にバレンタインデーやってないしだな。
その、あれだ。
特別今日、お前がそんなこと言わなくたって…」
「ばれんたいん?」
体をぱっと離すと、マッシュは怪訝な顔をエドガーに向ける。
そして、何かを確かめるようにエドガーに顔を近づけ聞く。
「そのばれんたいんっつーのは、この時期にあるのか?」
「え、あ、あぁ、先月頃だな」
「毎年?」
「毎年、女の子たちがチョコやら贈り物をくれるが?」
すると、マッシュはああ!と納得したようで。
今度はエドガーが怪訝な顔をマッシュに向ける。
「なんだ?どうしたんだ?」
「俺ね、修行中に毎年必ず集中できないときがあってさ。
こう腹の中がモヤモヤすんの。
んで、大怪我してその日は終わるんだけど」
「待て、怪我? この時期に?」
「そう、毎年必ず」
すると、エドガーはああ!と納得したようで。
今度は二人とも笑う。
ああ、そうか。
「俺の体がこの時期必ず痛かったのはお前のせいか!」
「俺の気持ちがいつもすっきりしなかったのは兄貴のせいか!」
「「やっぱ俺たち、繋がってたんだな」」
*********************
もうお前ら、結婚しちゃえよ。
気持ち悪いっていうんじゃなくて。
こう、何かモヤモヤする感じ?
修行に集中しなきゃいけないのに、どうにも落ち着かない。
毎年この時期に必ず一度ある。
そうすると決まって、俺は大怪我をするんだ。
今日はなんだか胸が痛む。
刺されたとかそういうのではなく。
こう、何かズキンッと乙女のような感じだ。
女性は好きだし嬉しいはずなのに、どうにも落ち着かない。
毎年のことだが、今年は特にひどいようだ。
しかも決まって、体のどこかが痛む。
「「今年もか…?」」
「ホワイトデー?」
「あれれ? 色男、知らないの?だめだろ、甲斐性なし!」
「知ってるけどなぁ、その、縁遠かったし日付の感覚ないから…」
「何々?惚気~?」
「う、うるさい!!」
飛空挺ファルコン号でのひとコマ。
なぜかにこにことしているリルムを見て。
ロックが「どうした?」と尋ねると。
もうすぐホワイトデーじゃん、とさも当然のように言う。
「~かった」と過去形で言ったのは不覚だったが。
あのリルムが、というところが意外で一瞬呆然としてしまったのだ。
そばで聞いていたセッツァーが問いかける。
「リルムは相手がいるのか?」
「しっつれいな! じじいからもらえるよー!」
「だけか?」
「いいの!じじいだけでも確実に30倍返しは期待できるしね!」
「バレンタインに何をやったんだ?」
「モーグリの着ぐるみ~」
「なるほど」
「何話してんの?」
「出たな、熊男!!」
「がー!」
マッシュが熊のように両手を広げてみせると、きゃあー、とリルムは喜ぶ。
興味がないように、いや実際興味はないらしいセッツァーは疑問に答える。
「そろそろ男が贈り物をする時期だな、という話だ」
「あん? 何で?」
「ホワイトデーだからだよ!」
「??? ホワイトデー?何が白いんだ?」
リルムが、げ、マジで知らねぇの?という顔をすると。
見かねたロックがちょいちょいとマッシュを手招く。
二人には聞こえないように、囁くように。
「大切だって思う人へプレゼントすると感激される日なんだよ。
それが家族に対してでも、恋人でも、好きな人でも、感謝している人でもな。
あー、簡単に言うとだ。
うーっと…」
ここまで言うと、ロックは言葉をひねり出そうと唸りだした。
マッシュは言葉を待つ間、今の台詞を繰り返す。
家族で、好きな人で、感謝している人?
あれ? それって?
「そうだ、気持ちを形にする日って言ったほうがすっきりするかもな!」
ロックが引っ張り出した言葉を聞いて。
マッシュは決めた。
「兄貴!!」
「おう、マッシュ。 どうし…」
「俺な!兄貴に何かやろうと思って!どうしても、何かやりたくてさ!
いろいろ探したんだけど、見つかんなくてさ!
でも、どうしてもやりたくて!」
「落ち着け、どうしたんだ?
そんな堰を切ったように話さなくても俺は聞いてるよ。
ゆっくり話してごらん」
「お、おう。
今日さ、気持ちを形にする日って聞いたから。
どうしても兄貴に伝えたくてさ!
だから、こうするな!」
「???」
「兄貴っ!」
「…っ!!!」
力いっぱい抱きしめる。
しかし同時に、ガラスを抱くように優しく抱きこんで。
エドガーが目を白黒させているのもお構いなしにマッシュは叫ぶ。
「俺、兄貴が大好きだ!!!」
「ぶほぉっ!?」
あまりにも驚いたのと、さらに力を込められたのでエドガーはむせた。
いや、それだけではない。
どこかで、嬉しくて。
「あのなぁ! 俺は男だし、お前にバレンタインデーやってないしだな。
その、あれだ。
特別今日、お前がそんなこと言わなくたって…」
「ばれんたいん?」
体をぱっと離すと、マッシュは怪訝な顔をエドガーに向ける。
そして、何かを確かめるようにエドガーに顔を近づけ聞く。
「そのばれんたいんっつーのは、この時期にあるのか?」
「え、あ、あぁ、先月頃だな」
「毎年?」
「毎年、女の子たちがチョコやら贈り物をくれるが?」
すると、マッシュはああ!と納得したようで。
今度はエドガーが怪訝な顔をマッシュに向ける。
「なんだ?どうしたんだ?」
「俺ね、修行中に毎年必ず集中できないときがあってさ。
こう腹の中がモヤモヤすんの。
んで、大怪我してその日は終わるんだけど」
「待て、怪我? この時期に?」
「そう、毎年必ず」
すると、エドガーはああ!と納得したようで。
今度は二人とも笑う。
ああ、そうか。
「俺の体がこの時期必ず痛かったのはお前のせいか!」
「俺の気持ちがいつもすっきりしなかったのは兄貴のせいか!」
「「やっぱ俺たち、繋がってたんだな」」
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もうお前ら、結婚しちゃえよ。
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